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もう食べられないセブンティーンアイス

すでにかき氷を食べたくなるような気温ですが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。
時凪(ときな)です。

セブンティーンアイス。自動販売機で売っている、あのアイスです。
駅によくある割には、食べている人はあまり見かけません。気のせいでしょうか。
私は通っていた水泳教室に置いてあったイメージが強いです。
ところで、私はあのアイスに後悔があります。


***


高三の夏休み前のホームルーム。
夏休み中の目標を発表し合った。
受験を控え、勉強の目標やその中での僅かな娯楽を楽しみに上げる中、とあるクラスメイトがこう言った。
「セブンティーンアイスを食べたい」
???
食べればいいじゃん、とツッコミが入る。
「いや、違くて、ひそかに目標にしてたことがあって、17歳だから、セブンティーンアイスを全部食べようと思って」
そういうこと、なるほどね、と口々に言う。
ただ、非合理的なことに興味が無かった当時の私は、その楽しさがわからなかった。

今ならわかる。
もしあの時、私も感化されて、1つでもセブンティーンアイスを食べていたら、それは忘れられない味になっただろう。
例えその時はただのアイスでも、いずれ思い出す度にかけがえのない味になっただろう。
一言で表すなら、青春だ。

あの頃持っていた、みずみずしい感性や、未来への不安や、エネルギーや、焦りを抱いて、夏空の下で食べるアイスは、どんな味がするんだろうか。
何を感じて、何をしゃべりながら食べるんだろうか。

今を楽しんで生きるってこういうことなんだろうな、と思う。
今しかできないことをやる。
今だからできることをやる。
意味がなくてもいい。くだらなくてもいい。
それがいつか、意味のあることになったりする。
ただの出来事が特別になったりする。
そんなことを積み重ねて生きていきたいと思う。

17の夏に聞いた言葉に、ずっと後悔と憧れを抱いている。


***

さて、今日もカラフルな店舗を横目にリベンジを誓う。
いささか不相応かもしれないが。
楽しみだなぁサーティワン。


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