見出し画像

残されたもの【シロクマ文芸部】参加記事

#シロクマ文芸部  「振り返る」からはじまる、参加します。

振り返ること、すなわち敗北。何故あなたがそう考え続けたのか、今となって分かる術もない。省みることを棚に置き去りにしたまま、あなたは行ってしまったから。

残された身にもなって欲しいものだ。あなたが振り返らなかったものたちをひとつずつ棚から下ろして、要るものと要らないものに分けていく。断捨離はそれから。

「これはいらない、こっちも不要。…..もう、なんでこんなの買い込んだのよ。後先考えないんだから。一度読めば飽きちゃう癖に、高い雑誌ばかり買って。楽譜なんて、1曲のために楽譜集をその都度買うから、50冊もあるじゃない。高いのよ、これ……。勿体ないけど、弾く人もいないし買取サービスも不可だし……」

心を鬼にして、必要不必要に分類すれば、残すべきものは1割にも満たなかった。後は捨てるしかない。溜息を付きながら、私は不要物となった楽譜集を束ね、十字に紐掛けをした。

断捨離で休日が潰れた。何とも虚しい冬の週末。窓から外を見れば、雪が降る前の重い鉛色が空を覆っている。

机の上に置いたフォトレームの中、そこに写った人が、斜め前を向いたまま横目で私を見ている。そんな気がした。


拙稿題名:残されたもの
総字数:480字(原稿用紙1枚半相当)

BingAI生成画像、ヘッダーと同じテーマで。背景が物語るものは鑑賞者の方、そのお心が感じるままに。

小牧さん、いつもありがとうございます。

#シロクマ文芸部
#振り返る
#ショートショート
#500字小説
#AIでヘッダー画像をつくってみた
#AIとやってみた
#BingAI
#ほぼ毎日note

この記事が参加している募集

AIとやってみた

拙稿をお心のどこかに置いて頂ければ、これ以上の喜びはありません。ありがとうございます。