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2023年春アニメ『ワールドダイスター』を見てくださいと薦め推す話

◆裏番組

4月9日(日)23時15分より『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』がはじまったのは記憶に新しいだろう。
無惨さまが無駄にディティールに拘りまくった無限城の超作画を筆頭に、今期も話題をかっさらう気満々のクオリティで大変凄かった。なんといっても、マモのあざとかわいい演技と甘露寺蜜璃さんのエアマスターEDばりの乳暴れがすごかった。ワンピ然り鬼滅然り、国民的アニメはおっぱいが欠かせない。

その裏で、MXでは23時より、BS11では23時30分からひっそりと『ワールドダイスター』というアニメが放送されたのは知っているだろうか?
なんで鬼滅と被らせたんですか~~~~~~~!?と言いたくなるくらい良いアニメだった。今期のダークホースとして期待している。

◆ワールドダイスター

原案:タカヒロ先生キャラクター原案:Mika Pikazo先生のタッグでお送りする、『演劇』をテーマにしたメディアミックス作品。4月よりTVアニメが放送開始、夏よりソシャゲの配信を予定としている。一見、よくある美少女動物園系と言われるかもしれない。
なお演じ手の頂点を目指すから『ワールドダイスター』である。

個人的にはこのお二方に注目を置きつつ気になっていた。
なんといってもMika Pikazo先生キャラ原案作品がアニメ化されるのは本作が初だからだ。電音部、なぎこさん、輝夜月、FEエンゲージと、数々の作品のキャラクターデザインを担当されているのだが、意外にもアニメ化作品にはまだ関与していなかった。遅咲きと言われても無理はない。

タカヒロ先生も当たり外れはあるけれど、ヒットメーカーと呼ばれるに十分だ。来年アニメ放送される『魔都精兵のスレイブ』が現在の代表作。
個人的にはタカヒロ先生と言われるとやはり初期の『つよきす』がいの一番に連想させられるクチだ。しかし何故かアニメ化していない。マヴラヴもやったんだし、つよきすもやればいいのに。

そういうわけで「すごく期待しているわけではないが、気になっている」という軽い気持ちで見てみたのだが、これが思わぬ意外な掘り出し物だった。但し1話最後まで見ることで大きく評価が変わるタイプのアニメだ。

既にニコニコで1話配信しているのでどうぞ。

◆遅効性な構成の第1話

ハッキリ言って演劇が始まる中盤までは退屈だった。
1話切りが当たり前なこの時代、1話丸々どころかAパートで切られてもおかしくない。「そんな奴いるのかよ?」と自分でも不思議に思うが、30分アニメは長い。いないとは断言できないだろう。それでも1話最後まで見てください本当にお願いしますなんでもしませんから!

とはいえ、作画は綺麗だし、眠い瞼をこすりながら女の子目当てで見るのは目の保養になる。なによりMika Pikazo先生のキャラ原案をアニメに上手く落とし込めていることに感心した。

流石にあの独特な瞳やカラフルな色彩までは再現できなかったが、再現度が高いのでこれでも全然オッケーだ。単純に個人的に思い入れがあるだけの話だが、ぼくはこの点だけで「ほおお~、やるなあ!」と見入ることができた。

◆予想以上にすごいマジ感ある迫真の演劇

このアニメの流れが変わるのは演劇オーディションからである。題材は人魚姫なのだが、

悪役を演じる柊さんの迫真演技にガチでビビった。
オーディションを受けるモブの子が怖がって泣いてしまった
のだが、そうなってもおかしくない、大袈裟と言ってしまうのは逆にどうかしているほどの大迫力だ。ぼくだってオーディション受けていたら確実に戦意喪失するか漏らしている自信がある。

なおこの柊さんの中の人は元宝塚出身である森なな子さんだ。2021年夏に放送された『かげきしょうじょ!!』でも大運動会で登場した一条さんというイケメン先輩を演じていたのだが、本作でも天職と言わんばかりに、そして忌憚なく凄まじい演技を披露してくれる。演劇がテーマなだけに、真摯に取り組んでくれる姿勢に好感が持てた。

そしてなによりすごいのが、作画がきめ細かくぬるぬる動く。マジのガチで。

せっかくニコニコリンク張ったのだし、こればかりは実際にあなたたちの目で確かみてほしい。マジで演劇パートから一気にギアが入っていくから。アニメの媒体でありながらマジで演劇を見ているような体験を得られることに感動した。これだけでも本作を見る価値はある。というか見ろ。見てください。そしてもっと評価されろ。されてください。
作画はこのクオリティで1クール保てるかどうかは分からないが、是非頑張ってほしいと応援したくなった。

◆難点はなくはない

とはいえ、このアニメは難点はなくはない。
単なる演出かもしれないが時を止めるスタンド使いの役者が登場するのはマジでよく分からなかったし、

他のモブが演技ミスればボツ感覚で「次」と言われたのに、主人公のここなちゃんだけは八恵ちゃんに贔屓されるように助言&共演してくれたのはやはり主人公補正に見えてしまった。よくある流れといえばそうなのだが、ぼくも気にならなくはない。

ラストシーン、ここなちゃんの友人である静香ちゃんは他の人には見えないというのは衝撃のフックになっている。
しかし、制作会社や監督が共通しているからか『IDOLY PRIDE』と同じく幽霊説、あるいはイマジナリーフレンド(エア友達)説が掲げられてしまう。別にそれでもおかしくはないのだが、最近のアイドル系アニメはそういうのが多いのでやはり気になってしまう。アイプラの後に放送されていた『SELECTION PROJECT』で心臓移植ネタが被っていたからなあ。
ただ、恐らく憑依合体して別人みたいにここなちゃんの演技力がすげえすごいことになったなら腑に落ちる話だ。禁じ手じみてはいるが。

***

以上、そういうわけでまだ1話だし、推したいほど魅力的な子はまだ見つかっていないし、そもダークホースにはまだなってはいないのだけれど、そのポテンシャルは十分に秘めている。今後に期待したい作品として見続けたくなった。
今のところタカヒロ先生らしい要素はどこなのか特に見当たらなかったのだが、ゆゆゆのような地獄展開があるかもしれない。怖いもの見たさのある、先の見えない作品になるかもしれない。

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