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2020.9.12 新しい生物をつくり出す

今日の稽古で、不思議な手触りがありました。

前にも味わったことがあるのですが、
割と、劇場入りした後にこの感覚になることが多かった気がします。

今日で通し稽古は5回目を数え、
出演者のみんながだいぶ流れを身体化してきています。
上演中、出演者自身の体はもちろん、小道具等の転換、
観客の誘導、芝居のエネルギーの流れなど、
多くのことを出演者が司ります。

それはつまり、「自治」であり、すなわち社会である。
家とは一つの社会であり、また舞台もそうです。

通しを見ている途中、
劇が、僕の手を離れた瞬間がありました。
これはもちろんいい意味で。

「家」という作品、
いな、一つの新しい生物が息をし始めた瞬間でした。

僕はやはり、人が演劇を作るという行為のそれ自体に魅力を感じていて、
虚構に対峙した時に見せる人間の強さや弱さ、その振幅で光る輝き。
それは演劇の本質的な魅力なのだと思います。

家、という自治体を作るということ。
そしてそれを21公演、何度も繰り返し、持続させるということ。
「かもめ」というメタな視座を要求する作品に向き合うにあたって、
rusu(オーナーの祖母が留守の間貸し出している民家)という空間は、
あまりにもとっておきの場所、なのだと思います。

あの場所で、
この生物が息をする。
それが今は何より楽しみです。

人の思惑が血管のように張り巡らされた物語。
rusuという肉体に、この作品の魂が吹き込まれる。

明日で、稽古最終日です。
いよいよ、14日からは現場入りします。

感染症に揺さぶられ、
慎重に進められてきた歩みが、
もうすぐrusuの敷居をまたぎます。

昨日の稽古で、マーシャ役の円井わんちゃんと、役についてじっくり話す時間がありました。向こうから声をかけてくれて、脱線しながらいろんな話をしました。

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