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風薫と青嵐【シロクマ文芸部|お題「風薫る」】参加記事。

貼り付け記事以下、参ります。



風薫る五月皐月か。もう夏なんだけどなぁ、風情とか別に感じないぞ?俺は。

ボソッと、正にボヤキ声が聞こえた。確かにここ数日は夏日だ。風薫る、というよりも、少々焦げ気味。もう少しゆっくりしてほしいものだ、お天道様には。

「無味乾燥な空調ばかり浴びていると、『あー、プール行きてー』って思っちゃうんだよな、俺」

「講師がそれでいいわけ?学生さんが気の毒だわ」

「だよな。せめてものお詫びをと思って、最近は講義を3分早く終了しています」

「何やってんの?助教自らサボりじゃない」


そんな他愛ない会話を交わし、私たちは笑った。カフェのテラス席、向かいあって座った席、テーブルの上で、グラスに入った氷がカランと溶ける音がして、グラスの表面を水滴が伝い、白いテーブルクロスを少し濡らしていた。


ミーン、ミーン
ワシワシ、ジリジリジリ

油蝉の合唱が聞こえてきた、気がした。


ねえ、何で野原なわけ?海とかプールじゃないの、普通は。
消毒薬カルキの匂いが嫌だ。枯れた草のほうがいい、蝉がうるくても。

高校の夏休みに、雅也から呼び出された。待ち合わせは川沿いの野原。指定場所の訳のわからなさに私が戸惑っていると、ボソリと彼が呟いたことがそれだった。


あの油蝉の賑やかすぎる鳴き声が、もうすぐ聞こえてくる。今年皐月の風薫る、その風の向こうで。


拙稿題名:風薫と青嵐
総字数:543字


よろしくお願い申し上げます。


雅也と直美の物語をマガジンにまとめました(全て拙マガジン・シロクマ文芸部 に収録済み)


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