連作ショート・ショート『鼻たれ神』第一話
「願い事三つ」
何か置いてあるのだと勇は思った。電柱の陰に白いゴミ袋が置いてあるのだと。傍を通り過ぎようとすると、その何かが動き出し、
「これこれ、そこの道行く若者よ」
勇は驚いて足を止め、じっと目を凝らした。街灯の明かりの下、さっきゴミ袋だと思った物は、白い貫頭衣を纏った人のようだ。背丈は勇の半分ぐらい。恐らく1メートルないだろう。手に背丈より長い杖を持ち、表情は糸のように細い目のせいか温和に見える。髪のない頭が街灯に照らされて後光が差しているようだ。しかし長く垂れた