見出し画像

緊急事態宣言やっちゅうのに、乳がんと言われましてん。032 入院中・そして退院して思ったこと


↑にて、今回の入院から退院までの流れをざっくりと書きました。
今思うと、なぜ入院中の自分の頭部をトプ画にしたのかとても謎ですが……笑
画質が悪いので分かりにくかったと思いますが、髪だけでなく、眉毛もかなり抜け落ちており、昔のヤンキーみたいになっております。
実を言うと、髪等の毛は今でも抜けてはいます。ただ、代わりに新しい毛がうっすら生えつつあります。眉毛の毛が抜け落ちた部分が、今日になって見るとだいぶ青々としてきていて、鏡に近づいてよく見ると、産毛よりちょっと太いような毛が生えてきています。
今残っている太い毛も、最終的には全部抜けてしまうのかもわかりません。実際、抗がん剤治療をして4か月が経ちますが、脱毛が本格的に始まったあたりに髪をだいぶ短くしてしまったため、その間にほとんど伸びていないのが非常によく分かりますから、残った毛の毛根もライフはゼロかもしれません。

入院するまで、過去記事に書いたように精神状態は最悪でした。とにかく鬱。自分の体がどうなってしまうのか分からないこと、パクリタキセルの副作用がその時に限ってなかなか抜けずに歩くことも以前よりままならず動きにくかったことなど、考えられる理由はいくつかあります。
そして入院当日は、おこがましいかもしれませんが、出征兵士はこんな気分だったんだろうか? と思うような感覚でした。家からタクシーで病院に向かいましたが、車窓から見る自分の街が、もしかしたらもう二度と見ることができないのかもしれないな、などと考えると、愛おしいとは言い過ぎかもしれませんが、建物、街路樹、見えるもの一つひとつが何か淡い光に包まれているようで、いまにもはかなく消えていきそうに思えました。
病院に着いて、荷物を整理し、しっかり体拭きをして着替えてからはやることがあまりなく、タブレットをいじりながらだらだら過ごしていたのですが、気づくと入院前までに感じていた憂鬱感はほとんどなくなっていました。その日は祝日で、休院日に入院する形になったのですが、そのために本来ならしなければならないセンチネルリンパ節シンチ検査が翌日に延びたなどで医療関係者の出入りが通常より少なかったこと、また病室は4人部屋であったにもかかわらず、私が入院すると入れ違いで退院した人がいて、結果4人部屋に独りでいることになったのが却って良かったように思います。他に人がいると、カーテンで姿が見えなくても、ドクターやナースとの会話等を聞かれた時に気弱なところは悟られたくないと思ってしまいますが、誰もいないので気丈になる必要がなかったんです。皮肉ではありますが、これから手術をする場所である病院に着いてようやく、自分を「縛り」から解放できたように思います。それに人の話を聞いてしまうと、つい自分と比べてしまって落ち込むかもしれないしね。

手術前日の晩から翌朝までOS-1というのは別に悪くはなかったのですが、飲むのも禁止になった朝8時半以降は、口の中の渇きと不快感がたまらず、何度も口をすすいでいました。口をすすぐのは、口内細菌を減らすという意味で後の手術に有利になるので悪くないのですが、そんな理屈よりもとにかく疑似的に水分を摂った気分になりたいのと、口が渇くことで口の中が苦みでいっぱいになって気持ち悪くなりそうという本能的な部分の方が上回っていました。これが、手術が終わって目が覚めてからも、許可が出ない限り解消されない(しかも安静だからうがいもできない)ことを思うと手術そのものより萎えそうな気分でした。

手術室へはナースさんに案内されながら自分で歩いて向かうのですが、手術室のある階に行くためにエレベーターに乗る時、そこで待機をしていた旦那さんとタッチ。旦那さんがタッチを求めるように手を出してきたので、手術前(しかも○○○禍)なのにタッチしていいのかな?と一瞬戸惑い固まってしまいましたが、ナースさんが「大丈夫。」と言うように目配せしてしてくれたので、ぎこちないながらもタッチ。
そして手術室に着き、横たわって……

麻酔が切れたようで、ぼんやりする中、やけに喉が風邪をひいた時のように痛い。麻酔中に気管に挿された管を抜いたことからくる痛みらしいのですが、その喉のイガイガ感と、膀胱がパンパンに張ったような感覚で、ぼんやりしていてもひどく居心地が悪くて、しかもそのまま動けないのが本当に苦痛でした。特に膀胱……これは尿管に管を挿されたために残尿感のような感覚がどうしてもあり、管から尿が排出されているにもかかわらず、とにかくトイレに行きたくて仕方ないという不可思議な状態でした。それに加えて何も飲めないので相変わらず口の中が渇いていて、その上どうも通常よりも早く意識がはっきりしてしまったらしく、不快な状態の上に何の身動きも取れない、拘束具がないのに拘束されてしまった状態なので、とにかく退屈で退屈で仕方なく、かろうじてiPodで音楽を聴くのを許された時は少しホッとしました。しかし、完全に受け身の状態の娯楽というものは、拘束されているという感覚から解き放つには、針で刺すような穴しか開けられないもので、どうしてもタブレットが使えないかとお願いして、半ば無理矢理でしたが許可をもらい、切ってない方(厳密には、左側に埋め込んでいたポートも取ったので切ってはいるが、今回の患部に負荷がかからないようにという意味で)の左側を下にして少し横向きになってネットやソリティアをして、ようやく本当に退屈感からは解放されました。何の楽しみもないまま、医療行為とはいえ苦痛の中の絶対安静は堪えます……

タブレットをいじっている間にどうやら少し眠れたようですが、抗がん剤をやって以来更年期のようになったのか、体温調節がうまくいかず暑くなったり寒く感じたりの繰り返しだったので、足にかかっている布団を少しでもどかしたくて、術後の患者にしては脚をもぞもぞ動かしていたように思います。実際には、膝を曲げ伸ばしして布団がめくれるようにしていたのですが……尿管に管を通されているのに、よくこんなことしてたなと今になって見ると思います。

そして翌朝、朝食後に、点滴と尿管の管を挿されたままの状態で立ち上がって見て、そろりそろりと歩いてみて……

やった! ようやく尿管の管とおさらばできる!!!🙌🙌🙌
(そっちかい……)

いや、本当に不快なんですよ、尿管の管。勝手に尿は出されているはずなのに、膀胱が満タンになっているようでとにかくこれからは解放されたかったんです。トイレに向かって管をようやく抜いた時……

いったああああい!!!!

拭いたら血も付いてました……手術って、やる前後の方がずっとしんどいですね(´・ω・`)

そして時間が一気に飛びますが、退院の日、寝間着から着替えて病院を出てから、買い物のために立ち寄ったスーパーを歩いたのですが、病院内では結構歩いていたつもりではいたのだけれど、実際に病院外で日常生活と同じように歩こうとすると、スピードも出ないし力も入りにくい。旦那さんが麻酔科担当のお医者さんに訊いていた時の「全身麻酔明けの馬」状態です……スーパーで買ったのは、退院した日に食べようと決めていた寿司🍣とその他もろもろのお菓子🍰


抗がん剤治療中、そして血液が回復するまで避けていたお寿司だけど、ようやく晴れて食べられる!
前にも書いたけど、こんなにお寿司が大好きって訳じゃなかったんだけどな。でも、久しぶりのお寿司が五臓六腑にしみわたる……生の魚介を食べられることの喜びを噛みしめながら、……けっこう早食いしてしまいました😅

飛ばしてしまった日にちの分は、また後日書きますね。

コロナ禍の中、乳がんになって……一つひとつの命に優しい世界であってほしいと願います。貴重なサポートは、各種がん闘病に関わる団体や保護猫活動に充てさせていただきます。