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今日はカツ丼、明日はイモ天を【毎週ショートショートnote|お題【天ぷら不眠】 参加記事

何も変わりがないはずだった。そのときも今も、同じように平々凡々な、欠伸の出るような日々が続いている。そう思っていたし、人は我が家の様子を見てそう感じるに違いない。


ある日、いつものように台所に立ちながら。あっさりした野菜の煮物がよいか、それともお浸しにしようか、そんな献立を考えていた筈なのに、私の脳裡を掠めたのは「カツ丼」だった。

何故カツ丼?
私はそんなに飢えていたのだろうか?肉と揚げ物に。そう思ってしまうほど、日々の食卓に肉類の揚げ物が上ることは少なかった。

歳のせいもある。脂っこいものよりもあっさりとした、野菜中心の献立を。気持ちも心も、それを求めるようになってくる。けれど、それだけではない。
私の物思いを見抜くかのように、写真立ての中で見慣れた人の笑顔が一瞬深くなった、気がした。


「ロースじゃなくてモモ肉を使うし、衣は薄く揚げ焼きにするから。たまにはいいよね、カツ丼にしても」
「お肉も食べないとね。大丈夫だよ、私に気を使わず作って頂戴。そう言えば好きだったねぇ。カツ丼とか焼き肉が」

本当に。年甲斐もなく、いや、歳に関わらずいつまでもガッツリ系が好きだった人。今日はカツ丼をお供えすることにしよう。赤味噌、豆腐の味噌汁に、お新香を添えて。明日は、イモ天でも揚げようか。私はそう思いながら、冷蔵庫のドアを開けた。気掛かりを一つ片付け、不眠気味を解消するためにも。


拙稿題名:今日はカツ丼、明日はイモ天を
総字数:582字(原稿用紙一枚半相当)

よろしくお願い申し上げます。




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