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ドールの話 1、2、4話

ドールをお迎えした話


 最近、ドールを買った。最近と言っても一ヶ月経つのだが。
 先々月、ミンネというハンドメイド通販サイトで、ドール服がおすすめに出てきた。そこでモデルになっていた子に一目惚れ。「どっ」と全身……主に胸に衝撃が走ったような感覚がした。少女漫画などでときめいた時の擬音語に「とぅんく」があるが、わたしの場合「どぅんく」が正しかったような気がする。
 惚れてからは早かった。
 ちょうどドール服販売ページにモデルドールの名前が書いてあり、検索。今年の三月に発売されたらしいと知って、もう少し早く知っていれば……!!と悔やんだ。予約期間は去年だったのだが。
 調べていくと、かなり人気なシリーズだと知った。お値段も。
 ドールは高い、というのはほんのりと知っていたが……まあ、安い方ではある。高いものになると二十万を超えたりするので。とはいえ、そこそこな額。少々、抵抗感はあった。
 とりあえず実物が見てみたい、と販売店に行ったものの展示がなくて叶わず。シリーズの別カラーの子などは軒並み「売り切れ」の札が……。念のため店員さんにも確認を取ったが、やはりなし。
 その後も調べていると、毎年このくらいの時期に新しい子が発表されると知った。
 その子が好みの可能性はあるのか。在庫のない子を探すより、そっちの方が確実ではないか。
 色々考えたが、現状出ている子の中でも、一目惚れした子以外には「どぅんく」レベルの衝撃はない。可愛いなと思う子はいても、やはり惚れた子には叶わない。お値段のこともあるので、妥協は許されない。
 新しく出る子が惚れた子と同等、もしくは超える可能性は……。ゼロではないが……。
 唸った。
 ――やっぱり、あの子が欲しい。
 それからは、在庫を探す日々だった。
 欲しい子の名前で検索をかけて、ショッピングのタブを見たり、ツイッターで検索をかけたり、ドールを取り扱っている店の在庫を調べたり……。
 ネットで調べても、かなり在庫が少なかった。なのに大半が異常に安くてどう見ても怪しいサイトだったり、異常に高い転売ヤーっぽい感じだったり。
 ……調べながら迷っていた。仮に見つかったとしても買うのかどうか。
 以前、ツイッターで、迷う理由が値段だけなら買い、みたいなツイートを見かけたことがある。まさに。どう考えても、値段以外にダメな理由が思いつかない。が、やはり値段が値段なので、でもなーとうだうだ。
 そうこうしている間に、欲しいという気持ちが膨らんでいく――そんなある日。ついに、出会った。
 夜中のことだった。
 メルカリにいたあの子。
 迷った。唸った。
 だが、ここで買わなければ、二度と手に入らないかもしれない、売り切れるかもしれない。そう思って……ポチった。ポチってしまった。
 本当に良かったのか!? このお値段だぞ!? と、妙に緊張しながら、頭を抱えながら、手を震わせながら。
 手に入れるチャンス、というプライスレスを考慮すれば……良かったのでは? と、なんとか気持ちを落ち着けながら、まだ油断できないぞと思っていた。
 なにせ、メルカリでは嫌な噂ばかり聞いていたので。
 転売ヤーのような悪質なタイプではないかと、販売者を調べた。が、ツイッターのリンクはなくて人となりが分からず。でもドールの服を売っている人だし、料金も高すぎるわけではなかったので大丈夫なはず……。そう思いながらも不安は尽きなかった。もしかしたら箱だけしか届かないーとか、やっぱり出品やめますーとか言い出さないかと……。商品ページにも出品を迷っていると書いてあったので、なおのこと。
 届くまでは油断しないぞ、とトラブルに対応するためにもスクショなどの証拠集めをしつつ、翌日には入金。直後に発送された。本当に直後だった。早いな!? コンビニの上に住んでいるのか。
 そして……届いた。結構小さい箱が届いて、本当に中身入ってるのか?とドキドキしながら開封……ちゃんとドールの外箱が入っていた。
 自分が想像していたより、ドールの箱は小さかった。想像の半分以下だった。
 いやしかし、中身、肝心のドールがいなければ……。
 いた。
 ちゃんと入っていた。
 そうして――現在。お迎えして、一ヶ月が経った。
 写真は毎日のように撮っている。可愛いの見てみてーってしたくて、ちょっとだけーのつもりが創作用アカウントがドールに浸食され始めてしまうくらいには。もっと早く飽きるかと思っていたのだが……むしろどんどん沼に落ちているような気がする。
 小物を集めたり、ハウスや服を作ったり、写真を撮ったり。毎日のように眺めては可愛いなってしている。
 あんなに迷っていたのに、いざ買ってみればこれだ。もう迷うことなかったじゃん。
 ――あまりに創作用アカウントが浸食されたのでドール用アカウントを作成した。厳密には別の用途に使っていたアカウントを掃除して、ドール用に。
 今これを書いている間も、隣にはドール……ソフィーちゃんがいる。可愛い。この後髪を整えてあげようと思う。
 今後もたくさん愛でよう。
 よければ、うちの子見ていってね。可愛いから。

ドールに沼っている話

 ぶっちゃけ、こんなにハマると思っていなかった。などと供述しており。
 ドールの話だ。本当に、こんなにハマると思っていなかった。ちょっとハマりすぎて怖い。自分で自分が怖い。そんなに?って言ってくるわたしがいる。え、可愛いじゃん、当たり前では?と返すわたしもいる。
 感情を見失いがちなので、ちょこちょこ己の感情のデカさを見誤るが……。これはまさにだ。
 ドール界隈の人たちはよその子もたくさん愛でてくれるので、浸っていて気持ちがいいのも後押ししている気がする。「可愛いですね!」「でっしょー!」が乱発するのだ。わかる。よその子も可愛い。
 正直、まだリアルチックな子の良さはわかりきっていないが……時間の問題だろうという気がしている。きっと来年、来週、明日……そのうちに「かっっっ……可愛いな……」と言い出しているに違いない。
 大事に可愛がられている子が、可愛くないわけがないのだ。ドールは愛されて輝く。それはドールに限らず、何にも通じることだろう。
 浸食された、と前回のエッセイで書いていたが……独立して正解だなと。毎日写真を撮っているのだ。本当に。特に日課にしようとか考えていないのに。しゃらっと今日も撮ーろうってしてるのだ。ソフィー(うちのドール)……恐ろ…………可愛い子……。
 ――もっともっと撮りたい! けど、構図の引き出しがほとんどないし、小物もほとんどないし、機材はスマホだし、光源はタブレットだし……。ま、それでも撮るんですけどね。可愛いので。
 最近は、大きなドールが気になっている。SD(スーパードルフィー)というドールだ。リアル寄りな印象があったので、どうかな?と思っていたのだが……とあるドールに一目惚れした。……またか。
 残念ながら、その子はとっくに抽選販売が終了しているし、そもそもSDはお高い。ソフィーの五倍はする。そうでなくてもソフィーが来てから散財をしているわたしには、どうじたばたしたところで手が届かない。可愛い子は高嶺の花なのだ……。
 お金を貯めて……といきたいところだが、パソコンも買わねば……と思っているので、いつになるやら……。しかも、気になっている型番の子は今後増産されないらしいので、一目惚れしたあの子は手に入らない可能性が高い。悲しい。かわい子ちゃん……。それもまた、縁というやつだろうとほぼ諦めている。実際、ソフィーで手一杯なところもちょっとあるので。
 ――ずっと百均布でソフィーの服を作ってきたのだが、そろそろちゃんとしたやつで作ろうと思っている。百均でも可愛い柄のものがあるし、練習としても気楽で良かった。……そもそも、練習のつもりはなくて、ちょーっと作るだけーのつもりで始めていたのだが……ちょーっとではなさそうだ。はっは。
 これが沼か……。恐ろしいな。話には聞いていたが……。どこまで行ってしまうのだろうか。
 財布の紐管理を怠らず、今後も楽しいドル活をしていきたい。

ドールにわくわくしている話

 楽しみだ……。
 ――気が早すぎる。
 以前話に上がったドールをお迎えしたら、その辺りに座らせようかなと目星を立てているのだが、座っている図を想像してにこにこしている。
 やってくる子、果たしてどんな子になるだろう。イメージはだんだん固まりつつある。明るい印象、透明感、つやつやのフルーツみたいな。一目惚れしたSDまいちゃんがそんな感じだったので、それをベースに。
 実際にメイクされてやってきたら、もっと方向性が絞られると思う。あの辺のイメージの中の、どんな子になるのか。とても楽しみだ。
 あまりに楽しみすぎて、店頭に見にいっちゃお!とするくらい。だから気が早い。
 写真でしか見たことがないので、実物での雰囲気も見てみたいのだ。これだけやんややんやといっておきながら、実物を見たらなんか違いました……ってことにならないかちょこっと心配だが。
 天使のまど、という店名なのだが初めて行く。なので、もしかしたら店頭には飾られてないかも……?と思ったり。だとしても、他の子たちを見るのも楽しそうだ。
 本当は、最近ハマっているマリオネットパーティーというお店に行きつつ……と思っていたのだが、SD貯金してたらちょっと余裕ないな……?と気が付いてしまった。月末に行けそうなら行きたい。
 そのマリオネットパーティーにSDまいちゃんを連れて行くのを楽しみにしている。もちろんソフィーも連れて行く。一緒に行こう。楽しみだ。だから気が――。
 実物を見に行く、というのに、メイクの雰囲気を見たいという目的もある。前回にも書いたのだがメイクによって料金が……すなわち、お迎えする時期が変わる。安く……早くお迎えできるならしたい。売り切れが……というよりは、早くそこに座らせたい!と、そわそわするからだ。ああ……早く出会いたい……。
 ――もしかしたらこれ着れるかなとか、つけられるかなとか。部屋にあるものを見渡して考える。
 自分が使っていた、オレンジの大きなリボンバレッタ。ちょっと幼い雰囲気なのでつけられずにいるのだが可愛くて捨てるに捨てられなかった。これ、ちょうどよくね?と気が付いた時、テンション上がった。え、可愛いじゃん、絶対。楽しみが増えた。
 どんなドレスを着せたいかとかも考える。自分で作れればよいが、手縫いでは少々限界を感じる。型紙の取り方も分からない初心者だし……。いやまあ、これまた気が早いのだが。ソフィーに、のつもりが目測を誤って大きすぎたものが活躍するかもしれない。うん、楽しみ。
 ――髪と目はどうしようかなー、とぼやぼや考える。青い目もいいが、黒とか紫とか緑とか赤…………まあ、大体どれでも良さそうな気がする。髪は明るい色と思っている。金髪とか白髪とか。うーん、良い。一目惚れしたあの子を参考にするなら、金髪碧眼だろうか。ソフィーに近い色合いだ。近くするのも、あえて違う風にするのもどっちも「オツ」で良い。迷うなー。だから気――。
 楽しみだ。楽しみしかない。貯金による大変さなんて目じゃない。
 ああ……宝くじ当たらないかな……。お迎えする額だけでいいから……。

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