見出し画像

絆で繋がる明日の世界!/遊☆戯☆王VRAINS②イグニス編 感想

これまでの!遊戯王VRAINS!!


祝!VRAINS放送開始5周年!!


めでたいですね〜〜〜。つい最近ハマったばかりの身で言うのもなんですが、こうして周年記念が公式からお祝いされたりポップアップショップが開催されるのは、嬉しさと同時にファンに長く愛されている作品なんだなぁ…と温かいものが胸にこみ上げます。

最近の私はといえば、ヴァレットデッキを組むとともに「たまには見栄えの良いスクショをバーンと前面に打ち出したいよね!」と、サムネを作るためにソロモードでずっとあーでもないこーでもないしてました。付き合ってくれてありがとうユベル…。
ヴァレットはドラゴン族だからサポートが充実しててデッキを組むのが楽しいし、ヴァレルロードが各種召喚に対応してるのでどれに特化させるか悩みどころですね。好きなモンスターは「フィールドにヴァレットがいると見るや手札から飛び出す姿がフリスビーを追いかける大型犬みたいで可愛い」と自分の中で評判のアブソルーター・ドラゴンです。

そんなわけで見ましたVRAINS 2期!1期46話を見た時は「あまりに綺麗な最終回すぎる。この後一体なにするんや…」となったのも杞憂というもの。なんせまだイグニスがいたんだよなぁ…。

47~70話

まず新OP「go forward」の話していいですか?

歌ってるのKIMERUさんじゃねーか!!記憶編のOPを飾った「OVERLAP」にマインドをクラッシュされた少年期だったので、遊戯王でこの名前を見ると否応なしに盛り上がってしまいます。
映像も凄まじく良い。2期では遊作の新たな友であり、同じロスト事件被害者の背景をもつ穂村尊/Soulburnerが登場しますが、遊作との距離感やキャラクター性が巧みに描かれています。
知り合いが遊作の周囲を通り過ぎる中で肩を組んだり(遊作も嫌がってない!?!!?)、共にログインする辺りで相棒感を出すから今シリーズでの立ち位置がさらっと分かるし、優男な風貌から一変してSoulburner時の烈しい表情とのギャップで心をぐっと掴まれる。「同じ痛み感じていたい」のパートで浮かべる凛々しい眼光に、「顔が良いってこういうことだよな…」としみじみとため息をついてしまった。赤いスカーフがLINK VRAINSを救った「ヒーロー」の概念への憧れを感じさせるかのようなのもよいデザインですよね。
他にも意味深なカットや新キャラのブラッドシェパードやボーマンたちの顔見せだけでなく、鬼塚やブルーエンジェルの姿が変わってるのもシナリオへの牽引力を高めます。

既に崩壊していたサイバース世界!お尋ね者になっているPlaymaker!草薙仁を狙う新たな敵!こういうのでいいんだよ…。
デュエル中にモンスターを連続で展開しまくるリアルさは1期同様でしたが、2期はさらに従来の召喚がクローズアップされたのがたまらない!
儀式!儀式召喚ですよ!!本当に度肝を抜かれたしまさか初代以降でこれが見られるとは…。儀式はEXゼロフェスでちょっと使いましたが、手札消費が多いからこれ使いこなせるだけで玄人だよなぁ…と感じていたので、初っ端からこの展開は痺れました。

Soulburnerの転生炎獣サラマングレイトも、「転生リンク召喚」によって召喚時の効果を複数回使用するのが、新たなリンク召喚の可能性を感じさせて良い。激しいデュエルに反して専用BGMが神聖さを醸し出してるのも炎が持つ穢れないイメージを補強します。
炎のイグニス不霊夢のキャラもいいですよね〜。熱血漢と思いきや意外にもクールキャラ…と見せかけてなんか独特のムーブをするなど、常識人寄りの尊とコントみたいな会話をするのがハードな展開の清涼剤となりました。

それにしても、尊が普段は眼鏡をかけた優男を演じてるのはなんでですかね?ポップアップショップのPR画像を見たときはまだ2期未見だったので「えっ白髪が増えるの!?肌が浅黒くてワイルド目な了見とこの儚げな眼鏡の人でキャラクターの差別化してるのありがたいな…」なんて思ってたけど蓋を開けたら作中屈指の武闘派でしたね。優れた決闘者は武力も強い。

既存キャラの変遷の話。自分の憧憬をアバターに投影していたブルーエンジェルが、己の未熟さを知ったことで他者との繋がりを実感し、真に全力で今を生きる決意が「ブルーガール」のアバターに表れているのがかなり好きです。遊作たちがアバターに頓着しない反面、葵は本質の成長がアバターの変化で視覚的に表現されていているんですよね。この青臭い心情にエマが絆されてるのがなんかもう素敵です。
葵が融合を使うのも、思い描いた理想の姿である天使の精神性と現在の自分を完全に合一させたようでいいんですよね。ブルーガールはビジュアルもキュートでかなり好きだったり。

どうしちまったんだよ鬼塚さん!!遊戯王お馴染み屈強な強者が勝利に取り付かれるのをここで持ってきたか…。
プロの世界で勝利をおさめ、栄光を得てきたからこそ譲れないものがある。それが己の半生をかけたデュエルならなおのこと。鬼塚にとっては自分を取り戻すための闘いであり、その姿を嗤うことがどうしてできようか…。(それにしてはなんか描写がねっとりしてた感はあるんだけど)
プロレス技モチーフかつデュエルスタイルに興行の趣が強かった「豪鬼」デッキから、格闘技や戦闘術をモチーフにした「ダイナレスラー」へ変化してその本気度が伝わるのも良い演出。でも毒霧を吹いてた頃のお前はもっと輝いていたぞ

では遊作は?というところですが、2期の遊作は「未来は作るしかない!」など、言動がかなり明確に未来へ向かって視線を投げかけているのが目覚ましい。ロスト事件、ひいてはハノイの騎士との因縁を解消して新たな明日を始められているんだな…!



この回は序盤の山場なだけでなく、「繋がり」を意識した本作においてその文脈を大いに高めるエピソードでした。
自己の基盤となる記憶すら他者によって操作される可能性のある脆いものだと遊作が言及しますが、自分こそが正しく藤木遊作なのだと確信するに至ったのが「幼き日に遊作を家に招いたことが誘拐の遠因となってしまった、了見の後悔する姿」だった──かつての敵であり同じく運命の囚人だった因縁こそが、自己たらしめるというのが上手い!
特に2期序盤は了見たちハノイ側が不在の展開が続きましたが、だからこそ遠く離れていても確かに消えないものを感じさせてここは大いに盛り上がりました。



序盤のベストバウトといっても過言ではないSoulburner vs ブラッドシェパード戦。ここはストーリーとデュエルの移り変わりが相互に作用して本当に堪らなかった…!
イグニスと共に戦う者とAIのメッセージを利用して欺く者の対立構造は遊作に対しても同様に描かれていましたが、ロスト事件のトラウマを抉り出すブラッドシェパードに対し、不霊夢と尊が互いに言葉を介さずに欺き返すカタルシス!搦手を使う相手の虚を突いて一杯食わせるのが痛快なんだよな…。予告を見た時は「トラウマに苛まれる尊が覚醒するんだろうな~」と思ってましたがとんでもない。今の尊は過去の闇を乗り越えて力強く羽ばたいていた…と、こちらの予想をも上回る展開に思わず釘付けになったし、このコンビがかなり好きになった回だった。既にロスト事件のトラウマを乗り越えていた尊が「闇より出し絶望」を相手に転生リンク召喚で逆転する、転生炎獣デッキと決闘者の在り方が深く結びついたデュエルの棋譜が本当に美しいんだ…。

今にして思うと、ブラッドシェパードは遊作と尊の対存在としての描写が見受けられますね。登場時はAIへの憎悪をぶつけるだけで割と文脈が宙ぶらりんな感がありましたが、丁寧に理由を3つ教えてくれる遊作に対してスリーカウントの途中で奇襲してきたり、奇しくもロスト事件の余波によって親が取り返しのつかない被害を被る…みたいに二人への共通項をみせつけてくるのがニクい。最終的に対立こそしなかったものの、こういった要素を散りばめて「この先どうなるんだ!?」と先の展開への期待感を持たせる作劇が心地よかったですね。


イグニス編と(Dアニメストアが)銘打ってるだけあって、多くのイグニス達が登場したのも2期の大きな特徴でした。Aiだけの時はマスコットの印象が強かったものの、不霊夢やアース、アクアといったイグニスの個性的なやり取りがいいんですよね。
その大きなターニングポイントとなったのが67話「Aiに宿る慕情」。イグニス同士の親愛、恋慕ですよ!!!クリスタルハートを守るため何度墓地に送られても復活するインヴァリッド・ドルメンの姿でアースからアクアへの愛情が表現されまくってるし、負けてなおクリスタルハートに傷一つ付けさせなかった姿が圧巻。
この回はアースが抱く愛情もそうですが、アースにイグニスの未来を見極めさせようとするアクアで意思、引いては自我の話をしてるのが、イグニス達を単なる人工知能などではなく知的生命体たらしめてグッと作品の空気を引き締めます。あと、アクアの専用BGM「真実を見通す目」がほかの曲とは一線を画す神秘性、静謐さがあってかなり好きですね。2期見終わって速攻で購入してしまった。
その横で遊作がAiに塩対応するいつものやり取りをしてたと思ったら、「俺たちは自らの意思で共にいる。それを相棒と呼ぶのなら…好きに呼べばいい」と実に番組開始から1年以上かけた特大のデレを見せつけてくるのでビビり散らしてしまった。そういうのチェーンする時は事前にちゃんと言ってくれよ…。


さらに、まさしく上位存在といった風格のライトニングとトリックスターじみたウィンディたち人類に敵対するイグニスが登場して、さらに物語が混迷を極めるのが面白いし、ついにここでハノイの騎士たちが物語に本格参入して波乱を巻き起こすのが、良い!!

俺たちのリボルバー!!!!1期と違い、表情が分かるようになったり髪色が了見のそれに近いものに変化するほか、細かなカラーリングが変わったことでだいぶ印象が変わりましたね…!ハノイの首魁「リボルバー」ではなく、1期で少なからず遊作と心を通わせた「鴻上了見」の要素が表出してるようでポイント高いですよ。

Q,リボルバーの表情が分かるようになって何が変わりましたか?
A,イグニス達が起こした所業へ了見が浮かべる怒りがまざまざと味わえます

そんなことある??1期ではハノイが実質テロリストなのもあり善悪二元でまだ語れましたが、2期ではそう単純にはいかない。パートナーを故意に死へ追いやったウィンディの醜悪さによって人類とイグニス、つまりは「自らを支配しうる上位存在」との共生がいかに困難かと突きつけられる、この緊張感が堪らねぇよ…。イグニスが何かやらかすたび、墓地の鴻上博士の代わりに了見へカルマが積み重なる地獄みたいな構造ほんと何?

そして2期リボルバーの初デュエルとなるvsウィンディ、マジでやりましたね魔法の筒マジックシリンダー!!やっぱりマスターデュエルは嘘をつかなかったんや…。往年の強力カードとはいえ使い方がまた上手い。同時にリバースエンジニアリングを伏せることで破壊をケアし、デリンジャラスドラゴンと組み合わせて相手が攻撃してもしなくてもこちらがアドを取れるように図る、「静」の先行挙動で高い知略が輝きますよ!誰もが知ってるカードでやるからこその魅せプレイですよね。

そして遊作たちが新たな召喚方法に目覚めたというのならば•••リボルバーが手にするのはスターダスト・ロードが描く光差す道の先!
「私と父のをお前たちごときが理解するなど、到底無理な話だ!」
シ、シンクロ召喚~~~!!前作までと打って変わって、サイバー調にアレンジされた召喚演出で気分が高揚します。鴻上博士やハノイの騎士たちとの絆を胸に抱いて戦うリボルバーがシンクロを使うの、5Ds原典からの文脈を活かすのが上手すぎる…。ヴァレルロード・サベージ・ドラゴンが効果でヴァレルロードを墓地から装備するのも、鴻上博士の遺志を継いだメッセージ性を補強してるのに気づいて震えました。こいつがアウローラドン以外を装備してんの初めて見たな…。


2期は遊作陣営のほかに、メインの敵となるボーマンたち・鬼塚たちを擁するSOL社・独自にイグニスたちを追う財前兄妹とエマ・物語の中核を成すイグニス・そしてハノイの騎士と、様々な陣営が入り乱れ混迷の様相を呈するのがかなり面白かった!特にSOLは1期では影が薄かったのもあり、大企業の脅威を見せつける展開の数々は常に緊張感ありましたね。


71話~


勝利を渇望する鬼塚がAIを脳に埋め込み、遊作たちと完全に敵対する衝撃の展開。仮にも1期で共に戦った仲間であるキャラをここまで容赦なく動かすとは思わなかったから本当に驚いた。お前は脳にAIを移植して、俺は骨折した足に恐竜の化石を組み込んだ!そこに何の違いもありゃしないドン!
力を求めた鬼塚が、筋骨隆々な好青年から幽鬼を思わせる痩身の男に変貌するの怖いよ…。
67話でアースがクリスタルハートを守り切ったのが前振りだったかの如く、デュエルの果てに砕かれる尊厳破壊でビビッてしまった(どうでもいいけど対象を取る、取らない効果の違いにまで踏み込むのさすがに視聴者を信頼しすぎでしょ…)。
アース敗北時の「やめろ!やめてくれええぇぇぇぇ!!」の悲痛さに慄いたと思ったらまだ終わらない。イグニスアルゴリズム解析のためSOLに捕らえられたアースが分解されて命を落とす、本作でも類を見ない壮絶な幕引きで視聴後に呆然となりました。アクアを走馬灯の中に想起しながら、情報集積体であるイグニスの死が記憶の消滅と表現される辺り最後まで手を抜かない容赦のなさなんなんだ…。

「止めてくれ!私には意思がある!私は…生きているのだ…!」
イグニスを喜怒哀楽も愛もある知的生命体として描いてきた積み重ねから、「死」を突きつける一連の流れで生命の概念を完成させるの人の心が無いし、アースの死をあのスペクターが感じ入って不意に涙を流すのが強烈に胸を締め付ける。

鬼塚とのラストデュエルでは、ファイアウォールの効果やスキルの無効化を逆手にとるなどあらゆる戦略が駆使されましたが、最後に残ったのが決闘者の本能だった…という、鬼塚に燻っていたものを呼び起こすかのような展開がえげつなくて好きです。そしてついに出ましたよエクシーズ召喚!!私はエクシーズ召喚が好きなので、電子の姿になって二重螺旋を描くオーバーレイネットワークや、まるで∞の字のように回転するユニットが美しくて涙が出そうになったよ…。


2期は通年でボーマンたちと戦うことになり、すなわち「裁きの矢ジャッジメントアローズ」の攻略がデュエルのメインストリームとなりました。「もうリンクマジックもハイドライブもこりごりだよ〜」となりがちでしたが、キャラ間で情報を共有しあったり、どう攻略していくかでキャラの個性が出てたのが嬉しかったですね。私はスペクターが「持たざる者」としてリンクマジックを奪い、さらにはエクストラリンクをも奪って盤面を完成させる棋譜が美しくて(その後、逆に致命的な一手で逆転される流れも含めて)感嘆としました。


リボルバー「永続罠発動!王宮の勅命!!」
それでもほんといい加減にしろよ!??いや理屈は分かるんです。リンクマジックが魔法カードな以上、勅命が刺さるのは当然なわけで。でもそこはヴァレットのオリカで対処しても誰も文句言わないのによりにもよってさぁ…。リボルバーは終盤のライトニング戦でもマインドクラッシュで対策したり、既存のカードで攻略しようとする辺り独特の持ち味(穏当な表現)がありますね。この妙な真面目さが、父の意思とロスト事件の罪悪感で板挟みになった了見その人の在り方なのだなぁ…と飲み込みましょう。そんな綺麗にまとめていいのか?既に立ってるだけで面白いし君カードショップでストレージ漁るの絶対好きだろ…。


総集編が多いのが愛嬌なVRAINSにおいて、作劇への組み込み方が巧みだったのがこの回。「過去を振り返る」総集編のフォーマットを逆手に取り、「尊と了見の過去を限界まで掘り下げたら避けられない因縁にぶち当たるよね?」とシームレスに決戦の場を作りつつ、決戦に向けた共同戦線の下地を形成する妙手が光りました。
ロスト事件が原因で親を亡くした尊と、責任を負える立場でなくとも父の思想と共に責任をも背追い込もうとする了見。失ったものが取り戻せないがゆえに無視することの出来ない、2人の因縁が余りにも辛い。
了見が無抵抗のまま倒されることをも辞さない不器用な誠実さとか、尊も尊で行き場のない怒りに慟哭するままならなさは、1期を思わせる重さを放ちました。
そんな彼らの間を不器用に取り持とうとするのが、過去を振り切った遊作というのも良いですよね。この回で遊作は戦いが終わった後の未来を見据えているのが伺えるなど、「過去を振り返り未来へ歩む」姿が垣間見えました。持ち越された2人の因縁、その結実を楽しみにしましょう。





VRAINS恒例となっ(てしまっ)た終盤のレギュラーキャラvsボス!水と火属性ゆえにハイドライブでガッツリ対策される二人ですが、それでも勝利の天秤が常に揺れて互いに一歩も引かないデュエル運びは、1期以上に「これ…勝つんじゃないか!?」と手に汗握って楽しみました。
ブルーガール改めブルーメイデンは、最終的に負けが見えていても自分のデュエルを貫き戦略を全うする姿がひたすらに気高かったですね。1期のvsスペクターが土壇場で足元を掬われ敗北を喫したのを踏まえると、アバター=精神性の変化に伴う成長が目覚ましかった。葵の覚悟にボーマンが敬意を表するのも格を高めていいよなぁ。

「猛る魂」はベストサブタイトル賞をあげたいレベルで好きなサブタイです。ダブルミーニングいいよね…。
ボーマンですが、ここにきてダイスロール──運に頼るのが面白い!遊戯王といえば、歴代主人公がデッキ=自分の未来を信じぬく信念の反映として天運を呼び込む光景がありましたが、ボーマンはAIのフォーマットに落とし込んで「学習の果てに確率をも収束させる」地平に行きついたようで要素の使い方が上手い。
歴史上、ゲームだけではなく神の意志として占いに用いられてきたダイスを、イグニスの神であり至高のAIたらんとするボーマンが使うのは面白い。古代におけるゲームは人間や王の未来を予言し、運命を決める魔術的な儀式であったと言うもんな…。

出典:高橋和希「遊☆戯☆王 モノクロ版1」9頁(https://bookwalker.jp/ded68f4ef5-07f6-4e7d-b4c4-43b7dd9ea60c/)

しかしただ運に頼るだけでなくてジャッジメントダイスで確率をもカバーしてくるのはさすがに可愛げがないなー!?少しくらい城之内の男気を見習ってくれ。

不霊夢の最期は思わず叫んでしまった。同族ウィンディへの慈悲がよりにもよって踏み躙られるのが辛すぎる…。遊戯王、割とこういうとこありますよね…。


リボルバーvsライトニングは、作品におけるひとつのクライマックスとしてかなり気合の入った回でした。作画も迫力があったし、突如出現するヴァレルロード格納ドックで不覚にも盛り上がってしまった。あれがリボルブートセクターちゃんですか?せっかく発進シークエンスがあるんだから「私はヴァレルロードで出る…!」って言え。

最も優秀と目されたライトニングが、実は人類もイグニスの未来をも破滅させうる存在だった…そんな反転の構図で度肝を抜かれる。神話の英雄じみた天装騎兵テーマを使うのも、己を人類の上位存在なのだと殊更に主張するようでした。種の行き止まりを感じてイグニスの上位存在たるボーマンを生み出したのもどことなく鴻上博士の所業を感じさせ、実の子である了見と要素を継ぐものとしてのライトニングの戦いは物語の本筋を更に物々しくさせました。

それにしてもこの真相開示、かなり残酷じゃないですか?他者と繋がることで未来が拓かれる不文律があるこのVRAINSで、ライトニングが「人類と関われば他のイグニスもろとも破滅の未来に導く」と数十億のシミュレーションによって確定するの、あまりにも•••。ライトニングのしたことに同情の余地は一切ないですが、所業に至る導線は自然ではありますよね。世界のロジックから外れてるのなら、世界そのものを破壊するしかない。
ここを踏まえると、「裁きの矢」もまた違ったメタファーが伺えます。ヒトと繋がれぬ欠陥品が無理矢理その手を伸ばし、絆を知らぬままにその力を模倣するかのような滑稽さというか…裁きの矢がフィールドを離れるとモンスターが全破壊される効果がわざわざ付いてるのも、他者との繋がりが断たれた者は果たして生きているのか?とライトニングも根底では理解しているかのような、自嘲じみた響きを思わせますよ。
ウィンディを洗脳したのも自分の手駒を増やしたい思惑だけでなく、どんなシミュレーションでも邪悪な個体が生まれないとされたウィンディの在り方への想いを浮かべてしまうな…。


ここでリボルバーが父親を介護した経験から生命の息吹を感じ、エクシーズ召喚を繰り出す…エッXエクスチャージドラゴン!??お前出るんか!?マスターデュエルでのヴァレルロード系列のレアリティは軒並みUR,SRな中、XドラゴンとRライオットドラゴンは遥かに安上がりだから「俺は好きだけどサベージとかと違って低レアだし出ないんだろうなぁ…」と勝手に落ち込んでたので嬉しかった。OCGで背景をX字に貫くイラストとか黒メインのカラーリングがめちゃめちゃ好きなんですよ…。遊作の時もそうでしたが、召喚演出の二重螺旋を生命の種としての骨子と直球で物語に組み込むあたりの作劇が真面目で唸る。

仁を人質に取られて攻撃の手を緩めてしまうのが、アバターが鴻上了見の姿に寄った=本来の心優しい青年の人柄が滲み出た証左のようで感極まってしまった。負けた時のどこか憑き物が落ちた表情でなんとも言えない感情が沸き上がったよ…。


1年を通して戦ってきた遊作とボーマンの最終決戦。こうして見るとボーマンは次世代イグニスの3号機だったり、「裁きの矢ジャッジメントアローズ」が3本の矢を象っていたり、1・2戦目での記憶喪失や奪われしものを取り戻す復讐者といった要素が遊作との重ね合わせにも見えます。
その終着点として、仲間たちの意思を継いだ遊作と人類の意識を束ねたボーマンの構図は「人との繋がり」をテーマとした本作において文面上は相似でありながら絶対に相容れない相克の様相となりました。
だからこそ、仲間の財前たちはもとより敵対したハノイの騎士が手を貸し、さらにAiが決死の覚悟で持ち帰ったイグニスたちの力で決着をつけるのが大きな意味を成す!

遊作「無駄だと…!?言うな!俺の相棒を貶めるような言葉は、許さない!!俺はAiの意思を受け継ぎ、お前を倒す!!」

そういうのはAiがいる場で言え!!!!Aiが生還したらしたで安堵の笑みだけを浮かべやがってこいつがよ~~~~!!
融合などリンク以外の召喚方法にもクローズアップした2期ラストで、すべての召喚から繰り出されるモンスターを束ねて新たなリンクモンスター「ファイアウォール・ドラゴン・ダークフルード」を生み出すのは、人との繋がりが新たな力を生み出す本作の総括の一種だったのではないでしょうか。それはそうと、サイバネット・コーデックからの展開があまりに実践のそれで少しのけぞったよ!

このラストデュエルは急に人類を利用することに躊躇しなくなったボーマンでお前そんなやつだったっけ!??と驚いてしまったな。ライトニングなんか食べるからそんなことになるんですよ!ペッしなさいぺッて!


2期の終わりに

1期でキーワードとなっていたイグニス達が本筋に絡み、さらに多数の勢力と思惑が入り乱れたことでダイナミックな構成になった2期でした。
デュエル周りのガチ感が高まったおかげで互いに展開しまくってAパートが2ターンで終わるようなのも珍しくなかったのは良くも悪くもといった感じでしたね。私は濃密なデュエル描写に関しては文句なしに満点なんですが、なにせデュエルに押されて日常回の尺が全然ないんだよ!!尊が転校してきて現実世界の関係性が広がりそうなものなのに、そちら方面の掘り下げがまるでないのは残念だったよなぁ。折角リニューアルしたLINK VRAINSが、コミュニティを内包するオンライン空間としてより探索するフィールドくらいにしか活かされなかったのも勿体ないというか。
しかしながら、他者との繋がりの概念に対して1期からさらに一歩踏み込んで描く姿勢はまさしく良きものでした。ライトニングを作品のアンチテーゼに据えつつ、ハルと兄弟の絆で繋がっていたボーマンは人間とAIで相容れない立ち位置として遊作の対存在となる、それぞれ対立した概念の宿敵にした構成とかが好きなんですよ。
…にしても遊作と草薙の出会い編で「シリーズ恒例の闇のゲーム遺跡」が出てくるのはさすがに遊戯王に対して真面目すぎて笑った。これ墓守の一族がプログラミングしたのか?

各召喚のエフェクトがVRAINSに合うようリニューアルされたのも一ファンとして嬉しかったです。召喚と過去作を照応した文脈をストーリーに落とし込む手法も鮮やかでしたしね。この辺は「絆」を描いた5Ds=シンクロがシンプルに強いと感じたし、エクシーズ召喚が好きなので終盤で出てくるのは満を持してといった感じがあったり。本文中でも触れたもののエクシーズのオーバーレイネットワークを二重螺旋=生命や種と再定義するのは惚れ惚れしました。

マスターデュエルに魔法の筒をネタバレされたのはさすがに笑いましたが、王宮の勅命やマインドクラッシュ、Xドラゴンの登場などといった新鮮な驚きもあって楽しかったですね。全部リボルバー関連じゃねえか。とはいえそろそろマスターデュエルとも和解する時期なのかもしれません。VRAINSもあと残すところあと17話、最後まで楽しんでいきたいと思います。





ところで@イグニスターのテーマと当たったんですけど、めぐりAiとかのイラストがもう言い訳不可能なレベルでAiでしかないし•••ついでに言えばこの紫髪の新キャラ明らかにAiですよね????????????
遂にやるのか、闘いの儀…!!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?