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10、介護があっても暮らしや仕事をあきらめない

今の暮らしや仕事を大切にする


親の介護を考えるとき、「親の介護が始まったら、一緒に暮らさなくてはならないのだろうか?」「親の世話は子どもがするのが当然なんだろうな」「親の面倒を自分が見なければ親孝行じゃないのかな…」という想いがよぎるのではないでしょうか。

一方、親の気持ちはどうなのでしょう。親は必ずしも自分の慣れ親しんだ家を離れて子供と同居したいと考えているとは限りません。また、親は子供が自分の生活を犠牲にしてまで自分の世話をするべきと考えているとも限りません。まずは、親子で今の仕事や生活を継続することをベースにして、そのために利用できるサービスがないか考えてみましょう。

仕事をしながらの介護の負担が大きかったり、遠隔地での介護のため、また、介護にきちんと取り組もうと考えて、仕事を辞める人は日本では年間10万人に上ります。
しかし、介護離職後の精神面、肉体面、経済面の負担感が増加した人の割合はいずれも5割超になり、離職後の介護負担感は増加する傾向にあるとの調査があります。 
参考:「ケアマネジャー研修 仕事と介護の両立支援カリキュラム」(厚生労働省)

仕事を辞めると、介護が生活の中心になります。いつでも世話をする・される関係性になり、閉じた人間関係の中で介護する人も介護される人も疲弊してしまうのではないでしょうか。
介護の平均期間は、約5年と言われており、介護の終わりの時期は分からないものです。
介護が終わってから再就職しようとするときには、自分自身も高齢者世代になっている場合も多いでしょう。

就職活動を行った離職者のうち、再就職できた人は半数未満となっており、離職後の再就職は容易ではない状況です。また、仕事をしていない時間が長くなると自信を失いがちになるあるため、働く意欲が減退することも考えられます。参考:「ケアマネジャー研修 仕事と介護の両立支援カリキュラム」(厚生労働省)

「女性だから、妻だから」ではなく

介護や看護の離職者のうち、75%が女性 というデータ(平成28年10月から平成29年9月)が示しているように、男性との収入の差や、これまでの社会通念などで、女性が介護を一手に引き受けてしまう傾向があるようです。しかし、性別や収入や雇用形態に関わらず「仕事は自分の人生にとって大切だ」と考える価値観は認められなければなりません。
介護について考える時に、「娘だから、妻だから」という属性だけで考えることなく、親と兄弟姉妹でどう介護を分担するか話し合うことを考えてみてください。
一人で悩まず、どのようなサービスがあれば、仕事と介護が両立できるか、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談しましょう。

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