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本屋でジャケ買い

欲しい本はほとんど、Amazonか楽天ブックスで探して購入している。
だけど、1か月に1度ぐらい、ふらっと本屋に寄りたくなってしまう。

好きなアーティストの載っている雑誌、仕事関係の本、マンガ。買うと決めているものはすべてネットでの注文だ。発売されたその日に届くし、何よりのんびりしてたら在庫がなくなってしまうこともあるからだ。リアル本屋で探した場合、品ぞろえが悪くて入荷予定をいちいち訊いて取り寄せてもらうのが、ちょっとしたストレスになる。Amazonならタップ2回でハイ終了、なのに。

それでもついつい本屋に足が向くのは、なぜなのだろう。基本的に、本に囲まれた空間が好きなのかもしれない。雑誌が平積みされている台や、ぎっちり文庫本が詰まった本棚を眺めているだけでも、なんだかホッとする。

先週本屋でいつものように、何を買うでもなく背表紙を眺めながら本棚と本棚の間を歩いていると、ふと1冊の本が目に留まった。棚から引き抜いて、ジャケットを見て、ぱらぱらとページをめくってみる。

すぐに買うと決め、レジに並んだ。

手に取ったのは、なんとなくだ。俳優さんのお芝居と絵画って似てるよな、とぼんやり考えていたからにすぎない。ジャケットに描かれたモネやマネのイラストが何ともユーモラスだったので、めくってみたら他にも印象派の画家たちの特徴あるなんとも愛らしい姿が、そこここに散りばめられていたのだ。

家に持ち帰って読んでみる。いわゆる美術史の解説部分はちゃんとあった。が、それよりも印象派の画家それぞれのキャラクターに焦点が当たっていて、筆者がにんげんとしての画家ひとりひとりに注ぐやさしい眼差しが、心地良かった。

改めてネットで探してみたら、ちゃんとAmazonでも見つかった。それはそうだろう。取り扱ってないわけはない。だがAmazonで「印象派」「画家」と検索するかと言ったら、わたしはしないだろうな。多分。

手に取るとは思ってもみなかった本との出会いが、嬉しい。
わたしにとって、本屋はなんだか分からないけど好きな空間で、一期一会をくれる場所でもある。

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