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仁左衛門と玉三郎の永遠。

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歌舞伎を長年のあいだ支えてきた片岡仁左衛門と坂東玉三郎の舞台を集めたマガジンです。ふたりが競演した『桜姫東文章』はじめ、近年の作品について書いた劇評を網羅しています。永遠の二枚目…
仁左衛門と玉三郎の舞台を、永遠に見たい。そんな気持でマガジンを作りました。
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#坂東彌十郎

【劇評182】仁左衛門が人の目利きをする「石切梶原」。残念だが大向うを欠く。

 すでに定評のある仁左衛門の「石切梶原」。二○○三年十一月歌舞伎座での上演とは、キャストを一新して、清新な舞台となった。  今回の眼目は、仁左衛門の梶原平三のたたずまいにある。  彌十郎の大場三郎と男女蔵の俣野五郎に、刀の目利きを依頼される物語だが、ここで仁左衛門は、人の目利きを行っている。  刀を持ち込んできた歌六の六郎太夫とその娘、孝太郎の梢の人品人柄。罪人とはいえ試し切りをしなければ目利きを信頼出来ない大場と俣野。  さらにいえば、娘を遠ざけ、自らも試し切りにされて

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【劇評190】仁左衛門の『毛谷村』の粋。踊り二題は、梅枝の自在。鷹之資、千之助の懸命。

 広大なロビーを一階と二階に持つ幸福。トイレために行列もできにくい。幕間取れる。三密もおのずと避けられる。国費を投入した権威主義的な建物が、こんなときに役に立つものだと妙なところで感心した。  今月の第一部、第二部は、時間の制約はあるものの歌舞伎を観る醍醐味がある。  この危機に際して、国立劇場の制作はじめスタッフが、歌舞伎の未来を担保しようと懸命に智慧を絞っているのがわかってうれしくなった。  さて、第二部は、仁左衛門の『毛谷村』である。  騙されやすい剣の達人が、不思

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