メディアリテラシーを高めよ 「メガチンポ保険衛生相」は実在するのか

ますます求められる、情報を見極める能力

スマートフォンやSNSが普及したことで、誰もが簡単に、インターネットを通じて世界中へ情報を発信できるようになりましたね。

それによって、新聞や雑誌の記者、ライター、作家、編集者といった職業の人でなくとも、自分で書いた記事や文章を世の中に公開できるようになりました。

逆に言うと、誰もが平等にインターネットにアクセスし、様々なコンテンツを公開できるようになったことで、価値のあるコンテンツだけでなく、他者の情報のコピーだとか、さらには真実に基づかないウソの情報なども、インターネット上により沢山溢れるようになってきたということです。

さて、そうした中で、情報の発信者側に対し、ウソの情報を流すことを禁じることは難しいでしょう。

こうなると、情報を受ける側は得られた情報が真実かどうかを見極める力、ひいては情報活用能力(情報リテラシー)がますます求められるようになってきます。

今回は、情報リテラシーに関連するお話として、「情報を疑うとは何ぞや」ということについて、
私のちょっとした調査に基づいて「ネットに当たり前のことのように散らばるウソ、デマ」の一例を暴いてみせようと思います。


原典に当たれ


さて、情報を疑うことの大切さについて、具体的な事例を挙げつつ偉そうにぶちかまさせて頂くことになるわけですが、「どんな人間が情報リテラシー語ってるんだよ」という疑問も生じてくると思いますので(そういうツッコミは大切です)、簡単に自己紹介をさせて頂きます。

このnoteの内容に則して書きますと、私は普段の仕事では情報を発信する側にいる人間です。

2011年から今年まで、通信社系の会社で、記者・編集者として報道に携わっていました。

よくネットなどで「マスコミが語るのはウソばかり」といった論調を目にすることがあります。

まあ確かに、自社の政治的信条に反したり、スポンサーの意向に則さない内容なんかは記事に出てこなかったりしてその結果報道に偏りが生じることはあるでしょう。

でも「ウソばっかり」というのは、語弊があると思いますね。

厳密に言って私が働いてきた会社は「マスコミ」ではありませんが、マスコミだろうとそれ以外の報道メディアだろうと誤報はあってはならないし、まともなメディアなら不確かな情報なんて記事にしません。

ソースが不明なデータを記事に書こうものならまずデスクに怒られますからね。 

他社のニュースに追随したり、転電と言って外国のニュースを翻訳して記事にするときは、慎重にならないといけません。

2次以上の情報は、アイデアやネタにはなってもソースにはなりえません。

「原典を当たれ」

これは情報を発信する、記事を書く人だけでなく、
情報を受け取る側にも求められる姿勢なのではないかと思います。

「マスコミが言うことなんて信じられない」

そんな姿勢は大切かもしれませんが、そんなことを言っている人ほど、ソースが不明だったり、2次情報だか3次情報だか何次目の情報かすら不確かなネットの情報をなんの疑いもなく信じこんでいるような気もします。

さて、前置きが長くなりましたが、そろそろ本題に入りましょう。



プロの視点で大検証!メガチンポ保険衛生相は実在するのか?


ネット上で、日本語にするとおかしな名前の外国人といったようなタイトルでまとめられたリストをご覧になったことはありませんか?

その多くは、海外の政治家や行政機関の幹部といった人たちなどの名前で、カタカナ読みにした時の日本語が下ネタのようだということで、コピペを元にまとめサイトなどで数年ほど前から幅広く共有され続けています。

これには、顔写真付きだとか色々なバージョンがあるのですが、その中で最も私の印象に残ったのが、
「サントメ・プリンシペ共和国のメガチンポ保険衛生相」でした。

この「世界の珍名リスト」の中には、郭晶晶(グオチンチン、中国の五輪飛び込みの選手)など実在する人物の名前もあるのですが、中には怪しげなものもあり、特に「メガチンポ保険衛生相」はネーミングのインパクトが抜群に大きかったので、特に私の目にひっかかることになりました。

そこで私は、とりあえずメガチンポ保険衛生相が実在するのかどうかを大真面目に検証してみることにしました。

世の中には、ネットで目にした情報について、真実かどうかろくに検証もせずに「へ〜面白い」というだけで何の躊躇いもなく他人にシェアする人が沢山存在します。

この珍名リストだって、「全て実在します」なんて断定口調で書かれたりしますが、それを書いた人は多分、一人ひとり実在の人物であるかどうかわざわざ検証なんかしていないでしょうね。

珍名リストは単なるネタだから大した問題にはならないのかもしれませんが、やっていることはデマの拡散にほかなりません。

さて、長くなりましたが、メガチンポ保険衛生相について、簡単な検証を通じて得られた、ほぼ確実である事実と、さらなる検証の余地のある点を以下にまとめてみました。

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