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1月観劇記録 劇団四季 『アナと雪の女王』

ようやく観に行けた。公開のニュースを聞いてから早・・・何年?最初に予約した公演に行けなくなって、悔しかったのを今も思い出す。

ストーリーはディズニーでおなじみ『アナと雪の女王』。まったく同じだけれども、舞台ならではの演出がたくさんあって、ワクワクした。


観劇日・キャスト


2024年1月20日(土)マチネ
場所:四季劇場 春

キャスト(敬称略)は以下画像を参照。

観劇当日のキャスト表

あらすじ

映画の通りなので、映画『アナと雪の女王』のサイトから引用する。

凍った世界を救うのは—真実の愛。ふたりの心はひとつだった。姉エルサが“秘密の力”に目覚めるまでは…。王家の姉妹、エルサとアナ。触れたものすべてを凍らせてしまう“禁断の力”を隠し続けてきた姉エルサは、その力を制御できずに王国を冬にしてしまう。雪や氷から大切な姉と王国を取り戻すために、妹アナは山男のクリストフとスヴェン、“心温かい雪だるま”のオラフと共に、エルサの後を追って雪山へ向かう。アナの思いは凍った心をとかし、凍った世界を救うことができるのか? そして、すべての鍵を握る“真実の愛”とは…?

ディズニー映画 『アナと雪の女王』公式サイトより

感想

子役まで上手い。さすが劇団四季クオリティ

冒頭に、子ども時代のエルサとアナが登場する。子役が出てくるミュージカルは結構たくさんあるのだけど、劇団四季の子役は抜群に歌が上手いし、お芝居もしっかり。映画はアニメーションなので、子どものエルサとアナが成長していく姿は等身バランスを変えて描かれる。舞台だと役者そのものが変わるのは面白い。同じ劇団四季の『ライオン・キング』、ヤングシンバとヤングナラを思い出す。

アナとハンスのデュエット曲「とびら開けて」の演出が秀逸

エルサの戴冠式にやってきた、近隣国の王子ハンスとアナが意気投合する場面で歌われる曲が「とびら開けて」。アニメーション映画では仲良さそうに目を合わせて歌いあっていたけれど、劇団四季の『アナと雪の女王』ではとてもちぐはぐ。劇団の大先輩、濱田めぐみさんがWOWOWの番組『グリーン&ブラックス』で「デュエットの極意」をやってくれた時、デュエットは「歌いあわせる」ものだと言っていたけれど、歌いあわせるどころかアナもハンスも、互いの声など聴いてはいない。ただただ、勝手に感情の赴くまま声を張り上げているだけ。まったく息があってない。

劇団四季でプリンシパルキャストを張るような人が、息をあわせて歌えないはずがない。とするとこれは演出ということになる。アナと最終的に真実の愛で結ばれるのは、ハンスでは無いことを知っているから余計にそう感じたのかもしれない。映画では無邪気に楽しそうだった2人だけど、リアルに居たら確かにこんな感じに見えるのかもしれない。

一方で、クリストフとアナのデュエットは最初から美しいハーモニーを奏でていて、耳が幸せになる。演出で「ひと同士の相性」をこんな形で示せることを初めて知った。ミュージカルって、奥が深い。

一幕ラストのビックナンバー・「ありのままで」の驚愕

戴冠式を無事終えた後の晩餐会で周りに力がバレて逃げ出し、山の中でエルサは自分を解き放つ。すべてを凍らせる魔法の力を持って生まれたことを隠して生きてきたエルサが、自身を解放して作り上げた氷の城の中で、ひとり自分らしく生きるのだと決意を歌い上げるナンバーは、同じ曲の中で不安と苦悩、徐々に育っていく氷の城と自己肯定感、おのれの道を行くのだと決意するまでのこころの変化を表現しなくてはならない難曲だ。

エルサ役の谷原志音さんは、圧巻の歌声で、圧巻の表現力で観客の度肝を抜いていった。拍手するしかないというか、手が勝手に動いていた。幕間に入ってもしばらく余韻は続く。客席で「息をのむ」という感覚を久しぶりに味わった。

俳優さんたちのお芝居について

人(役者)で観客を呼ぶのではなく、作品で観客を呼ぶ主義の劇団四季。プリンシパルキャストもアンサンブルキャストも素晴らしくて、全員がハイクオリティだった。もちろんアナとエルサに注目が集まる演目ではあるので、2人はとっても良かったけどそれだけでは語り尽くせない。

あえて触れておくなら、スヴェン。映画と遜色ないレベルであんな風にスヴェンを表現出来ると思っていなかったので、驚いた。演出つけた人、すごい。

エルサが力を使う場面では映像も多用されていて、「おおっ!」と声が出そうになること数回。最近は映像をうまく使ったミュージカルもたくさんあるけれど、とても効果的な使い方。他の劇場では難しい演出かもしれない。

終わりに

国内屈指のハイクオリティ劇団で観る『アナ雪』は、素晴らしかった。個人的には演出や映像使い含め、映画より好きかもしれない。もともとミュージカル映画だし、実写ミュージカルとの親和性は高かったのだろう。このチームでなくとも実現はできただろうけど、ハイクオリティでのロングランは、劇団四季だからこそ実現できるものだ。

『ライオン・キング』と同様、誰にでも自信を持ってお勧めできるミュージカル。娘と観ることができた幸せに感謝したい。


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