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〈暗がりの恐怖シリーズ〉生栗事件🌰

 秋も深まったある日、時折季節の野菜や果物を送ってくれる義母から、いつものように荷物が届いた。
 その中に、生の栗🌰が入っていた。赤いネットに見事な大粒が十数個入っている。すぐに茹でて冷蔵庫にでも入れておけばよかったのだが、当時はまだ会社員として毎日遅くまで働いていたため、忙しさにかまけて、あろうことか冷蔵庫横にあるスチールカゴの中に、そのまま2週間ぐらい放置しておいた。まさか、あんな事件が起こるとは思いもせずに。

 生栗の存在をすっかり忘れかけていたある夜のこと・・・
 会社から帰って来て、真っ暗なキッチンに電気もつけずに入ったそのとたん、ムニュッと何かやわらかいものを踏んづけた。。。

うぎゃぁあーーっっ‼️なにこれ★⭐︎

 足の下の表現しがたい感触にビビっていると、暗がりに慣れてきた私の目に、ぼんやりと白い点々が見えてきた。てん、てん、てん…は、あちこちに散らばって…そしてなんだか動いてる気が…慌てて電気をつけた瞬間、私が見たモノは‼️
 ゾッワ〜〜〜★⭐︎キッチンの床中に散乱しながらウニャウニャと元気にうごめく、巨大なカブト虫の幼虫のような姿だった。

 後で調べたところ、なんと、栗の70〜90%に虫の卵が入っているとのこと!カブト虫の幼虫に似た「クリシギゾウムシ」や「クリミガ」で、イガができない若いうちに穴を開けて卵を産みつけ、実の成長とともに穴はふさがれカムフラージュ。まんまと中身を食べ終えると、外に出て来る。農薬を使わない自然の山栗などは、特に多いらしい。さてはお義母さん、山栗送ったね!
 それにしても、まさかの床上幼虫ワールド★⭐︎信じがたい光景に我が目を疑いながらも、とうてい潰したりちぎったりなんて残酷な殺生はできず(さっき無意識に踏み殺したが)、ティッシュで1匹ずつつまんでゴミ箱へ捨てていった。幼虫たちはそのまましばらく生き続け、夜な夜なカサカサゴソゴソゴミ箱から響いてくる生存の証は、恐ろしいやらちょっと気の毒やら・・・

 そしてついに、燃えるゴミの日❗️
 ゴミ箱からビニール袋を持ち上げると、隅っこに身を寄せ合った白い虫たちは、さらにデッカく成長しながら、うねうねと死のダンスを踊っていた。そして、幼虫入りゴミ袋は、ゴミ収集車へと引き取られて行った。
🎵ドナドナド〜ナ〜ド〜ナ〜 幼虫のせて〜🎵
 さようなら、幼虫たち!あのまま育てたら、どんな虫になったのかな…1匹ぐらい飼ってあげればよかったかな。いや、ムリだ。
 ちなみに、信州ではこの「クリシギゾウムシ」を食べる風習があるらしく、フライパンに油を引いて炒ると栗風味のポップコーン味で、味もしっかりしているので、塩をふる必要がないらしい。茹でると、ナッツ風味のクリーミーなエキスがジュワッと出てくる上級者向け、とのこと。ううう・・・😖

 こうして、必然的に生栗恐怖症になった私は、それ以来スーパーで栗を見るたびに、床を這い回るあの強烈なうにゃうにゃシーンを思い出して、ゾッとする。
 どうかどうかお願いですから、今後、誰も家に生栗を送ってきませんように‼️🙏
 
 

 



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