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姉の家にホームステイした日記

あらすじ
仕事での人間関係によりうつ病と診断された私。
しばらくお仕事を休み、1日10数時間寝る生活に。

ある日、姉から電話があった。
「げんき〜?なにしてんの〜?」
休んでいることは伝えていたが、まさか1日のほとんどを寝て過ごしている状況だとは知らない姉。
現状を伝えるとめちゃくちゃに怒られた。

「メンタル病んでるのに、引きこもってるとかバカじゃないの!?日光にあたれ日光に。昼寝すんな。夜寝ろ。
近所出歩いて職場の人間に会うのが怖いだぁ?ならうちに来いうちに。昼寝できねぇようにしてやる」

こう並べるとうつ病の人に言っちゃいけないって本に書いてそうな言葉ばかり(笑)
私が回復期に入りかけていたこと、お互いの性格をよく理解している姉だからこそできていることです。周りの人に言っちゃダメだよ。私も他人に言われたらブチギレるよ。

姉は結婚して離れて暮らしていたので、確かに姉の家に行けば近所の目は気にならない。でも姉の結婚相手が自宅で仕事をする人なので、気軽に行けないし…って言うと、
「大丈夫、大丈夫。みんなでカードゲームしよって言ってる。」
と、ありがたい言葉をくれた。


正直一人で仕事に復帰できるくらいまでの生活リズムに戻せる自信がなかったので、お言葉に甘えることにした。

2泊3日の姉家ホームステイが決まると、行きの切符だけ買った。
帰りにもしも元気だったら、道中寄り道しながら帰ろうと思っていたのと、時間配分が下手なので、帰りの電車に合わせて駅に着く予定が、数時間駅で持て余したりするから、直前で買おうと思ったからだ。

朝早く出て、夜に姉の最寄りに着くと、姉夫婦そろって迎えに来てくれた。
スーパーで買い物をして、テレビを見ながらご飯を食べ、カードゲームをした。ボロ負けだった。
姉からの提案で、インターネットを禁止するため、スマホの電源を落とした。
朝早かったからか、安心できる環境だったからかはわからないが、22時には眠くなり、夜中に目覚めることもなく朝までぐっすり眠ることができた。

翌日は、9時に起こしてもらい、姉が淹れたコーヒーを飲んだ。(手動のコーヒーミルしかないので、挽くのは私がやった)
前から私が行きたいと言っていたテーマパークへ行った。外出していると眠くても寝られないし、何より初めて行くところは楽しかった。帰りに見たこともないスーパーに寄ったら、思いのほか大きくて、見たこともない食品を見て回るのも楽しかった。
晩御飯を作るために、3人でぎゅうぎゅうになりながらキッチンに立って、料理をした。凝ったものを作ったわけではないし、むしろ私はとんぺい焼きを失敗してスクランブルエッグと豚肉にしてしまったが、笑い合って食べたのも楽しかった。
その後はゲーム機を借りてゼルダの伝説をした。操作難しいかと思ったら、意外とできる。

寝る前に、明日どうするか話をしていたら、姉が「もう一泊したらぁ〜?」と言ってくれ、旦那さんも「もう少しゆっくりしていきなー」といってくれたので、もう一泊させてもらうことにした。
3人でぎゅうぎゅうになりながら洗面台の前で歯を磨いた。

次の日も9時に起こしてもらった。その日は喉に乾燥したごぼうが詰まる夢を見てうなされていたので、起こしてもらって助かった。
朝からコーヒーを飲んてゆっくりしてから、姉夫婦おすすめの昼食を食べに行った。
周りがキラキラオフィスだったので、ランチに来ているOLも多かったが、姉たちと一緒だったので惨めにならずに済んだ。
その後、姉と2人で二駅離れたショッピングモールへ行った。そこで今回のお休みするにあたって、職場であったことを姉に話した。
「え、それはこうしたらええやん。」「そりゃ無理だろ。」「そんなおばさん無視したらええねん」など、正論パンチを次々繰り出されて心折れかけたが、「うるせぇ!私の話を聞けぇ!」と言いながらわいわい話した。

ひと通り聞いてもらった後、「私が言われるがままホイホイと仕事を引き受けるから、周りの奴が調子に乗って舐めてかかってくるんだ。うるせぇ、それは私の仕事じゃねぇで突っぱねろ。」という姉のまとめで、私の中で腑に落ちた。「人間そりゃ言わなきゃわかんねぇわ。あんたは説明がそもそも下手なんだから。私(姉)がこれはこう言うこと?じゃあこう?って引き出してようやく分かるんだから、何も言わないままだとそりゃいいように使われるわな。」と。

帰り道に姉に「明日帰るね。」と伝えると、「帰りな〜。そろそろあんたが家にいるのも飽きたし(笑)」と言われた。

家に帰ってから、私がまた引きこもって寝てばかりにならないよう、姉は腹筋ローラーを買ってくれると言う。「1日10回やりな〜。筋肉は正義だよ〜。」と言っていた。近所に散歩に出て職場の人に会うのが嫌だと言う私に寄り添った、最大限の気遣いが嬉しかった。

最終日の朝、家を出るまでにもう一度カードゲームをやった。一度も負けなかった。

家に帰ってから、姉にお礼として電動のコーヒーミルを送った。
「やった〜。またコーヒー飲みにきな〜。」と言ってくれた。ありがとう。

数日だったけど、本当に元気になった。
朝起きて、日中出掛けて、夜になったら寝る。
アホな話をして、たくさん笑って、たくさん動いた。
本当にこれだけのことだけど、あ、私もう大丈夫かもしれないってところまで来ている。

インターネット(というかSNS)から離れてよかったなと思うのは、数日だから後から追うことも簡単だろうとストレスもなかったこと、現実の自分の身の回りで起こったことだけに意識がいくことだ。
思えば、ネットの中の誰かに起こった良いことや悪いことに心を持っていかれすぎていた。誰かのために喜んだり、悲しんだりできることはいいことだけど、自他を切り分けられることが大前提としてないといけない。
私はそれが全くできていないのに、ありとあらゆる情報を追いすぎていた。

現実を生きるって、今の時代難しいけど、すごく大切だなと思った。姉、本当にありがとう。

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