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ジェットフォイル撮影合宿in新潟(2024.1.1-1.2)①

「正月何しようかな」
実家に帰るのが億劫だった私は、年末年始の暇つぶしを考えていた。
したいこともない、ひとりで家にいるのも寂しい。どこかに出かけようか。
今年の年始は羽田空港で飛行機とジェットフォイルの撮影をしていたな…
「ジェットフォイル見たいね」
年始ジェットフォイル撮り初め催行決定。さてどこに行くか。
選択肢は距離を考え東海汽船と佐渡汽船の2か所。
「どうせなら新潟行きたいよね。佐渡汽船。」
新幹線が高いと敬遠していた新潟旅行、ふと見ると夜行バスが4000円。
この機会を逃すわけには!と往復の夜行バスと宿を予約し、新春旅行の準備を開始した。

「せっかくなら新年1発目の船便に乗りたいよね。」
『徒歩で乗船のお客様は30分前までにお越しください。』
「うげ」
夜行バスの到着時刻は5:50、新潟港の始発は6:00。
駅から歩いても30分近くかかるようで始発乗船は断念。予約をしなくても乗船できる、と記載があったもののいい機会だと9:25発の2便を予約。
カメラの容量を確認し、バッテリーの充電を開始、もう新潟に行くことしか考えられない!

当日、何となく竹芝のターミナルに行く。さるびあ丸、橘丸の見納めをして22:50、東京駅鍛冶橋駐車場にてバス乗車。
12月31日の夜中だったのだが東京国際フォーラムでイベントがあったらしく、スーツケースを持った帰省客のほかに痛バッグのようなものを持った女性が多く並んでいた。
「ド年末だし空いてるかと思ったんだけどなあ」
かなり混雑していたものの隣に乗客が来ることはなかった。嬉しい。

途中埼玉の三芳PAで休憩。休憩中に年が明ける。
「あけおめ」
そうツイートして眠りについた…

わけでもなく、隣に人がいないのをいいことに毛布を被り「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」を鑑賞。ストーリー進行もサクサクしていて楽しい。姿勢が辛かった。見てよかった。というのがかなりざっくりした感想だが、夜行バスでの睡眠時間を削ったのは問題だったかもしれない。

その後赤城高原SA、越後川口SAで休憩。
越後川口SAでの休憩時、一気に気温が下がったように感じてあたりを見回すと雪が積もっていた。初雪鑑賞である。あまり雪が降らず、滅多に積もることのない地域に住んでいると雪を見るだけでテンションが上がってしまうのである。深夜3時にぬいぐるみを持ち出して写真を撮るくらいには。

5:50少し前に新潟駅に到着。路面状況、除雪車の後ろに着いた場合などは遅れることもあると車内放送があったが遅れることもなく無事に到着。まだまだ暗い。
店も開いていなければ路線バスもないため、佐渡汽船ターミナルには歩いて向かうことにする。

「さむい」
寒い。車の通らない部分に雪が積もっている。雪国だ。
新潟駅付近は工事中のようで、駅前には仮設の通路が敷かれている。駅の下部分には番号の書いた柱が立っている。バス停になるのだろうか。
「トッピー、お前こんなところにもいたのか…」
仮設の柵に描いてあった朱鷺のキャラクター、『とっぴーときっぴー』。トッピーといえば種子屋久高速船のジェットフォイル。(トッピーとはトビウオの意)
駅前の大通りは片側4車線。かなり広いが朝が早いためほとんど車は通らない。道中銀行内の液晶で佐渡汽船の広告が流れていて思わず立ち止まる。
「まっててね、佐渡汽船…」

新潟市内を歩き、朱鷺メッセ付近まで来ると水辺が見えてきた。ターミナルがある方角に目を向けると輝く塊が海の上を動いている。船、おそらくときわ丸だ。まだ日も昇っていない朝早くから住民の足として動いている。ジェットフォイルの写真を撮るために、フェリーに乗るためにあと少し。

到着するころにはうっすら日が昇ってきていたが、ターミナルはとても明るく目が痛くなる。ついに佐渡汽船のターミナルに到着した。ジェットフォイルの写真を撮り始めてから、いつかは行きたいと思っていた佐渡汽船。私はその待合所まで来たんだ!
「さて、今日のジェットフォイルは…あ!!」

『 7:55 ぎんが 欠航』
『 9:40 つばさ 欠航』
『11:30 ぎんが 就欠航未定』
「なんで…」
どうやら天気が悪いらしい。
ジェットフォイル撮り初めは失敗に終わった…
「いやまだ未定だし、3便動くかもしれないじゃん、乗るから、絶対動くからね動いて…就航予報とかあったっけ…?」
そういえばあったな、とLINEで佐渡汽船と友達になり、就航予報を見ると2日の船は就航予定。写真撮影は明日にしよう。

ターミナルに着いたのが6:00過ぎ。次の船の乗船時間は9:10。時間の使い方が下手である。7:30からお土産屋が併設されたデイリーヤマザキが開店するらしい。開店を待ち念願の佐渡海洋深層水を購入。おいしい。後味が塩だ。
新潟港の歴史が展示してあるエリアに、佐渡汽船のジェットフォイル「みかど」の模型が展示してあった。
「昔のジェットフォイルはもう少しデザイン派手だったんだね」
『現在(令和2年3月時点)は、鹿児島港と宮之浦港(屋久島)を結ぶ「トッピー7(種子屋久高速船株式会社)」として活躍してます。ピンク色にお色直し、かわいい船体となりました!』
「トッピー、お前こんなところにもいたのか…」

佐渡汽船の展示物が置かれているエリアでは歴代の広告とジェットフォイルの座席が。船によってかなりデザインが違う。

「座りなよ」
ゆいぐるみを座らせる。
ポスターは佐渡ヶ島を宣伝するもの、保有船舶大集合のデザイン、ジェットフォイルが佐渡ヶ島を飛び越え宇宙に向かって飛んでいくポスターがあった。
「せめて地球に就航しなさい」

『お出迎えのお客様にお知らせいたします。カーフェリーは新潟港に入港いたしました』
こんな放送もあるとは。到着を気にして時計と位置情報を気にしなくてもよい親切設計だ。さて、入港を見に行こう。
「船見れる場所無いんだけど…」
佐渡汽船のターミナルは待合所がジェットフォイル・カーフェリーで区画が別に用意されているほど広く、建物内に改札も用意されている。改札は下船時に通る部分でもあるため、桟橋側の船が見える方向は改札内…つまり建物内から船が見える場所がほとんどない。待合所の奥に船が見えるスペースとしてベランダのような場所が用意されていたが、『勝手に鍵を開けないでください』と書いてありそして鍵は開いていない。
「どうしよう船の写真撮りたい」
外側に車で乗船する客のための待合所があり、その付近まで歩道が通っている。歩道がある=人間入っていいという思考の持ち主はさっそく外へ向かうことに。

「さむ!!!雨降って来たんだけど!!」
待合所を通り過ぎ乗船した車の出口付近までやってきたところで雨が降ってきた。もしかしたら雪かもしれない。でもそんなの関係ねぇ。
「私のカメラは波を被ったって生きてる最強の仲間だぞ」
幸い雨はすぐ止んだためギリギリまでカーフェリー「おけさ丸」の撮影。
撮影後、通路を戻りジェットフォイルに挨拶。新潟港に泊まっているのは緑色の「ぎんが」と水色の「すいせい」。2隻とも構造が微妙に違う。
ぎんがはボーイング社製、すいせいは川崎重工業製で、2階後方に特別席があるらしい。内装を見てみたい。

寒すぎて凍えそうなので建物内に避難。もうすぐ乗船開始だ。
乗客も増えてきたが待機列に荷物だけ並んでいる。こういう場所取りを許されているのか。置ける荷物がない自分にはできないことである。
やけに新鮮に映ったのは自分の良く乗る船が全席指定だからというのもあるだろう。全席指定はどれだけ急いで場所取りしても好きな場所につけることはない。予約の時点で席を指定できる場合もある。

別のCM思い出してませんか?

9:10 乗船開始。並んだ割には空いているが、たまたま入ったエリアが禁酒エリアだったのも大きいかもしれない。船室隅のコンセント付近が開いていたのでスマホを充電してしまおう。カメラだけ持って外のデッキに向かう。
普段乗る船には車が載らないため船の中に車が走っていくのはいつ見ても面白い。そういえば鹿児島のフェリーは船内をフォークリフトが走り回る。クレーンを使うより圧倒的に速いらしい。あれもかなり面白かった。

自走で車を載せるフェリーは船の前後に車の出入り口(=ランプウェイ)がある船がほとんどで、港によって接岸する向きを変えることで車が入った向きでそのまま外に出ることができる。新潟港発の船の場合後ろから車を入れて両津港で前から出る。(両津港発の場合はその逆)そのため新潟港のある信濃川で船を180度回転させ海へ頭を向けなければならず、ロープを外した出港後に少し前進し、再び後方にロープを付けて船の頭部分を進行方向にある程度向けたのちロープを外し出港する。

朝から曇っていたが出港の瞬間だけ陽が差してきた。
初日の出の観測を完了

桟橋を離れると下階の客が鳥にお菓子を投げている。港についている間は「船員にいたずらをする鳥が来るため禁止」と記載があった。
自分は鳥に餌付けするより餌付けされている鳥の撮影をするほうが好みである。

暫くして鳥もいなくなり船内の探検をしようと荷物のそばに戻って休憩していたところそのまま寝落ち。一度目覚めたもののかなり揺れていたため酔い止めを飲んで再び睡眠。船に乗るのは好きだが揺れには弱いためすぐに酔ってしまうのが最近の悩み。最悪の場合出港前の船や電車でも酔う。

再びの目覚め。本来ならジェットフォイルの撮影をしていたであろう時間に睡眠し、ときわ丸を探すために起床。佐渡ヶ島が見えてきているが前にも後ろにも船の影が見えない。船員の方に聞いてみるとどうやら両津港側の車を載せる設備の調子が悪く出港が遅れていたらしい。少し待つと遠方にときわ丸が現れてすれ違い。同じ航路に姉妹船がいるなら、姉妹船との反航は醍醐味だと思う。

ときわ丸・おけさ丸・こがね丸 同じ会社の船にしては形がかなり違い、大きさも違う。
同じ会社同じ航路の船は多少の違いはあれど船名を見ないと違いが分からなかったり、デザインの色だけ変えてあったりで似たような形なので珍しい気がする。わかりやすいのはいいことだと思う。
佐渡汽船のジェットフォイルは帯の色が違うだけ。ジェットフォイルもわかりやすくして欲しい。
それに比べて東京湾は…

無事に佐渡ヶ島の両津港ターミナルに到着。午後のジェットフォイルの運航が決まったため案内所に行き、写真を撮れる場所があるか聞いたところターミナルの付近にはないと言われた。待合所の上の展望台がおすすめですよ!とフォロワーに聞いていたのだが、どれだけうろついても上階に向かう階段、エレベーターを見つけることができなかった。
仕方がないので佐渡汽船の公式サイトにあった2年前の記事を頼りに「住吉海水浴場」に向かうことにする。

「寒い」
山には雪が積もり雪かきされた雪の塊も置いてある。風も強い。
ターミナルから徒歩30分。先ほどまで乗っていたおけさ丸が出港していったので撮影。
「手袋買ってたわ」
船が小さくなったころ、鞄から手袋を引っ張り出す。写真を撮るのが目的なため指を布で覆いたくなかったのだが、親指と人差し指が出せる手袋を見つけたので買っていた。買っていてよかった。しかしその手袋の意味があるのかどうかすら判断できないほどに寒かった。

寒い。山には雪が積もっているし雪かきされたであろう雪の塊も置いてある。風も強い。海辺。寒い。
日本海側を舐めていた…
手袋は嫌だったが本当に手が冷たい。指が切られている手袋を買っておいてよかった。
ここから13:00にジェットフォイルの出港、その1時間後に入港、帰りに予約している船は16:05の船。
風がしのげる木のそばまで歩き、海を見ながら暇つぶし。近くにあると調べていたカフェは正月休みだった。気づくと砂浜に降りてビーチコーミングのようなことをしている人が近くにいた。自分が言えることではないが今日は天気も悪くあまりいいとは言えない海況。砂浜に降りるのは流石に危険ではないのだろうか?

情報収集をしながら写真を撮り、ジェットフォイルが入港してきたタイミングでターミナルへ戻り始める。本当ならフェリーの入港まで撮りたかったがそこまで時間がかかっていると船に乗り遅れるかもしれないと思い余裕を持った行動をする。遠い。普段歩かないため体力もない。走りたくもない。

ターミナルにはYouTuberの銀の盾が飾ってある。佐渡汽船にプレゼントしたら視聴者から「銀の盾を譲渡するのは規約違反では?」との指摘を受け、あくまでも個人の所有物を置かせてもらっているという状態で飾ってあるらしい。お土産屋にも動画内で着ているTシャツや佐渡海洋深層水、いごねり置場にも彼の写真が貼ってある。地元の人に愛されているんだな。

いごねりを購入しようと思ったものの冷蔵品だったため、残り2日の旅行中ずっと常温のカバンの中に放置しておくのはよくないと思い購入を断念。
※帰宅後通販にて「いごねり」を購入。とてもおいしい。
「まあ明日も来るし今日は買い物して荷物増やさないほうがいいな」
この日は買い物をせず帰ることに。

帰りの船はときわ丸。2014年就航の比較的新しい船。(おけさ丸は1993年)荷物を置いてカメラとぬいぐるみだけを持って屋上のデッキへ。
2便出港の遅れもあり少し遅延し16:10頃の出港だったのだが、出港直後にしては変な揺れ方をしている。船側にぶつかったような衝撃はなかったのにも関わらず桟橋上の通路や電灯が揺れている。船は特に止まることもなくそのまま出港したためそこまで気にしてはいなかったのだが、同じようにデッキで外を見ていた人のスマホや佐渡ヶ島方面から大きな音。緊急地震速報でよく聞く、できれば聞きたくないあの音。
慌てて自分の荷物の場所に戻りスマホを確認すると、大津波警報が発令されていた。朝から新潟や佐渡にいることを言っていたため、Twitterやラインにメッセージがかなり来ている。石川県で震度7の地震…
とりあえず自分は無事なことと、船の上にいることを報告する。
NHKを流しているテレビでは紫色になっている。しばらくすると「地震が発生した、これからのことは後程連絡する」と放送。

船の上にいる以上自分にはできることがない。もう少しで入港だったジェットフォイルとすれ違ったが大回りして佐渡沖を飛んで行った。津波警報が発令されている間は港に着くことができない。フェリーでは歩いたり、体を伸ばしたり食事を買ったりできるものの、ジェットフォイルはシートベルト着用。さらに船体を浮かせての航行中以外はかなり揺れるため、ジェットフォイルでの待機はかなり疲れると思う。

「本船はこのまま新潟沖に向かい、津波警報解除まで沖合で待機します」
ネット上で情報を見る限りかなり余震が続いている。余震が落ち着くまでは津波警報は解除されないだろう。いつ新潟港に帰ることができるのか。全く予想がつかない。
幸い確保したスペースの近くにコンセントがあったため写真転送用のスマホを充電しておく。船室内ではあまり電波が届かない。
いつまで船の中にいるか全く予想できなかったため、売店が開いている時間のうちに食べ物を食べることにした。食べたものは佐渡の塩ポテト。塩がかなり効いていてとてもおいしい。船ではすぐ酔うためあまり食べ物を食べないのだが無事に食べきることができてよかった。

暫くすると船が止まった。このあたりで待機するらしい。海況がよくないため船が揺れるが、その揺れとは違うような下から突き上げられるような振動。もしかしたら地震だったのかもしれない。

定刻では16:05発18:35着。津波警報が解除される気配もない。
こんな時に言うことか?と自分でも思いつつ案内所に御船印を買いに行った。買ったものはときわ丸(船内案内所Ver.)と東海汽船コラボの御船印。
東海汽船側の佐渡汽船コラボ御船印は、どうせ佐渡に行くことはないかと購入せずにいたのだが、まさかこちらを先に買うとは。後日竹芝に買いに行こう。
新潟市内に宿を取っていたのだが、チェックインの予約時間に間に合うかどうか不安になってきた。テレビの画面には日本列島が張り付いたままだ。
宿に電話しようか悩んでいた18:40頃、入港許可が出たと放送が。到着は19:45頃になるらしい。大津波警報が津波警報になっただけで解除はされていない。どうやら客と車を降ろした後すぐに出港し沖合に戻るようだ。
当日中に降りれないことも覚悟していたため一安心。

「折角だしうろうろするか」
ときわ丸、おけさ丸より船内が綺麗。就航年を考えると当たり前かもしれないが決しておけさ丸が汚いといっているわけではない。時代を感じるだけである。
案内所のあるエントランス…おけさ丸は比較的白やベージュの色を使用している気がするが、ときわ丸は茶色(木の色)を多く使っている印象。階段も真ん中に大きなものを設置しているおけさ丸とは違い小さいものを多く配置している。
他会社の船を出してみるとおけさ丸はフェリー屋久島2に雰囲気がかなり似ている。エントランスから見上げた天井なんて特に。調べてみると就航年が同じらしい。当時の流行だったのだろうか。
20年も離れていれば船内装飾の流行も変わっているだろうな。

暫くすると船は新潟港内に入港。ほかの乗客も降りる準備を始めている。

「あー着いた着いた。歩きたくないしバス待と」
「交通機関はバス・タクシー含め『すべて運休』となっております」
「あ…」
宿まで徒歩確定。

待合所の売店で買い物をしようかと思ったが、かなり並んでいたため早く宿に帰りたかった自分は諦めることに。この選択がのちに響いてくることをまだ知らない…
ターミナルの放送では、「待合所内に留まることも可能です」と放送があった。本来なら18:30着の船、ここから新幹線で帰宅する旅程もありえたはず。宿が確保できなかった方はここで1夜を明かしたのだろうか。
外に出た時には船は出港していた。速い。手際の良さ。

宿まで歩いていたもののやけに暗い。朱鷺メッセ付近の道路は人が住んでいる地域ではないため夜に施設等の照明が着いていないのだが、大通りに戻ってきても何か暗さを感じる。これが地震の影響なのか、そもそも新潟の交通量がそこまでないのか。正月で施設も閉まっていた影響かもしれないが20時にしてはやはり暗く静かなような…

なんとか宿に到着。今回宿泊したのは万代シルバーホテル。お値段の安さとバスターミナルの隣という立地で、「佐渡汽船からバスで帰ってこれる」と決めたホテルだったのだが結局バスは来なかった。もし駅前にしてもっと多くの距離を歩くことになっていたら…

チェックイン後、食べ物の買い出しに行こうと宿を出たものの、店がやっていない。ホテル付近はマクドナルドやミスタードーナツがほぼ併設のような距離にあるのだが閉店している。ネットで調べてビルのファミリーマートに向かう。
「地震の被害が出たため閉店しています」
「あっ」
こればかりはしょうがない。テープがめちゃくちゃに貼られた自動ドアの奥に商品が散乱しているのを見た。
次に近いファミリーマートに行こう。
「地震の影響で商品に被害が出たため閉店しています」
「ここもダメか」
近くのモスバーガーを見る。どう見ても営業している明るさではない。
道向こうのローソンと思しき店舗も照明が切られている。
「とにかく開いているところ探してみるか」
10分近く歩き、どうにか開いているファミリーマートを見つけた。しかし本当にここしか開いていなかったようで、商品はほとんど売り切れていた。
ファミチキとカップ麺、ジュースやお菓子をいくつか買い、宿に戻ることにする。
宿の近くに戻って来た時、最初に寄ったコンビニを見て「うわやってない!」と騒いでいる若者がいた。

万代シテイビルの付近では警察官が見回りをしていた。写真を撮っていたため、被害状況の確認だと思われる。
宿で地元のテレビを見るのを楽しみにしていたが、「相棒」以外は地震の報道だった。
ニュースを付けたまま風呂に入り音だけでニュースを聞く。宿に泊まった時は長風呂をするのが習慣。

明日のことを考える。本当なら佐渡汽船のフェリー2便と3便を往復し写真を撮りたかったのだが、この調子では津波警報の影響で船は就航しないだろう。天気自体はいい予報だったために残念だ。
船が動いたら乗船しよう。では船が動かなかったら何をするか。写真を撮る以外何も考えていなかったためかなり悩んだ。隣のビルはショッピングモールも兼ねているし、お土産を買えるのではないか?明日は帰りの時間さえ守れば自由。明日のことは明日考えよう。

折角旅行に来たのにこれを食べるのか、というカップ麺、お菓子、ファミチキ。本当はコンビニでも地域限定のおにぎり等があればよかったのだが、惣菜、弁当、パンは全滅していた。
船でポテトを食べていなければさらに空腹で苦しむことになっていた。これなら佐渡汽船のターミナルで食料を買っていたほうが良かったかもしれない。
よく見たら部屋には1つしかコンセントがない。枕元にもあればよかったのにと思いつつ湯沸かしとカメラとスマホの充電を順番にこなす。
UFO大盛、おいしい。ファミチキ、おいしい。ポテチ、おいしい。
相変わらずテレビには日本列島が張り付いている。スマホには地震の通知が来るが、震源が石川県で本震よりも震度は低く、また建物も丈夫であったためか揺れを感じることはなかった。
震度7という通知も来たが、この距離で全く揺れを感じなかったため疑っていたところ後に誤報だと訂正された。

何かあったときに困るため、テレビを付けたまま寝ることにする。



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