【劇評287】目に焼き付けておきたい玉三郎の揚巻。
師走の襲名披露は、一年の締めくくり。しかも夜の部は、配役を一新した『助六由縁江戸桜』が出た。
今月が待ち遠しくてならなかったのは理由がある。先月、玉三郎の揚巻を観ることが出来なかったからである。
これはもちろん私の推測にすぎないけれども、玉三郎の揚巻は、これが最後になるのではないかという予感がある。衣裳が重いのは周知のことだ。藝域が頂点に達すると、揚巻のような体力的に厳しい役がむずかしくなる。私は、見納めのつもりで、歌舞伎座へ向かった。
私が観た日の配役は、團十