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13、職場のその対応、介護離職につながります

介護で仕事をあきらめないために、職場ができる支援は介護がはじまる前から


「介護は突然始まる」と言われています。従業員が介護のために休みの申し出を伝えてきたとき、職場では備えがありますか?
介護の初期は入院や受診などの医療機関での付き添いから始まりますが、認知症と診断されたり、退院後に介護が必要になる場合、サービスの選択や契約など手続きに時間を要します。
介護保険サービスのしくみや、手続きの流れ、在宅介護や施設利用の違い、要介護度などの基本的な介護の知識を職場の相談先(上司、人事担当者など)が持っていない場合、従業員の気持ちが理解できず、「介護と仕事の両立はムリ!」と思わせるきっかけになる対応をしてしまっているかもしれません。

「他人じゃなくて子どもに介護してもらえる親は幸せ」「介護は主に女性がするもの」という先入観を持っていませんか? 

思いやりで発したつもりでも「介護で頑張って親孝行してね」「奥さん、介護してくれないの?」「親が離れて暮らしているなら心配でしょう。今は介護を優先して」などの言葉によって、「介護にかかわることで職場からは期待されなくなるのでは?」「キャリアのルートから外されてしまうかも」「介護休業なんて取れそうもない」などとと感じ、介護の悩みを職場に話せず、一人で抱え込んでしまうかもしれません。

「与えられた仕事は責任をもってやり遂げたい」「職場で役立ちたい」と思うのは、男性も女性も同じです。ましてや長年仕事を続けてきた介護の当事者世代はその思いがあるからこそ、あなたの職場でかけがえのない人材になっているのではないでしょうか。

職場で介護と仕事の両立を支援する第一歩は「介護との両立を応援します。支援しています」というメッセージを届けること。

育児介護休業法による介護休暇・介護休業制度だけでなく、独自の制度を設けることも働きやすさにつながっています。制度の広報はチラシの掲示や社内ネットでの周知だけでなく、セミナーなどで「話す」ことや、誰に話せばよいかわかりやすくすること、介護に関して話しやすい雰囲気を作っておくことが大切とされています。

以下は、厚生労働省「企業のための仕事と介護の両立支援ガイド」より「介護に直面する前の従業員への支援」について「具体的に取り組むべきこと」です。

① 仕事と介護の両立を企業が支援するという方針の周知
② 「介護に直面しても仕事を続ける」という意識の醸成
③ 企業の仕事と介護の両立支援制度の周知
④ 介護について話しやすい職場風土の醸成
⑤ 介護が必要になった場合に相談すべき「地域の窓口」の周知
⑥ 親や親族とコミュニケーションを図っておく必要性のアピール

事前に社内アンケート調査を行い、介護にかかわっている従業員や介護がはじまりそうな従業員がどのくらいいるのかも把握しておくとよいでしょう。




介護休暇・介護休業制度の対象にならない非正規雇用従業員にも柔軟な対応を


育児介護休業法で令和3年の改正で雇用(正規・非正規)されてから1年未満の労働者でも取得の対象になりました。しかし、1週間に2日以下の労働日数で働いている人は対象になりません。

しかし、その所定の労働日が介護に必要な日と重なってしまうことが続く場合もあるでしょう。そのような場合、「希望休」として受けるだけですと、従業員はこの先ずっと休まなくてはならず、この職場で働き続けることが可能なのか不安になります。有休がない場合はなおさらです。

本人は働きたいのにやむを得ず休みを取るしかない場合は多くあります。接客業などでは自分の代わりにその日に働いている人への気兼ねも生じ、「迷惑をかけるぐらいなら、転職したほうがいいのかも」という発想につながります。
シフトの工夫などで他の日時で働ける可能性を一緒に考えるなど、柔軟な対応が介護支援になり、退職を防ぐことにつながるのではないでしょうか。

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