雨に打たれても 風に吹かれても
2020年、8月のある日。
NHKの『ライブ・エール』という歌番組にJUJUさんが出演されると聞いて、オンタイムでテレビの前に陣取った。
番組が放送される何週間か前に受け取った、悲しいニュース。毎週木曜日の夜にわたしを心地よく癒してくれた番組『世界は欲しいモノにあふれてる』で、彼と一緒にMCをしていたJUJUさんはどうしているかと、気になっていた。
並んで2人楽しそうに笑いあう姿が、今もわたしから離れない。何者も演じていない彼が、番組のなかで見せる抜け感は、どこかJUJUさんや番組スタッフとの相性の良さを漂わせていた。
見なくてはいけない。『ライブ・エール』でのJUJUさんのパフォーマンスを。よく分からない使命感と、こころの拠り所を渇望する気持ちでぐちゃぐちゃのまま、テレビの前で「やさしさで溢れるように」を歌うJUJUさんを観た。何度も何度も繰り返し聴いた、大好きな曲だ。
この日、彼女が魅せたパフォーマンスは、まさに絶唱。
もともとエモーショナルな世界を見せてくれるJUJUさんが、ありったけの思いを込めて、天まで届けと歌う姿。わたしは生涯忘れることは無いだろう。
あれから、2年あまり。
つい最近、あの日を境にたくさん観るようになった公演の数々で出会ったある俳優さんが、化粧品ブランドの公式サイトで「やさしさで溢れるように」を歌ってくれていた。
どうしても、公開されたムービーを繰り返して観られなかった。その俳優さんの歌は特別で、景色を連れてくる。彼女が歌うと、わたしの脳裏にはあの日のJUJUさんの絶唱と楽しそうな彼の笑顔が浮かぶ。一度観た後観られないまま、彼女のコンサートに向かった。
「やさしさで溢れるように」を歌ってくれた。
なんとか号泣せずには済んだが、やはり涙が込み上げてしまう。
この曲を泣かずに聴ける日は、来るのだろうか。
いただいたサポートは、わたしの好きなものたちを応援するために使わせていただきます。時に、直接ではなく好きなものたちを支える人に寄付することがあります。どうかご了承ください。