ドンブラザーズの暴力的な面白さとは
みなみなさま!今まで「暴太郎戦隊 ドンブラザーズ」のこと、ちゃんとおすすめできなくて本当にすみませんでした!そしてやっぱり今もちゃんとおすすめすることができません…!だってドンブラの何がいいのかわからないんだもん!でもしょうがないじゃん。好きに…なっちゃたんだから…。
だから今日は「うおぉぉ~!!」って思ったことをそのまま書きます。書くんです。
「これでお前とも縁ができたな!」のワードの強さ
最初は本当に何をやっているのかわからなくて「鳥人戦隊 ジェットマン」以来の登用である鬼才・井上敏生脚本ということで、毎回振り落とされないように頑張って観ている感じがあって、で、あっさり振り落とされて、それでも「縁」という名の「呪い」にかかり、引きずられるようにして毎週観続けることになったわけなんですけど。
※井上先生はジェットマンで戦隊内恋愛をぶちかまし、レッドの元カノが敵組織にいて、最後レッドとホワイトの結婚式の日にひったくりにブラックが殺されるというトンデモ脚本を書いた先生です。
やっぱりコロナ禍にスタートした「魔進戦隊 キラメイジャー」「機界戦隊 ゼンカイジャー」と本当に楽しくて多幸感あふれる作品が続いてきて、このあとの戦隊はなにが来るべきなんだろう?って考えたとき、実は「暴力的なまでの縁起のよさ」が最適解なのかもな…と思ったりする(いや、思わされているのかもしれない)
そこにきてドンモモタロウの神輿の上にバイクに乗っての登場。からの「これでお前とも縁ができた!さぁ、祭りだ!祭りだ!笑え!笑え!」はまじパワーワードすぎる…!
ゼンカイジャーの話ばかりして申し訳ないんですけど、ゼンカイジャーはれっきとした「スーパー戦隊45作品目のアニバーサリー作品」であり、10年前の「海賊戦隊 ゴーカイジャー」同様、過去の戦隊の力も使える仕様になっています。でありながら、その次の作品である今回のドンブラザーズも過去戦隊に変身できるというチート能力(っていうかもうそれゴーカイチェンジじゃん!)を使うことができるんですよね。これがまずご法度というか、「おいおいおい」という感じなんだけれども、それに加えて、ドンブラの敵キャラというのはいわゆる「悪が生み出した怪人」タイプではなく「人間が生み出した怪人」タイプなんですよね。これはべつに珍しいことじゃない。特筆すべきはその先で、各話に1体ずつ出てくる敵キャラがすべて過去戦隊をモチーフにしているんです!!!!!
これをスーパー戦隊46作品目でやっているというヤバさ
特に15話「おかえりタロウ」では、イヌブラザーが乗っていたバイクに愛する奥さんを轢かれかけた恨みから怪人化したキジブラザー(すいません、なにも言わずに飲み込んでください…!)は「交通安全!交通安全!」といってすべての車を消してしまうんですね。所々に挟まれる独特の演出・交換音といい、これは明らかに交通安全を掲げてきた「激走戦隊 カーレンジャー」のオマージュなんです。
つまり!つまりですよ!歴代の戦隊をモチーフにした怪人は、正義が暴走した世界線のスーパー戦隊!そうですよね!?井上先生!ただのトンチキ作品じゃないですよね!?
これを今年頭まで「スーパー戦隊って最高だよね!歴代の先輩たちありがとねぇ~!」ってやってきたアニバーサリーイヤーの翌年にぶつけてくるのヤバくないですか!?水の差し方エグくないですか!?でもこれがスーパー戦隊シリーズの新章だとして改めて「スーパー戦隊とはなにか」ひいては「正義とはなにか」を考えさせてくれるきっかけになってるって考えたらもう跪くしかないんですよね。しかもクソ面白いし。
待望の伊藤茂騎のカムバック
私がかつてから推したい申しておりました、スーツアクターの伊藤茂騎さんが遂にカムバックされましたね(泣)絶対追加で来るとは思っていたけど一瞬で推しが確定しました。
特に15話のクソうるさい変身バンクからの(初!?)槍アクション!そして浅井レッドと高田怪人との3人アクションはあまりの贅沢さに目が溶けました。浅井さんが車体に上がる時のトリッキング的な動きは完全にルパンレッドのそれでしたよね…。タロジロコンビのアクションもっと見たい…。
追加戦士「桃谷 ジロウ」の存在
タロウが一瞬消えて、桃谷ジロウが急に現れます。ジロウは声高々に言います。「僕は真のヒーロー!みなさんを率いて戦うヒーローなんです!そして世界を守ります!!」と。そしてその直後にこう言うんです。「僕考えてたんですけど…みなさんを…処刑しよっかなって!・・・無能なみなさんには罪を償って消えてもらい、僕は僕で新しい仲間を作ろうって思います!!」
ここで私は確信しました。これは作品を通しての過去戦隊、いや、ヒーローという概念そのものへの挑戦状だ!!!!ジロウはいわゆるステレオタイプなレッド的キャラ(世界を守るために生まれてきているタイプ)。そのジロウをあんなに早く「こいつヤバイ奴ですよ」と視聴者に知らしめ、次の回で即「闇落ち」させるとは…!!!!
一旦ここで落ち着きましょう。ドンブラザーズには良い人が1人もいません。レッドは非人間。(好き)ブルーは芯のないスナフキン。(好き)イエローは強欲娘。(大好き)ブラックは逃亡者。(なにも知らない)ピンクは犯罪者そして鬼。(怖い)全員ほとんど揃わないし、ほとんど仲良くならないし、名乗りなんかまだ1回も見たことがない…。でもみんな強制変身させられて現場に立たされれば、なんとなく人を守り、悪と戦い、それぞれの正義っぽい行動を一応する。この世界でランダムにスーパー戦隊が5人選ばれるとしたら意外とこんな感じの5人なのかなとか思っちゃったりするんです。
「わからないけど面白い」感覚の尊さ
わたしたちは、桃井タロウと出会ってきた人々同様に、強制的に縁を結ばれ、そのお祭り騒ぎに巻き込まれていく…。理屈じゃない。気付いたら笑っていて、気付いたらとても楽しい。このやり方・作風こそが、もうこれ以上の名作はないと言えるくらいのゼンカイジャーを超える唯一の方法なのかもしれない。
でも普通は「まず正義すら知らない子どもに行き過ぎた正義の怖さを教えてどうする…!」と思うでしょう。
そこで冒頭に戻ります。
ちくしょお…!そして私はヒーローショーの聖地Gロッソシアターでのドンブラザースショーに行きまたも跪くのです。満席の会場。「縁ができたな~!」とおもちゃ片手に走り回る楽しそうな子どもたちを見て。
結論、ドンブラザースはわからないけど面白く、それがきちんと子どもたちにも伝わっていて、最初は「なんて不親切な構成なんだ!」と面喰らいましたが、実は理解を超えて問答無用で面白いってこれ一番の親切じゃないですか?ちくしょおどこまでも隙がねぇ…!これからの人生であと何回この感覚と出会えるのだろうか。それほどまでに、尊い。
15話、最高のラストシーン
ごめんなさい、最後にこれだけ。15話のラストシーンまじ最高じゃなかったですか!?普通はタロウがいない状況であれば「今までのタロウとの思い出走馬灯シーン」みたいのが親切に差し込まれるわけですよね。でもそんなのは一切すっ飛ばして、鬼頭はるかは「お前いつからそんなにタロウ好きだったんだよ!」っていうくらいにタロウに執着していて(でも人間て実際はそんなもんですよね)、で最後、躓いたはるかを受け止めるシーン。あの何時間殴られ続けても倒れなかったタロウがいとも簡単に倒れるんですよね!!!!これは完全に確信犯!!!!
そのあとのはるかの「おかえり、タロウ」を受けてこの表情!!!!!
はい、最高。樋口君、あんた最高だよっ!!!!
結局のところ、はるかがなぜかタロウに執着しているのと同じく私たちもなぜかドンブラに執着している。
これを読んだあなたとも縁ができた!!
来週から一緒にお供たちとしてドンブラについていきませんか?
大丈夫!最初から見てても途中から見てもどうせわかんないです!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?