陽
部屋の外に一歩でてみると、氷のような透明な冷たさが服越しに肌に伝わる。
ぱりっとした澄んだ空気。呼吸に合わせて白く浮かぶ息。刺さるように頬に吹く風。
冬だ。
朝の靄がかかったようなふわりとした光の中を歩く。まだまだ準備不足な格好の私は少し早足になる。
周りを見ると、触り心地の良さそうなマフラーにダークカラーのブーツ。何にも覆われていないそのままの指先は次第に冷えていく。夏の名残など感じさせない。
コーヒーを両手で包み、体温を取り戻していく指で冬を意識する。ロンドンの冬は厳しいだけでなく、優しくもあるのだろう。
10月の終わり、晴れた日の朝。光の差す方へ向かって歩いていく。
____________
ハルノ
▽blog https://haruno-life.com/
▽Twitter https://twitter.com/haruno_sudo
▽instagram https://www.instagram.com/haruno.sudo/
頂いたサポートで本を読みます。もっと上手に伝えることができるように。