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人間ヴェルディ

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彼の音楽と人生、そして その時代
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#ブセット

人間ヴェルディ:彼の音楽と人生、そして その時代(7)

著者:ジョージ・W・マーティン 翻訳:萩原治子 出版社:ドッド、ミード&カンパニー 初版 1963年 第一部 ミラノでの戴冠式と「オベルト」の初演 (1838〜39年;24〜26歳) 政治的背景と戴冠式の意味 ヴェルディとマルゲリータは戴冠式の週の真ん中にミラノに到着した。オーストリア帝国の皇帝、フェルディナンド1世はロンバルディア・ベネツィア国の国王として、ミラノの大寺院で、自ら王冠を乗せるために来ていた。その祝賀行事は絢爛豪華なものだった。ヴェルディがバレッツィに

人間ヴェルディ:彼の音楽と人生、そして その時代(5)

著者:ジョージ・W・マーティン 翻訳:萩原治子 出版社:ドッド、ミード&カンパニー 初版 1963年 第一部 目次 第5章:ブセットの音楽長職の後任選出が引き起こした抗争 町の政治的分裂 それまで何年にも亘って燻っていたことだが、プロヴェージの死は、ブセット町に突如として音楽長の後任者問題を引き起こした。もし、彼の死がもう2年遅く、ヴェルディがミラノでの勉強を終え、ラヴィーニャから輝かしい卒業証書をもらった後だったら、そしてプロヴェージの有能なアシスタント役として

人間ヴェルディ:彼の音楽と人生、そして その時代 (2)

著者:ジョージ・W・マーティン 翻訳:萩原治子 出版社:ドッド、ミード&カンパニー 初版 1963年 第一部 目次 第2章:ブセット町 その1 アントニオ・バレッツィ氏 カルロ・ヴェルディが最初に相談した相手は、アントニオ・バレッツィという人で、カルロがいつもロンコレ村で売り歩く商品を仕入れている食料品とワインの店をやっているビジネスマンだった。バレッツィ氏は今風にいえば町のデパートを経営し、自分で醸造した特別ワインを売っていた。商売はうまくいっていた。世の中が乱