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会社を作る話

 いきなりエスコンフィールドの写真で始まりましたが……内容とは一切関係がありません(笑)。悪しからず。
 いや~、エスコンフィールドは素晴らしかったな~。

 それはそれとして。先のテーマはやや内輪的と言いますか、あまりボードゲームの役に立つ内容ではなかったように思いますが、今回からはもう少し役に立つ内容になると思います。ただ、「刈谷の場合の前提」を語っておかないと、今後の話の理解が難しくなるところもあるかなと思い、書かせていただきました。「ここがこうなるのは、刈谷の場合こうだからだな」「自分の場合はそこは参考にしなくていいな」という感じで読んでいただけたらと思います。
 なにせ、「どうやって会社を作るか」とか、「どうやってボードゲームを作るか」とか、「それで生きていけるのか」とか、シチュエーションは千差万別ですので(笑)。あくまで「刈谷はこうだったので、参考になれば」という程度の話です。

 そんなわけで、今回は会社を作る場合の手順を語っていきたいと思いますが……わたしの場合、今回全部人に丸投げしたのであまりよく分かりません。ワハハ。

 一応言い訳すると、実はわたし、会社を作るのは2回目なんですね。
 そもそものわたしの経歴をかいつまんで話すと、もともとは神戸のグループSNEさんに所属しておりまして。
 2003年、30歳のときに『Role&Roll』というTRPGサポート定期刊行書籍(正確には雑誌ではない)を出すうえで、SNEとアークライト間での緊密な協力関係を構築するために出向したんですね。
 出向期間が切れた際、アークライトの社員になるという選択肢ももあったんですが、わたしはいつかボードゲームの仕事がしたいと思っていたので、自由がきかない社員になるのは避けて、外注という立場を選びました。

 そこから10年経った2013年、40歳になったとき、SNEさんにもアークライトさんにも義理を果たしたと思ったので、「ボードゲームの会社作るんで、アークライトの外注業務はこれで終わりにさせてください」と相談しに行ったんですね。
 実際役所を回って、定款(ていかん。ウチはこういうことをする会社ですということを記載した書類。会社を作る際必要になる)とかも作って会社ができた直後、アークライトの社長さんと飲みの席を持った際、「そのボードゲーム制作の仕事、ウチ(アークライト)でやらない?」と言われ。
「確かに個人の資金でやるより、アークライトの資金で始めた方が大きいことができるよな~」と思い。さらに言うと、そのときアークライトが運営を引き取っていたゲームマーケットが、可能性が大きいのに地味な運営を行っていてもったいなく感じていたので、「ゲームマーケットの運営を任せていただけるなら承諾します」と返事したんですね。
 そしたらまあ、社長さんが「いいよ」と。軽く。「キミがトップの部署を作るから、ヨロシク」と言われて、社員になってしまい。
 なので出来たばかりの会社は、1か月も稼働しないまま終わったと、そういうことがあったのです。
 ちなみに「1人のスタッフを入社させるために新部署を作るなんて、凄いですね!」「自慢ですか?」とか思われそうなので先に説明しておくと、2013年のアークライトはまだまだ吹けば飛ぶような小さい会社で、その割に部署はいろいろある会社でしたし(小さい会社にありがちな、メンバーみんなに部署と肩書がついてる感じのやつですね)、わたしの新規事業部はホントにわたしとバイト1人でスタートしたので、そんな凄い話ではないです。

 結局今回も昔話をしてしまった。
 ともあれ、10年前に自分で会社を作った経験はありまして、そのときは何度も役所に通い、職員さんにいろいろお話を伺いながら、いろんな本を読んで勉強して作った記憶があります。
 ですがあれから10年が経ち、会社を作る際の手順も細かいところがいろいろ変わったと聞きます。それをまた勉強し直すのも大変だなと。またまさにこの10月から、インボイス制度が始まります。そうしたことを考えると、普通に会社の経営をするだけで時間を取られすぎて、肝心のゲーム開発ができなくなってしまう。

 そんなとき、20年以上編集プロダクションを経営している友人がいろいろと世話を焼いてくれまして。いわく、「会社設立なんて自分でやってたら大変だぞ」と。「金で処理しろ」と。
 具体的には、彼が世話になっている税理士さんを紹介するから、その人に丸投げしろと言われ。
 実際その税理士さんに丸投げし、税理士さんから紹介された司法書士さんがもろもろの処理を行ってくださいまして、本当に、ほとんど何もしないまま会社ができてしまいました。
 定款すら、ほぼ先方が作ってくれましたからね。ポイントをお伝えしたら、あとはフォーマットという感じで。
 いや~、楽でしたね。
 正直、会社ができたという実感もほとんどありませんでした(笑)。

 これ、自分が最初に作る会社だったら、結構気持ち悪かったんじゃないかなと思います(笑)。逆に言うと、1回自分で作っているから、今回素直に丸投げしたというところはあります。
 自分で作ったことがないなら、税理士さんや司法書士さんに協力いただくとしても、もっと能動的に関わった方が実感は得られると思います。

 さて、これだけだと何の役にも立たない、わたしの日記になってしまいますので、ここからはもう少し皆さんにとって興味がありそうな話に移りましょう。
 ずばり、金の話ですね。

 じゃあ税理士さんに丸投げしよう、司法書士さんに丸投げしようとなって、実際にいくらかかるのという話です。
 その前に、まずなぜ株式会社ではなく合同会社にしたかですが……これも上記の友人に合同会社を勧められたからですね(笑)。
 合同会社の方がもろもろ安く済むよと。儲かるまでは合同会社でいいんじゃないと言われ、それもそうだなと合同会社にしたという感じです。

 で、合同会社設立を司法書士さんにお願いした際にかかった経費ですが、印紙代が6万円、合同会社設立の手数料が約4万円(さまざまディスカウントしていただいた金額です)。さらに会社の印鑑3点セット作成も丸投げして、これが約2万円。
 ざっと12万円で会社ができた感じです。

 うーむ。ありがたい。

 ただ、当然それで終わりではありませんで。
 司法書士さんを紹介してくださった税理士さんとは、月に約2万円で顧問契約を結ばせていただきました。これは会計処理的な相談を聞いていただく感じですね。ちなみに、当然友人の紹介によるディスカウント価格です。
 それに加え、年に一度の会計処理を12万円でお願いしてあります。
 このへんは、2年目、3年目と処理が増えていくにしたがって月3万+18万円、月4万+24万円と上がっていく契約になっており、その後は状況に合わせて検討しましょうという感じになっています。
 会社が儲かってガンガン稼いで取引も多岐に渡っていれば会計処理も大変になりますし、さして儲かりもせず、ギリギリ生きていたら会計処理はらくちんということですね。

 あとは「ドメイン」と「JANコード」「会社用銀行口座」の取得。

 ドメインに関しては、「お名前.com」さんで取得しました。
harvestvalley.jp」の3年契約で約1.5万円。

 JANコードはGS1 Japanさんのところで申請して取得します。
 小さい会社なので、取得するJANコードの数は100個にしておきました。アークライトにいた10年間で開発したタイトルが50個程度でしたし、当面スタッフが刈谷ひとりであることを考えると十分でしょう。
 費用は3年間分で1.65万円。ウチの会社はまだ1円も稼いでいませんので、費用は最低ランクです。
 バーコード使用料を10万くらい払える身分(年商100億円以上)になりたいものです。

 会社用の銀行口座は「GMOあおぞらネット銀行」さんで作りました。
 これはお世話になっている税理士さんが、「Pay-easyが使えると便利だし、GMOあおぞらネット銀行で口座作ってちょ」と言ったから、素直にそれに従った感じです。特にこだわりもないし、言われるままに(笑)。
 ただ、会社用の口座を作るのは結構大変でした。いろんな資料の提出が求められまして。一度電話口で、「こちとら融資を受けようというわけじゃなく、ただ口座を作りたいだけなのに、計画書を出せとか取引実績を出せとか、何やねん」とお尋ねしたところ、「会社口座を悪用するヤカラがおるから大変なんですわ」と嘆かれまして。
 あ~、聞いたことあるわ。マネーロンダリングな。
 査察が入った際、家建てるのに協力した役員をクビにして窮地を逃れた話な。聞いたことあるわ。
 そんな感じで大変でしたが、なんとか口座を作ることができました。こちらは口座を作るだけですので、費用はかからず。

 あ、あとは会社のロゴですね。
 これはイラストレーターの平尾リョウさんにイラストラフを描いていただき、グラフィックデザイナーの上林将司さんに仕上げていただきました。
 これにかかった費用は……さすがに伏せておきます(笑)。友人価格でめっちゃかっこいいロゴを仕上げていただき、感謝であります。

 トータルしますと、今回の会社設立にかかった費用はざっと15万円程度。
 これに年間の経費が36万円。
 案外安く済みますね。
 ありがたい。

 ただまあこれは最初にもお断りした通り、あくまで刈谷の場合は、です。
 友人がいい税理士さんを紹介してくれて、その方がいい司法書士さんを紹介してくださって……という流れがあるので、そこはご理解ください。
 全部自力でやっても、印紙代とドメイン費、JANコード費とかは普通にかかるんで、であれば確かにお任せした方が断然楽でいいかな~というのが個人的な感想です。
 まあ会計処理を全部自力でやる場合は、そのへんの費用が丸ごと浮くのでだいぶ変わりますが、会計処理を自分でとか、わたしは想像するだけでゾッとしますわ。上記金額で済むなら、ぜひお願いしたい。

 そんな感じであります。いかがでしょうか。会社を作るだけであれば、案外大したことないなという印象ではないでしょうか。
 悩んでいる方は、レッツトライ!

 では次回は「ひとりの会社でどうやってボードゲームを作っていくのか」について語っていけたらと思います(笑)。

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