見出し画像

#110 【2020-12】3テーマ読書記録

新年あけましておめでとうございます。
2020年は60冊弱の本と出会い、52冊を読み切りました。読書家と言える冊数ではないけれど、読んだ本を振り返るとその本を紹介してくれた友人や、読んでいた時のこと、考えていたことが思い出されます。それくらい一冊一冊に向き合えた1年でした。
2021年も素敵な出会いがありますように。という思いとともに、すでに読みたい本もたくさんあってわくわくしています。

そんな気持ちをちょっと抑えつつ、2020年12月を3テーマ読書記録で振り返ります。
(アイキャッチ画像:江ノ電の車窓より、年の瀬の海。本の大海原に出るイメージです。)

心を豊かにする読書

青が散る ★★★☆☆
ずっと読みたかった青春小説。
昭和の大学生になった気分になる。20歳前後の揺れる心、人間関係に少し歯がゆさ感じずにはいられなかった。
主人公が海辺ですごくつらいことを聞かされるシーンなんか特に苦しかったし、結末も決してハッピーエンドではなくて、だいぶ心に負荷がかかる物語だった。たぶん、ああいう気持ちを経験して人は大人になっていくんだろうな。

暮らしを豊かにする読書

NO RULES ★★★☆☆
とあるプロジェクトに関わっている中で感じた、「率直なフィードバックが欲しいのに遠慮してポジティブなことしか返してもらえない」というもどかしさを友人に共有したことがきっかけで紹介してもらった本。
大学の研究室でもすぐに実践できるようなアイディアもたくさんあって、実際に試してみたりしながら読み進められた。

世界を広げる読書

暇と退屈の論理学 ★★★★☆(第四章まで)
中々のボリュームで年内に読み終えられなかったけれど、半分ほど読んだ感想を書いておく。
そもそもこの本は、平岡雄太さんのyoutubeのnotion活用術の回でゲスト出演していた平野さんが記録している言葉の定義の例で、

「退屈とは」何かをしたいのにできないという感情や気分のこと
(参照:暇と退屈の論理学)

を紹介していたことで知った。
2020年は進めたいことが思うようにできなくてもどかしく感じることが多かったから、その感覚の正体を知れるような気がして読んでみることにした。
今は第四章まで読み進めたところだが、様々な哲学者の考え方を参照したり、人類の生活様式の変化から「退屈」について論じたりと、知的好奇心を刺激される内容で面白い。これが「暮らしを豊かにする読書」ではなく「世界を広げる読書」に分類した理由だ。

・・・

特に興味を惹かれたのは第四章「暇と退屈の疎外論」だ。

私たちが生きているこの現代社会は、じつにさまざまな仕方で特徴づけられる。だが、〈暇と退屈の論理学〉の観点から見て最も重要なのは、それが消費社会であるこだ。(p.148)

本章での消費社会の捉え方、中でもボードリヤールの「消費と浪費」の区別に納得させられたので簡単に紹介する。

「浪費」とは、必要な分を超えて物を受け取ること、吸収することで、贅沢の条件である。必要分以上受け取ることで人は”満足”する。
一方私たちが「消費」するのは、物ではなく物に付与された観念や意味である。物を受け取る「浪費」は物理的な受け取り量の限界があるから途中でストップするが、観念や意味はいくらでも受け取れるがゆえに「消費」によって人が満足することは無い。

まだ使えるのに新しいバージョンを買ってしまうことも、そのものに付与された意味を消費しているということなのか。
ついつい買ってしまったあの服は、その服が欲しかったのではなくその服を着ることで得られそうなイメージを買ったということなのか。
というような過去の消費行動が思い浮かんだ。

ただ、「消費」によって人が満足することは無いというのには疑問が残る。以前からnoteでたびたび書いている、「持ち物や食べ物の選択は、自分の意志表明である」ということがまさに観念や意味の消費であるからだ。もし消費で満足することがないならば、わたしは消費することに疲れてしまっているはずだが、実際は今の消費の仕方に満足している。
「消費」によって人が満足することが無いのは、消費の判断基準が明確でないまま消費をしているからであって、基準をきちんともっていれば、足るを知らない消費社会に生きていても、ちゃんと満足する物選びができるような気がする。

・・・

後半(5~7章、結論)がどのように展開していくのか、そこから、知りたかった「何かをしたいのにできない」という感情や気分の正体がわかるのか?来月の3テーマ読書記録でまた書いてみようと思う。

3テーマ読書とは

「3テーマ読書記録」は、毎月1日に先月分の読書を振返ってみるというもの。バランスよく色んな本を読みたいので、1か月の間に以下3テーマの本を最低1冊ずつ読むようにしている。

#心を豊かにする読書
他人の人生を読書を通じて体験できる小説などの物語。
#暮らしを豊かにする読書
ミニマルに生きるためには、経済的に自立するためには?という自分自身が関心あること、そして日々の暮らしを豊かにするために読む本。
#世界を広げる読書
研究の幅を広げてくれる本、知的好奇心を刺激する本、歴史を知ることのできる本など。

ブクログでは、紹介したタグをつけて本棚登録をしています → Harunaの本棚 - ブクログ

3テーマ読書のきっかけを話している音声投稿↓

2020年アーカイブス

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?