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難を転ずる。

昨夜
『にっぽん縦断 こころ旅』を観た。

長い長い橋を
火野正平さんが自転車で渡る時
「お母さん(お母ちゃん)」と呟いた。
火野さんは 橋 恐怖症だ。

人が辛いことに直面すると
「お母さん」と 呟くそうだ。
お父さんとは言わない 。

 なぜだろう。

出産。

母親には産みの苦しみがある。

赤ちゃんにも 生まれ出る苦しみがあるのだろう。
きっと。
だってあの狭い産道の
暗いトンネルを通って
出てこなければいけないのだから。

出産は
母と子の共同の大仕事。
協力しなければ成功しない一大プロジェクトプだ。

人には
この記憶が脳にずっと残っているのだろう。

私が嫁ぐ時
母が実家にあった
南天のひこばえを持たせた。
庭の片隅に植えるようにと 。

南天は
その読み方から「難転」
すなわち「難を転じて福となす」に通じ
縁起のいい木だ。

嫁ぎ先で
私が平穏な日々を送れるようにとの願いを込めたのだろう。

今ではその南天は根付いて
大きくなった 。
今年も 赤い実をつけた。

私も 切羽詰まった時
「お母さん」と 呟く。
実際に 母に相談するわけではない 。
心配をかけるから。

お母さんと呟いて
自分で何とか解決してきた。

「お母さん」は
魔法の言葉だ。

人にとって
母親とは
死ぬまでずっと心の中に抱き続ける
そういう存在なのだろう。

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