努力は報われるのか 望んで貧困家庭に生まれたわけではない
「うちにはお金がないので他の人と同じような高校生活は送れないと思いました」「自分がアルバイトをして一人で頑張っているお母さんを助けたいと思いました」こう言って、朝からアルバイトに行き、夕方から登校してくる定時制の高校生。部活に励む全日制の生徒とすれ違っても、その視線が合うことはない。
始業式、日本中の校長は、池江璃花子さんの話をしただろう。それを聞いて子どもたちは奮起しただろうか。夢を諦めずに追い続け努力してくださいという言葉は、自分が働かなければ家計が立ち行かないと感じている子どもたちには残酷な言葉だと思った。自分の夢のために使える時間が圧倒的に少ない。進学の費用どころか、日々の食費さえままならない。経験が少なくて何をしたいのかもわからない。努力しようにもそのステージにたつことすらできない。そんな子どもたちがたくさんいる。
夢を諦めるなというなら、夢を叶える努力のできる環境を作ってやらなければならないだろう。自分が努力して色々なものを得てきたという自信のある者は、何も得ていないのは努力が足りないからだという自己責任の考え方に陥りがちだ。子どもは望んで貧困家庭に生まれてきたわけではなく、その親もかつてまたそんな子どもだったというパターンは多い。誰もが努力のステージに立てる社会にするために、自分ができることはなんだろうと考えている。
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