村中直人『〈叱る依存〉が止まらない』

読んだ理由
子どもを持つ親として、教育者として、叱って育てることに長年疑問を抱いてきた。叱って育てることの良し悪しを、科学的根拠をもとに知りたかった。

気づき
・叱る=権力者が下の者をコントロールしようと強い口調で咎めること。
・叱って育てると、脳の防御システムが反応する。これは危機に直面した時に「戦うか、逃げるか」を瞬時に判断する原始的な能力であり、知性や理知的思考を育てるものではなく、成長を促さない。
・多くの者はその場では謝り、言うことを聞くので、「叱る=即効性のある指導」だと勘違いされがちだが、これは防御システムが「逃げる」反応をしているだかであって、相手の指導内容を理解しているのではなく、叱られている状態(危機)から逃避するための反応にすぎない。
・暴言や暴力を受け続けた子ども、人が叱られるのを見続けた子ども(夫婦喧嘩など)は、脳の前頭前野が2割近くも萎縮するというデータもある。
・叱ると、叱る側の脳の報酬系回路が刺激され、快楽物質が出る。叱る人は相手のために叱っているのではなく、自分のために叱っているのだ。
・罰を与えることに効果はない。日本の犯罪者は減っているが、再犯率は上がっている。出所するまでの期間が長期化すると社会復帰が難しくなり、犯罪に手を染めて生きざるを得なくなるからだ。香川県で、子供のゲーム時間を制限するゲーム条例が出来たが、かえってゲーム時間は増えた。

To Do
叱る時は、「危機介入」と「予告」のみ
危機介入…危険なことをしていたり、他者に危害を加えようとしていたりする時は、叱る。やめたらすぐに切り替える。いつまでもくどくど叱っても効果はない。
予告…「○○したら叱ります」と事前に教えておく。抑止力として効果がある。

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