短篇小説:きみとキャンディを食べたいから
ケンカした友だちと謝り合うお話。約2300字。
「あたし、実は、三十年後から来たの」
放課後になり、校舎を出たところで私を待ち伏せていた菜々美は、仁王立ちになってそんなことを言いだした。
菜々美の顔は大まじめ。
けど、突っ込むだけでバカらしいし、そんな気分になれない。菜々美の横をすり抜け、私は校門目指して歩いていった。
「あー、もう、待ってってば! 無視しないで! せっかく三十年後から紗良ちゃんに会いに来たのに!」
演劇部らしく、菜々美の声は通り過ぎる。仕方な