<教育>第2回バイリンガル・バイカルチュラルろう教育研究大会

◆ろう者の言語・文化・教育を考える◆ 創刊号 2004年4月1日

3月20日・21日、第2回バイリンガル・バイカルチュラルろう教育研究大会(通称:バイバイ研究大会)が行われた。場所は東京・代々木の森に近い国立オリンピック青少年総合センター。参加者は350名(2日間延べ520人)。

このバイバイ研究大会、デフフリースクール龍の子学園(当時)の実践発表会からスタートしたもので、実践発表会から数えると5回目になる。今回のバイバイ研究大会は、日本財団の助成を受けており、研究発表の内容も、もちろんパワーアップしているが、予稿集がヒジョーに立派になっていた。第1回の予稿集がモノクロだったのに、今回は子ども達の生き生きした顔写真が表紙になっている。スバラシイ!

さて、龍の子学園って何だ?と思われる読者も中にはいるかもしれないが、龍の子学園のことは別の機会にまた詳しく紹介することにして、今回は、バイバイ研究大会のシンポジウムの様子を主に伝えることにしよう。シンポジウムのテーマは「ろう教育をより良くするために」。

実はシンポジウムのコーディネータを私が引き受けたのは、開催の1週間前。パネリストの方々が大物過ぎて、私には荷が重すぎたが、ろう教育の過渡期にある現在「これはやらなければ!」と引き受けることにした。

パネリストは全員で5名。龍の子学園代表とその保護者、そして全国聾学校校長会長、財団法人全日本聾唖連盟教育対策部長、慶應義塾大学総合政策学部専任講師という豪華な顔ぶれ。

「日本語対応手話とか日本手話とか、そういったことは区別する必要はなく、手話はひとつ」という発言に対し、今回のバイバイ研究大会の特別講演の講師、インネス博士は「日本語対応手話と日本手話はまったく異なる。ろう者の手話が言語であるということは言語の専門家によって証明されている」という話をされた。

また、今回は全国聾学校校長会会長がパネリストととして出席いうことでかなり注目を集めていた。日本手話による教育を望む親子が入学してきた場合、どう対応するのかという質問については、聴覚口話法を中心とした教育が必要という考えを堅持しながらも、親子の希望に沿う努力が求められるかもしれないと発言した。

フロアからも厳しい意見が飛び出た。

「自分が言語学の専門家でないというのならば、手話はひとつなどというべきではない」。

シンポジウムは1時間半で終了。

このシンポジウムでわかってきたことは、聴覚口話法やキュー、対応手話による教育を望む子どもにはそれが用意されてきたが、日本手話による教育を望む子どもに対しては70年も長い間放棄されてきたということだ。

それぞれ異なる立場であっても、パネリストの共通の思いは「ろうの子どものために」であろう。しかし、何がろうの子どもにとって一番よいことなのか、改めて考える必要があると感じたシンポジウムであった。

コーディネータって、大変な仕事なのね。自分のいいたいこともいえず、精神的にもよろしくない。もう二度としたくないというのが私の本音である。


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