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ジェラトーニの衣装制作記 - FFX歌舞伎 の巻(後編)-

こんにちは、はるりんpicです。
今回はぬいぐるみの服制作日記第2弾、続きでございます。
※シーモア衣装についてをまるっと後編に記事をお引越ししました。

↑単純に制作衣装の紹介しかしていない前編はこちらからどうぞ。。。

まずは下準備。

シーモア衣装の型紙はことろさんの裏地付き長着、帯の型紙、ケモ耳付きヘアバンドを拝借しました。
ちなみに足袋はジェクト衣装で作ったものをそのまま流用しています。

裏地つき長着を2着作ってひとつは羽織にしました。羽織は丈を長くして、そこにそれぞれ背中の模様やら紐飾りやらを付けるアレンジを加えました。
歌舞伎シーモアの羽織は「小忌衣おみごろも」という着物なので衿も少し変えています。

タッセルを付けた入型の総角結び。
全部で12個あります。

紐の房は本来編んでるものを解いて房にするようですが、使用した紐は芯になる紐があって別の色だったのでタッセルを被せるかたちで房をつけてます。
※タッセルの作り方を参考にしたWebページへ直接リンクを貼れなかったため、TOPページに繋がせてもらってます。

背中の模様・胸の刺青モチーフ・帯の図柄は左右対称になるようPhotoshopの力を借りておこしました。
結局生地への図柄転写はフリーハンドですが、作るからにはバランスの取れた仕上がりにしたいと思いまして。。。

ちなみに、模様系は

レーヨンブレード縫いつけ中。
ちまちまとした地道な作業でした

●背中の模様:白いサテン生地を切り絵のようにカットして黒のブレードで縁取りしながら背中に縫いつけ。

伝われ、グリッター感。

●胸の刺青モチーフ:長着と同じ生地に図柄をステンシルして下地を作り、その上をグリッター布描きペンで塗りつぶしてからワッペンにして長着へ縫い付け。

左)ステンシルで作った図柄のベース
右)手描きで描き込んでいった図柄

●帯の図柄:型抜きでベースを作ってそれをステンシル。これを基に細かい部分は本物を見ながら描き込んで仕上げ。

と言う手法で作りました。作業が割と地道。

いざ制作開始! 駄菓子菓子…

細かいトコが多いけど昭和の根性論でなんとかなんべ! と思って始めてみたものの、これがやっぱり苦難の連続でした。

まずつまづいたのは生地選び。
一番苦戦したのは小忌衣とウィッグの生地でした。

舞台公式の宣材写真やYouTubeに本公演の配信動画、Twitterのハッシュタグ付きの写真投稿、自分がカーテンコールで撮影した写真といろいろ参考にしましたが、

全部色味も光沢感も違う。

何それ。撮影機材のクセとか照明の当たり具合があるにしても違いすぎん?
とりあえずで見当をつけて手芸屋さんに行くも思っていたものはなく、そこで売っていたもので一番イメージに近いもので購入しました。
スマホの画面に映した資料写真と売り物の生地を並べてあーでもねぇこーでもねぇしたのは言うまでもなし(^^;

今日からアナタも歌舞伎役者ッ!
(by.オオアカ屋/中村萬太郎さん)
歌舞伎俳優さんの宣材写真みたい。

長着は仁田殿の衣装で作ったこともあってすんなり完成。
強いていうなら胸の刺青モチーフのワッペンをつける位置に悩んだくらいでしょうか。
うーん、ちょっと袖丈が長い? まぁでもホンモノも長そうだしなぁ。

続いて小忌衣。
途中、背中の模様など装飾を縫いつけながらレシピに沿って縫い合わせていきます。

実は最初羽織の型紙で作っていました。が、どうにも前見頃から脇にかけてのあたりがしっくりこない。

とりあえず作った裏地を試着。
袖も丈もなんかしっくりこない。。。

脇から前側にかけて裾をたっぷり持ってきつつ、後ろに向けてふぁさーっとした末広がり感を出したいのに出ない。
羽織の袖丈が長いのも気になる。
背中の模様を縫い付けちゃったけど、裾のふぁさっと感が出せないんじゃしょうがない。

よし、ぶっとびカードを使おう!!(;∀;)

はい、振り出しに戻りました。。。
袖丈が気になっていた長着は袖付けのあたりまで一旦分解して袖丈を詰めて、羽織は長着の型紙を使ってイチから作り直すことにしました。
背中の模様の縫いつけ、作業が細かくて通算5日もかかったのに。全俺が泣いた。いや、「コレでイケるべ!(・∀・)」って楽観視してたワタシが一番悪いんですが。

ぶっとびカード使用決断時点で「作ろうかな…」と思ってから1ヶ月半ほど。
いつもなら2〜3週間ほどでぬい衣装が出来上がるので、すでにスタミナ切れでした。
いやでも「手ェつけたら終いまでやれ」って『千と千尋の神隠し』で釜爺が言ってたし。
今回制作にあたって楽観的妥協はしないと腹に決めたので気に食わないところは解消して次に進まねば。

これはワタシが始めた物語!
始めちまったら止められねぇ!!
諦めたらそこで試合終了!!!
(もう作品ごちゃごちゃ💦)

羽織の袖に総角タッセルが付いた途端、
急にパキッと決まってきました。
袖口の飾り縫いは6本どりの刺しゅう糸で。
飾り縫いの名称が最後までわからず、
クロスステッチもどきみたいになってます。

長着と羽織を改めて縫い合わせ、羽織の袖には総角あげまき結びとビーズ、袖口にクロスステッチ状の飾り縫いを付けていきます。前掛けも合わせて制作。

ツインテールと前髪は中に針金を通しました

ウィッグはトンファー型ツインテールと稲妻風の束になった前髪の再現を優先しヘアバンド型にしました。

公演終了後、「やっぱ作りたいなぁ」と思って作り始めて2ヶ月半。
(公演終了後からだと3ヶ月と1週間)
ようやく手元にシーモアのぬい衣装を召喚しました…!長かったぁ…(バタッ

シーモア、召喚完了!
後ろ姿。後頭部の地肌丸見えw
帯の結び目部分は
シマエナガぬい落下事件を再現できるように
厚めの接着芯を仕込んでおります。
ちなみに帯は付け帯です。
上手く置けばアクスタもいけます(笑)
ぶっ返りはできませんが
長着の裏地にぶっ返り後の着物柄を仕込みました

初めての外出先は…

豊洲ピラは確かにあった…

豊洲ピラことIHIステージアラウンド東京!
東京湾岸の高層ビル群を背景にロケ写真を撮ってきました。

夜だと夢のザナルカンド感が5割増くらいになる?
転生ビフォーアフター
花道とすっぽんが気になるようです

豊洲の前に新橋演舞場(新作歌舞伎 刀剣乱舞 月刀剣縁桐つきのつるぎえにしのきりのは)にも行ってきました。
クロスオーバーが甚だしいのでさすがにFFXの時のようにずっとカバンから出して、というワケにはいきませんでしたが。

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

FFX歌舞伎公演期間中の制作・完成は叶いませんでしたが、その代わりに細かいところまでこだわって作り込みをすることができました。

FFX歌舞伎が再演されたらぜひジェラモアも一緒に…

うん?

ヤジェクトーニは?
ぬいボディのジェラトーニ、同一個体だしそもそもウチにはジェラは1匹しかおらんから
とうらぶ歌舞伎の小狐丸さん・髭切兄者・同田貫さんよろしく二役状態では。。。
小狐丸さんと兄者の言葉を借りるなら「とにかく忙しい」ってやつでしょうか?😅

今回はこれにて。
おあとは…よろしい、のか?