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カール・ラガーフェルドへの手紙


翻訳家のお客様から、ご自身が翻訳された本をいただいた。

カール・ラガーフェルドの自伝だ。

白い髪を1本に結び、黒いサングラス。頭から爪先までこだわり抜いた、常に完璧なスタイリング。ファッションにそれほど興味のない方でも、一度は見たことがあるのではないか。一度見たら忘れない、強烈なカリスマ性を放ち、私たちにモードとは何かを教えてくれた人だ。


モード界の皇帝とよばれるあなたへ、駆け出しの占い師である私なんぞが手紙を書くなんて、おこがましいことではありますが。。。もしそちらの世界でお読みいただけたら、その時はフランス風の皮肉めいたジョークと共に、一言いただけたら光栄です。



あなたは、己卯。イメージは春の大地。雪が溶けて、大地が少しずつ温まり、動物たちは冬眠から覚め、植物が芽吹く、その土台となる春の大地のような人。

己の人の特徴通り、あなたは多芸多才で器用で、知的好奇心旺盛でストイックな勉強家だった。その内面は意外と複雑で、自伝の中でも記されているように、よそよそしく、繊細で心の内を見せない気質だったという点も己の人らしい。

『私が売るのは見かけだけだ。私自身の真実など、自分の中にしまっておくべきだ。』

彼のこの言葉が、彼の己要素を強く物語っている。



私があなたの命式を見た時に、一番印象的だったのは、生まれる前に自分で決めてきた人生のテーマを表す、大運の第二宿命の部分だ。ここには、あなたの人生がこの3つに凝縮されていた。この部分が私には、一番光って見えた。

庚申・傷官・沐浴

この3つの要素があなたの人生にどんな風に活かされていったかを読み解いていきたい。

沐浴とは、通称フランス人の星と呼ばれている。自由を愛し、ロマンチストで芸術や美しいものをこよなく愛し、センスがいい。そして、感受性が強く、スピリチュアル的に、ヴィジョンで見えることがあるので画家や音楽家が多いのが特徴の星だ。

朝5時に起きて、9時まで自宅でデッサンを描くのが日課だったいうあなた。きっと頭の中から溢れ出して止まらないヴィジョンを表現せずにはいられなかったのですね。あなたが見えたヴィジョンはあなたを通して世に出るべきものだった。それは、宇宙があなたを通して生み出させたものだったのかも。

あなたとジャックとの18年間に及ぶ関係は、愛そのものだったと思う。エイズに侵されたジャックを、多忙なスケジュールの合間を縫って看病し最期を看取った。プラトニックを貫いて、金銭的にも精神的にも支えた。周囲の人が言う、『カールはジャックに対して所有欲は強かったとしても、嫉妬心はなかった。』と。それがあなたの愛の形だったんですね。嫉妬心がないというのは、無償の愛の一部だと思う。



傷官のテーマは、美的センスと専門技術。瞬時に本質を見抜く洞察力と潔癖なくらい美への強いこだわりを持つクリエイティブな人。あなたの人生そのものであるデザイナーとしての気質は、この傷官そのものだ。

独自の世界観を表現し続け、死の数日前までペンを握っていたというそのストイックさも傷官ならではだ。1920年代以降のモードの歴史を全て頭にインプットしていたという。現代のようにインターネットがない時代に、本を読み漁り、切り抜きを集め、そうやって多くのデザイナーのDNAを受け継いできた。

『過去のかけらを集めて、より良い未来を作らねばならない。』

そんなゲーテの言葉が彼の戦略のテーマだった。


庚申は、通称銭ゲバの星と言われている。私自身も庚申なので申し上げておきたいが、庚申の銭ゲバは決してネガティブなものではない。宇宙から、エネルギーであるお金というものを循環させる役目だと、私は捉えている。

あなたは、あなたの人生で自分を表現しながら、莫大な富を築いた。そのお金は、自分のことだけではなく、愛する人のサポートため、病院への寄付、これからモード界で活躍するだろう若手への教育にも循環したのだ。


庚の人は、強い信念とブレない自分軸を持っている。それは、常に自分に問い続け、自分と向き合うことができるからこそ保てるのだ。

『自分自身に正直になれば、問題もその答えもわかるはず。』

と彼は言っている。ここにも、庚の気質を感じる。

あなたの人生のテーマの中に庚があることに私は少しホッとしている。あなたの傷官の繊細さを庚の鉄の要素が守ってくれていると感じるからだ。風当たりが強く厳しいモードの世界で、鉄の鎧をこっそり身につけて自分を守っていたように見えてならない。そしてその鎧を身につけながら、モード界の激しい変化の波に対してあなたはこう言った。

『変化とは、生き残るためのもっとも健全な方法だ。』

この言葉は、これからの風の時代を軽やかに生きていく為の、わたし達へのメッセージだ。


まだ二十代前半の若い頃、あなたは女性占い師にこう言われたそうですね。『他の人たちに終わりが来た時こそ、あなたにとっての始まりの時なのです。』この言葉を、つまりは自分の運命を、あなたは信じていたんですか?  だとしたら、占い師としての私のこの手紙を、あなたの人生の答え合わせとして、少しは楽しんで読んでいただけたでしょうか。。。

最後に気がついたことですが、わたしの第二宿命は己卯。あなたの日柱の干支と同じです。あなたの第二宿命には庚申、これは私の日柱の干支です。わたし達はご縁がありました。だから、こうしてあなたにお手紙を書きたくなったのかもしれません。

カール・ラガーフェルドさま、あなたの世界をみさせてくださってありがとうございました。












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