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ちっぽけだけど大切なの

他人にとってはかけらのようなプライドでも、縋りたくなるときが誰にだってあるんだよ

サイトで相手を探す際、写真をお願いすることがある。まあ、言い方は悪いが「品定め」である。
そもそも数万円単位の買い物をするのに、商品を全く見ないで購入できるのかというものだ。

これば出会い系での遊びに限った話ではなく、風俗全般に言えることだが、写真がないと当然判断しにくい。一か八かの博打ができるほど、こちらには余裕がないのである。

もちろん、送られてくる写真の大半は加工されていたり、いわゆる「奇跡の一枚」だったりして、確認材料としては当てにならないものだが、そんなことは織り込み済み。なんとなく雰囲気がわかればそれでいいという程度の気持ちである。しかし、相手にとってはそんな問題ではないこともあるようで…。

ある日、いつものように写真をお願いしたところ、罵倒が返ってきた。詳細はもはや忘れてしまったが、内容を要約するとこんな感じである。

金を出さないと女に相手してもらえないやつに評価されたくない

気持ちはわからんでもない。
気持ちの悪い男が写真を見せて判断するなんて何様だと。こっちが選ばれるのではなく、私が選んでいるのだと。
ただ、いきなりこんなことを言われることは初めてで、面食らってしまった。
なにか言い返そうかとも思ったが、こんなところで何を言っても意味がないし、そんなことにポイントを使うのも馬鹿らしいなと思ってやめた。


一瞬のイライラを落ち着かせ、考えてみる。彼女は何に激昂していたのだろうかと。

そんなに写真をせがまれることが嫌だったのか。だったら断ればいいだけの話である。そんな怒らなくてもいいじゃないか、という思いがよぎる。

ただ、よく考えてみれば、私にとってはたかが1枚の写真でも、彼女には大切な容姿を切り売りする行為が耐え難かったのかもしれない。

金を払わなければ女に相手にされないようが男が、私を偉そうに品定めするなんてどういうことだと彼女は思っている。
男からすれば、あなたはその容姿で稼いでるんでしょ……と思うのだが、こんなものは永遠のディスコミュニケーションだ。

出会い系での春の売り買いは風俗遊びと違い、売り手と買い手のパワーバランスがどこかおかしい。本来は共犯関係、言い換えればWinーWinであるべきなのだが、そううまくはいかない。
女は条件が気に入らなければ男を蹴ればいいし、サービスだってとことん手抜きすることができる。写真の例で言えば、品質を「偽装」することも容易だ(まあ、逆をいえば、男だって調子にのり、金を払うから何をやったっていい、というアホみたいな考え方になってしまうこともあるようだが)。

そんな環境においても、加工写真1枚すら見せられない、見せたくない。それでも金のために股は開く。女性は不思議な生き物だとつくづく思う。

同じものを見ているつもりでも、同じ見え方をしているかはわからないよね


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