私の推し芸術家vol.16(福田平八郎)
没後50年回顧展に大阪中之島美術館まで遠征してきました。
何せ、大阪の次は大分県立美術館で東京に巡回することはないそうでそれなら行くしかない、ついでに東京で見逃した「モネ、連作の情景」展も観ることにしました。ところが、行く前になって代表作「漣」が作品保護のため展示を一時休止するという事態に!「何があったんだ⁈劇場」受付の人に聞いてみたけど、納得のできる答えは得られずじまいでした。
でも実は去年東京近美でやった「重要文化財の秘密」展で観ていたんですよね。あの時は鈴木長吉の「十二の鷹」のインパクトが凄くて「漣」を見たことをすっかり忘れていましたが。
略歴
1930~40年代
年表によると1920年代に帝展(今の日展)で特選を取るなど、元々画壇では認められた方だったんですよね。その安定をぶち壊して抽象もどきの道に突き進んで行ったところが凄いと思います。
でも彼にとっては「漣」はあくまでも写実を突き詰めるとこうなったということらしい。
そして賛否両論はあったけど、結局は重文指定を受けるなど世間から認められた画家となって文化勲章まで受けている。全然不遇ではなかったところが又凄い。何だかピカソみたい!本人も西洋の現代美術には関心があったみたいです。
これは琳派入っていますね!琳派にも関心があったみたいです。
こう見てくると、写真のような写実とは全く違いますね。
こちらも、写実を基本にした装飾画と言える作品ですね。
こちらは、第4回日展出品作で、庭石の上に降り積もった雪の様子を大胆に簡略化して表現しています。
1950年代
この年代も代表作が続きます。
最近見つかった作品で1950年の日展出品作でしたが、物議をかもして長らく行方不明だったそうです。
この作品に惹かれて福田平八郎に関心を持つようになりました。
でも他にどんな絵を描いたのか全く知らずにきてしまいました。
だから今回は貴重な機会なので、どうしても行きたかったのです。
第1回新日展に出品された「水」に至っては抽象と呼ばずには居られない作品となっています。
「桃」は伝統的写実。見出し画像の「牡蠣と明太子」(大分県立美術館蔵)は1953年作のスケッチ。
2012年に山種美術館で「福田平八郎と日本画モダン」展が開催されたそうですが、正にこれらの作品は日本画モダンという形容詞がピッタリです。
このシリーズでも取り上げた作庭家の重森三玲も自分が作った庭のことを「永遠のモダン」と言っていましたが、伝統をしっかりと守った上でのモダンという考え方に相通じるものがあるような気がします。
1960年代
こうなると、もう何おか言わんや!正に現代美術ですね。
終わり
註
会場で許可された作品以外の写真は、2012年に山種美術館で開催された「福田平八郎と日本画モダン」展サイトよりお借りしました。(ネット画像より引用)と付記。
展覧会は5/6迄休館日なしでやっています。4/24からは「漣」も展示再開されるそうです。
大分県立美術館では5/18〜7/15迄やるそうです。