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夢に溶ける

 久しぶりに日記を描こうと思う。
 あなたの夢は何ですか?にうまく答えられた例がない。曖昧で不確定で白桃のケーキみたいな甘ったるさと宵宮の帰り道の孤独に似た鬱陶しさが反芻してうまく立つことができない。少女性に焦がれる夢。どうしてみんな平気な顔して歩めるのか不思議で仕方がない。自傷行為の如く12年ロングだった髪をショートにした。本当は誰からも好かれるような可愛らしい少女性にに埋もれたかった、けどあたしでは無理みたい。ならば川沿いの草原で青く駈ける少年になりたかった。
 一昨日、はじめて演技のレッスンを受けたとき、少し救われた言葉がある。「あなたが低い声を出すから、声色に青さがついて魅力的になる、男とか女とか関係なくなる域に行けば良い」と。年がまだ一桁の時からずっと声がコンプレックスだったから、このアドバイスは素直に嬉しかった。

 バイトの仕事柄、あなたはどこからいらっしゃったのですか?もよく尋ねられるのだが、同じくらい答えに困る。出身、住所、現在地が県を跨いであべこべだし、あたしの夢について触れないとうまく理解してもらえないから。適当に嘘をつけば流れる常套句だけど、聴いてほしい、聞いてくれたら少し荒んだ心が落ち着くから。という欲もあっていっつも中途半端な嘘をついて変な着地点で終わる。ちゃんと話すなら2人きりで時間に縛られずに話したい。
 2人くらいかな、うまく伝えられたの。バイトで出会った大切な2人。こころをひらけた2人。
 高三で心因性の病気になって、やれ生徒会だの成績だの必死で取りこぼすまいとやけになっていたのに、全てなくなった。なくなったけど、過去の頑張りのおかげで卒業はできた。でも、何者でもなくなった。ゼロになったから、一度人生が終わったことにして、これからは余生、全て実験台だと思ってやりたいことをやろうと覚悟した。
 来年の4月から表現の学校に入ろうと思って、一年暇だから単なる宅浪よりバイトしながら受験に備えようと思った。たくさん刺激を受けて成長したかったから。時間を無為にはしたくなかった。
 3月に伊豆、4月から7月までは兵庫、そしてもうすぐ横浜での生活が始まる。何者でもないから何者にでもなれると演技指導の先生がおっしゃっていたのがほんの少しの希望。

 気になるオーディション、受けてみたいから少し頑張ろう。大森さんの歌を歌いたい。あなたに救われたからわたしは貴方になりたい。わたしの夢は貴方の表現そのものです。

 わたしはステージで表現に没頭してるときのあたしが1番好きだから、追い続ける。

 あたしの夢は、大森靖子さんのマジックミラーのサビで叫んでくれている。親の期待のためだけに生きていた14のあたしがfamily nameとの邂逅を経て、了見が狭かったことを知り、希望となった。そしていまの道をつくってくださっている。わたしの全てを変えてくれた。

 『あたしのゆめは君が蹴散らしたブサイクでボロボロのLIFEを掻き集めて大きな鏡を作ること。』

音楽で会いましょう。


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