鉄道切符【小説】

ドアの開く音が駅のホームに響く。

「今日で最後か・・・」

思わず声が出てしまった。呟きが白い息になり消えていく。何年経っているのだろうか?この錆びれたホームもあと少しで・・・高校生になって二年がたった。私の名前は山谷静香17歳のJK。田舎に生まれた田舎もん(笑)

時は早いものだ。このホームが壊されるのもね。なんだか悲しくなるね本当に。こんな世界が続くと思っていた。懐かしい思い出がフラッシュバックする。まるでMVのように作成出来るくらいに。思わず握りしめた切符に目をやると破れかけていた。

「取り替えて貰わなきゃ」

昔から駅長さんとは知り合いだった私は小さな駅員室に向かった。最後の切符か、懐かしく感じる。二年前・・近くの高校に入学した私。初めて泣いた時や笑った時、この切符と共に過ごして来た。本当の思い出は切符にあったのかもしれない。この切符で最後になるのか。駅長さんに挨拶しておこう。ガチャ、古びたドアを開いた。

誰もいない・・・

まあ、無人駅みたいなものだったから今は居ないのだろう。まるでお化け屋敷のように古びている。ダンボールに入っている書類がホコリを量産させているようだ。少し寒い。悪いと思ったが机の上に一枚の紙が置いてあったので閲覧してしまった。

「ありがとうね!山谷さんバイバイ」

こんなに私のこと思ってるなんて。握りしめた切符が染みになった。ありがとう駅員さんとホーム。涙を拭きながらホームに戻って風を感じる。その時だった、バンと音と共に後ろから何者かに押された。握っていた切符が風に飛ばされた。

誰?

振り返った時、かすかに見えた。制服を着た男性の顔がボヤケて瞳に写った。駅に来る電車の警報が鳴り響いた。そう、私は死んでしまったのだ。まだ若いのに未練ばかり残して死んだ。私の葬式の時、駅長が来ていた。

「ほんとに悲しいです、ほんとに」

駅長はそう泣き風味に言いながら薄笑いを浮かべていた。後話だが事件を起こして駅を有名にしようとしていたんだとか。ー完ー

~最後に作者からひとこと~
いい話にしようと思ったが何か違う面白みがないのだ。面白み=サイコパスだと思う。面白いか面白くないかあなた次第。

植田晴人
自称エッセイスト。偽名。短編小説のネタが無くなってきた。緊急事態だ。