春瀬

卵は半熟派

春瀬

卵は半熟派

最近の記事

消費期限は6月27日 朝4:00です

たとえば、だ。消費期限の切れた生たまごや豆腐を捨てられない人間がいたとしたら、ばかげていると思うだろう。きっと私もそう思うに違いない。その消費期限が数ヶ月、あるいは数年前のものだとしたら、ことさらに。 けれども、それが感情というものであったらどうだろうか。消費期限をとっくのとうにすぎた感情たちが、冷蔵庫の奥底で眠っているさまを、想像してみる。それも、恋とか愛とか言う名前でラベリングされていたとしたら。私はきっとそれを捨てられないだろう。 ゆめをみた。ありきたりだった、もう

    • ラッシュアワー、そして古代のくじら

      唐突に。ああ、溺れてしまうなと思った。 つり革に小指だけを引っ掛けて、芸人さんのトークを聞いているときだった。 くらりと視界が歪む。心地よかったはずの声が耳障りに感じる。ラッシュアワー、冬用布団よりぴっちりと圧縮されたわたしは、どこにも逃げられないまま、ただ目を瞑るしかない。もはやノイズと化した言葉の羅列を聞き流しながら、わたしはゆっくりと息をする方法を探している。食べたいもの、見たい映画、原風景、取り留めのない思考の中で、うきとなるような、しるべとなるようなものを探す。

      • ラーメン食べて眠る

        努力は報われないのかもしれない。 他者に優しく接することを心掛けていたとしても、それがおんなじだけ自分に戻ってくるとも限らない。 期待なんてするな、と人は言うのだろう。まして、まともな努力すらもしていない人間が、結果に期待をするなとも。 そのうち食べたいなと思っていた定食屋さんの「そのうち」は一生来ないのかもしれない。毎月楽しみにしている漫画の最新話は更新されないのかもしれない。頼りない約束を糧に、どうにもならない日常をわたしたちは生きている。 けれども、どうしたって祈

      消費期限は6月27日 朝4:00です