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嫌なものは嫌、でいい

Twitterやnoteを見ていたところ、コロナワクチンに関して、親や配偶者などの身内が陰謀論を信じすぎていて困ってる人がけっこういるんだなということを知りました。

この方のnoteなど「別世界の自分がnoteに書いたのかな?」と思ったくらいで、まるっきりうちの母親と同じことを言っていました。同じ過ぎて妙な安心感が生まれてます。

あれは、ワクチン接種が始まりこれから接種券が配られる、となった2021年の4〜5月ごろだったでしょうか。ある日70代の母の口からこんな言葉が出てきました。あまりにわけがわからないので断片的な言葉しか覚えてません。

人口削減計画、ワクチンが遺伝子を書き換える、河野太郎の言うことはいい加減(厚労省が発表してることと同じ内容なのに)、論文がある(学会誌には載ってない)、心ある医者がYouTubeで訴えている、利権がある、製薬会社が儲かっている(タダ働きしろと?)、自分(母自身が)で論文を読んで判断することが大事(医療従事者でもないのに?)などと出てきて、最初は「情報源がつべかよwww」という気持ちで聞いてましたが、話を続けていると、何しろ会話が全くかみあわない。

私は母にこう話しました。

・接種するしないは自由。自分の体質を考慮しながら最終的には自己判断

・さまざまな情報が錯綜している中、医学を勉強したわけでもない人間が論文を読んで正しい情報を判断するのは限界がある。(すでにアレな情報にアクセスしてる時点で判断できてない……)

・ひとりの医師の見解はエビデンスレベルでは下のほうにある

・まともな医師なら論文を書いて査読→学会誌で発表 の手順を踏む

誰でもそうですが、母は「自分が騙されている」とは絶対に認めたくないので「自分で情報を集めて自分で判断するべき」ともっともらしいことも付け加えていました。しかしその後来たメッセージには「政府が危険なワクチンを広めている」と書いてあったので、やっぱりなあ……と思ったのでした。

ほぼ口論になっていたので私は疲れ切って「もう私にワクチンの話は一切しないでくれ」と言ったら話さなくなりました。が、今度は孫娘にYouTubeの動画を見ろと言ってきたと知りました。もちろん見てるふりをしてスマホをいじってソシャゲをしてたそうです。

思えば母はコロナ以前から謎発言がありました。

「トランプさんが正しい、排除されてる」とかも言ってました。よくわかんないけど。そんなに擁護して、いつ友達になったんだwと言おうと思ったけど面倒くさいのでやめました。

8月に起きた西日本の豪雨についても「人工台風が〜」などと言っていたし(正気か)

「世界のところどころでおかしいことが起きている。食料が日本から失われている。備蓄しておくべき」(まあ災害時の備えの備蓄は大事ですけども)

こんなことばっかり言ってたので、一度「YouTubeばっかり観てないでネトフリで映画でも観てたほうがいい」と言ったことがあるんですが「お前は何も知らなすぎだ」とキレられました。いやそりゃそうでしょうけど……。

根底にあるのは社会への不満?

母の言葉や主張を総合して考えると、根底にあるのは現政府への不信感だったり、逆に自分への自信のなさだったりするような気がしています。

国立精神・神経医療研究センターが、コロナワクチン忌避者についての調査(2万6000人対象)を行っているのですが、この結果を読んで確信しました。

① ワクチン忌避者は全体で11.3%であった。若年女性15.6%から高齢男性4.8%まで年齢・性別で大きなばらつきがあった。
② ワクチン忌避の理由として、約7割の方が「副反応の心配」を、約2割の方が「効果があると思わないこと」を挙げていた。
③ 一人暮らし、所得水準 (100万円以上600万円未満を基準としたとき100万円未満)、最終学歴 (大学卒を基準としたとき中学卒業および短大・専門学校卒業)、政府ないしコロナ政策への不信感がある方、重度の気分の落ち込みがある方では、ワクチン忌避者の割合が高かった。

②はまだわかります。しかし③はなんと身も蓋もない……。でも、やっぱりそうなのか、という何とも言えない気持ちになりました。

母などのように、陰謀論や怪しい情報を持ち出しては「危険」「嫌だ」と言ってるワクチン忌避の人に無理に接種をすすめる気持ちはありません。問題は人に押し付けるだけでなく、科学的根拠も薄い情報を持ち出しているところにガッカリするわけです。「嫌なものは嫌」でいいのに。

私自身、薬でアナフィラキシーショックを起こした経験があるので、薬やワクチンへの態度は慎重になっています。そういう経験があるから親として私を心配しているのかな、と思いたいところですが、「自分が正しい事を言っているのに言うことを聞かないお前がおかしい」としか聞こえないのですよね。困ったことに。

なので、個人的には謎情報を持ち出して「ワクチン危険」なんて言ってはいてもそれはその人の選択のひとつであるし、いろんな意味で幸せだなあと思っています。

令和の今でもこんな人たちがいるのだから、緒方洪庵先生は本当に大変だったろうな……と思う毎日です。

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