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#066「スカイライト」

2016年のナショナルシアターライブで観た「スカイライト」(#35参照)が、日本で上演されることになったので、観てきた。
知っている戯曲を観るのは初めてだったし、そもそもNTLは字幕でスクリーンなので、密かにずっと行きたいと思っていて、偶然が重なって行けて良かった。

NTLの時はビル・ナイが2度目の出演で戯曲よりも年齢がかなり上だったので、成功した男性の晩年のもの悲しさが際立っていたけれど、今回はもっと、剥き出しになってぶつけ合うしかない幼さみたいなものを感じられた。
言語も設定も時代もかなり違うのに、同じものがちゃんとそこにあって、戯曲って凄いなと思った。初演は1995年で、世界中で何度も演じられている作品なだけあって、本当に強い力のある脚本なのだと思う。
微妙な、なんとも言えない、湧き上がって止められない感情が言葉を尽くして渦巻いていて、やりきれない。

言葉を尽くすのは、言葉では決して言い表せない最後に残る部分を明らかにする為で、だから言葉を尽くすことは相手に対する誠意だと思っているけれど、それによって明らかになる、私と貴方とが決して分かり合えない領域は、どうすれば良いのだろう。
前回、生きるって大変。じゃあ、どうすれば良いのよ。と、思ったけれど、あぁ、その違いを愛そうよ。とも思った。

舞台の演出は最小限に抑えられていたけれど、空気を一変させることに集中していて良かった。蒼井優さんの演技を間近で観ることが出来て嬉しかったな。第2幕から一気に引き込む力が凄かった。キャリー・マリガン超えていたと思う。