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十二の鷹


noteの皆さんの投稿を見ていて、今、東京国立近代美術館で開催されている「重要文化財の秘密」展に「十二のたか」が出ていると知り早速見に行ってきました。この数奇な運命の作品については、最近出版された下記書籍に詳しく書かれています。


要約すると、林忠正が1893年のシカゴ万博に出品する為に金工師 鈴木長吉に制作を依頼したブロンズ像で四年の歳月をかけ、莫大な資金を投入して完成したその出来映えに満足した忠正は、アメリカに送られる前に鳴り物入りで帝国ホテルでお披露目会を開いたほどだったが展覧会終了後は不況で売れず投入した資金を回収できないまま親友グロッセ博士(エルンスト・グロッセ1862ー1927)の手でドイツに運ばれた。グロッセと忠正の死後日本の忠正の未亡人の里子の元に帰っている。紆余曲折を経てようやく国立工芸館に所蔵される事になったわけです。やっと終の棲家が見つかって良かった、良かった!
それでは作品を観ていきましょう。大きいので左から3羽ずつ4枚いきます。

鈴木長吉「十二の鷹」国立工芸館蔵 部分
同上


同上

キャプションには次の通り書かれていました。

色とりどりの金属で作られた十二羽の鷹が大緒おおおで繋がれ、それぞれ異なる姿勢で木製漆塗のはこにとまっています。1893年のシカゴ万博に際し、鷹狩の伝統儀式を立体的に再現しようと考案したのが、美術商の林忠正。鈴木長吉を全体指揮に起用し、各分野総勢24名もの技術者を集めて制作されました。江戸時代の置物にはない迫真的な表現を得るため、実際に鷹を飼い、骨格や体形や習性を観察したといいます。重要文化財に指定されたのは2019年と意外に最近です。近年の科学的調査の結果、当時最新の電気メッキの技術が用いられた可能性が指摘されています。

キャプションも会場ではゆっくり読んでいる余裕はありませんが、こうやって写真に撮って読み返すとよく分かりますね。東近美さんは太っ腹で、この展覧会は撮影OKの作品が結構あって感謝です。ついでにもう一枚。

鈴木長吉「鷲置物わしおきもの」1892年         東京国立博物館蔵

この作品もシカゴ万博の彫刻部門に出品されていたそうです。
明治以降に制作された近代工芸の重要文化財指定第一号だそうです。
皆さんは、鈴木長吉の超絶技巧作品をどう思われますか?
リアル過ぎて私はちょっと苦手かも・・・林忠正は、こういうのが好みだったんでしょうね。
展覧会は5月14日(日)まで開催されています。