マガジンのカバー画像

おすすめの書籍

7
読んだ本の中で、「これぞ!」という書籍のレビューをまとめています。
運営しているクリエイター

#おすすめ本

本01  『臨床とことば』(著:河合隼雄×鷲田清一)

あなたが最近聴いたことばはなんですか? 目の前にたしかにいるはずの人に、ことばを尽くしてもつくしても、到底伝わらない感覚。 あるいは、伝わったとたしかに思ったはずなのに、 あとで全く伝わっていなかったことがわかったときの絶望感。 あなたは、ことばの難しさを感じたことがあるだろうか? この本は、そんなことばにまつわる人と人の交わりについて、リアルな生の現場で何が起こっているのか、 そして、そこから派生して世界の、人間の仕組みについて、2人の臨床家の「ことば」を聴ける

本02 『人生のほんとう』(著:池田晶子)

真面目に不真面目のすすめ。 26歳になる頃、私は一日の大半を布団の中で過ごしていました。 人生で2度目。 一度目は、銀行を退社したものの、5時に起きる習慣がぬけず、朝目覚めてからさしてやることもやりたいこともなく、布団にくるまっていた頃。 そして、コンサルティング会社でのハードなプロジェクトに燃え尽き、「留学を目指します!」といって退職後、実家に引きこもった折が2度目である。 健康で経済的に余裕があった両親がいたからこそ。困らせたのはこの2回きりではないが、両親もさぞ「ど

本03 『愛する歌』(作:やなせ・たかし)

声に出して味わうことを教えてくれる 「ーなにがきみのしあわせ、なにをしてよろこぶ わからないまま おわる そんなのはいやだ! ー時ははやく すぎる 光る星は 消える  だから きみはいくんだ ほほえんでー」 女子校時代の休み時間、アンパンマンのマーチを口ずさむ同級生に、その奥深さを熱弁された記憶があります。 それからというものの、やなさ・たかしさんは、もっぱら気になる存在である。 不安や不満がひたひたとおそってくるとき、アンパンマンのマーチを口ずさむと、まさに、アンパンマ

本04 『子育ても 料理も 科学も 遊んじゃおう 暮らしのなかの学びあい』(著:曽田蕭子)

ただ「かたる」だけでいい 私は、”女子校”という女性の多い、あるいは女性の意見が優先されがちな環境で育ちました。 そのため、つい女性、に肩入れしがちな傾向があると自覚している。 もちろん、ファシリテーターとして、場に立ち、ファシリテーションをするとき、無自覚に、あるいは意図を持たずに、何かに反応し場にインパクトを与えるのは、NGなことです。ひとりひとりが、DNAが異なり、身体が異なり、育った環境が異なり、言葉が異なり、あらゆる違いをもって存在している。「女性」、「男性」な

本05 『木のいのち 木のこころ <天>』(著:西岡常一)

先生が教えたかったこと 「『木のいのち 木のこころ』がおすすめです」 大学で金融の授業をとっていたときに、外部の先生が、出張授業で来てくれたことがありました。堂々たるキャリアがレジュメに記載されていて、勝手に年齢を重ねた男性だと思っていたところ、実際は、40代前半だろうかお若い先生でした。 残念ながら、お名前を忘れてしまって記憶も曖昧だが、チノパンに綺麗な色のシャツを着て短髪に清潔感を漂わせながら、キャリアからは想像もつかないほど、(あるいはだからこそか)あっけ