有島武郎「小さき者へ」(『小さき者へ/生まれ出づる悩み』より)


一昨年に産まれた第一子の育休中。
NHK教育のテレビ番組「にほんごであそぼ」の中で歌われる、ある曲の歌詞がとても気になっていた。

前途は遠い しかし恐れてはならぬ
恐れない者の前に 道は開ける
行け 勇んで 小さき者よ

まるで私自身に言ってくれているような、一方で私の愛する息子に伝えたくなるような、心に響く詞。
有島武郎の小説の一節だと知り、本書を手に取った。

短い話だが、親として深く共感し、涙を流した。
私の親も、このように私を愛してくれているのだろう。
そして、いつか愛する息子に読んでほしい。
そう思える話しだった。

子どもには、ただ生まれてきてくれたこと、自分の命より大切な愛を教えてくれたことに感謝の気持ちしかない。
いずれ親から巣立ったら、自分の人生を自由に幸せに生きていってほしい。
その気持ちを生涯持ち続けることが、親が子にできる恩返しだと思う。
この気持ちを一生忘れないようにしたい。

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