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日記祭に委託参加します

2023年12月10日(日)、BONUSTRACKで開催される日記祭に委託で参加します。日記屋月日さんに、先日出した日記本「わたしのふね」を置いていただきますので、是非お立ち寄りください!月日さんの店内を探すと、わたしの既刊も何種類かございますのでよろしくお願いします。

このページの写真、第一回の日記祭の写真ですね。なつかしい。写真のどこかに我々も映り込んでおります。
第一回の日記祭のときの日記を掲載いたします。日記のワークショップ(滝口悠生さんがファシリテータでした)の第一回目でもありました。ワークショップ、いま思い出しても楽しかったな…。

2022年4月10日(日)(ワークショップ一回目)

本日は晴天なり。めちゃくちゃいい天気。日記のワークショップと日記祭に参加するために早起きして、大きな荷物をガラガラ引きずりながら下北沢を目指す。ガラガラが重すぎて早速腰が痛くなる。

ワークショップの会場は、下北沢のボーナストラックのコワーキングスペース。道すがら参加者の人の日記を読みながらきたので、先着の人たちを伺いながら「誰がどの人だ…?」とドキドキ過ごす。みなさんなんだか知的な雰囲気があって緊張する。

ファシリテーターの滝口悠生さんの小説が大好きで、滝口さんのお話を聞きたくて参加を決めたのだが、滝口さんがわたしの書いた文章を読むということに直前まで思い至ってなかったので、己の日記にコメントが書かれた時に冷や汗をかいた。あまり物事を深く考えないのが仇になってる。

ワークショップは、くだけた雰囲気で、でもみんなが「日記」についてなんか考えてきているぞって感じがして面白かった。以下、ワークショップのメモ。

文章を過去形で書くか、現在進行形で書くか/「と、思っている」の連用/日記を書く人間は「日記を先取りして生きている」/小説には「意味がない」言葉はないが、日記じゃなきゃ言葉にされなかった文章がある/毎日日記を書くと、「日記」という行為が一日の中にうっすらと広がっていく/一日の記録の中にどのくらいの時間を入れ込むのか。その日をどういう一日だったと考えるのか。/自分以外の読み手を想定して書くのと、自分だけのものとして書くかで全然ちがう

参加者Mさんの「忘れちゃってもいいことを、もったいなくてすべて残したい」という言葉がとてもいいなと思った。人生を全肯定するような言葉!色々考えすぎて頭がボワボワしたあたりでワークショップは終了。今度は日記祭へダッシュ!慌てて自分のブースの用意をする。

外はすごくいい天気で、わたしのブースは直射日光がさんさんと降り注ぐ場所だった。ボーナストラックの中庭は、草木が茂りかわいいお店に囲まれ、あちこちに置かれたテーブルでは、おいしそうなものを食べたりの飲んだりしている人がたくさんいる。こんな明るく素敵な場所で、自分が作った本を売るのか。自費出版の本を売るというのは、もっと薄暗い営みかと思っていた。しかも周りの人たちもわたしも、売っている本は「日記」なのだ。みなが自分の生活を記し、自分の内面を綴った文章を、光あふれる中庭で売るの、ほんとによくわからない行為で面白すぎる。

友人や思わぬ人が訪ねてきてくれたり、前の本から読んでくれていて続きを買いにきましたと言ってくれる人もいた。声をかけてもらうと有り難すぎてフワワワワと舞い上がってしまった。

わたしは仕事がマーケティングなので、なるほどこんな人が私の本を読んでくれるのかとか、出展者の傾向は、全体の客層は、年齢は、ターゲットはなどと、最初のうちはまわりを観察していたけれど、わたしが思っていたよりもずっと老若男女とりまぜて豊かで幅広い人たちが訪れ、みんなが気さくに話しかけてくれるイベントだった。仕事でPCに向かっている時に、客層のセグメントや年齢地域、売れそうな人たち売れそうな場所をひねり出して広告を出したりDMを送ったりしているが、データ見て物を売ろうとしてはだめだ、外に、外に出ねばならぬ…、そして人と会うのだ…。などと己の仕事を根幹から否定する、そんな気持ちになった。

何も知らず通りがかった女性に「これはなんのイベントなの?」と尋ねられ、自分が書いた日記を本にして売ってるんですと答えたら、「えっ!みんな日記を書いて売っているの!」と驚かれた。わたしもその言葉に改めて「そうですよね、驚きますよね!」と言ってしまった。
すぐ近くのMidori(文房具屋さん)のスペースでも、日記帳がよく売れていた。世界のみんなが日記を書いているような気持ちになる場所になっていた。

午後から姉妹とナナオさんがやってきてくれた。姉妹が張り切って店番をしてくれたので、わたしとナナオさんは中庭のテーブルで自分のスペースを眺めながらルーローハンを食べてビールを飲んだ。なんと気持ちの良い日曜日。会いたい人に会え、お話できて、面白そうな日記本をたくさん買えた。終わる頃にはくたくたになり(普段外に出ないから、屋外にいるだけでダメージが蓄積される)、姉妹と一緒に駅のスタバで一休みしてから帰った。下北沢はわたしが若い頃に遊びに来ていた下北沢と全然ちがう街になってしまったけれど、新しい面白さが作られている街だなと思う。

先に帰ったナナオさんが晩ご飯を用意してくれており、今日の楽しかったお話をたくさんして、お風呂に入ってバターンと眠る。


日記祭でおいている本です。
「わたしのふね」A5 / P134 / ¥1000


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