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コロナ騒動の中で働く、私たち vol.2

コロナ騒動で、働く女性の日常はどう変わったか。今彼女たちは何を思っているのか。取材記録をnoteに残していきます。

取材2人目。あおいさん(仮名)、保険会社の総務事務、35歳。

1. 3営業日に一度の出社。通勤も窓口対応も、命がけ

「保険会社の支店で働いています。社内事務と、一般のお客様の来店対応が主な仕事。今は支店の人員を3班に分け、順番に出社するシステム。月曜日に出社したら次は木曜日、火曜日に出社したら次は金曜日、水曜日だけの週も。出社日以外はリモートワークで、自分の班以外の人とは会うなとキツく言われています。例えどこかの班でコロナに感染した人が出ても、他の班で仕事をまわせるように。

出社日は通常より早く行き、遅く帰るようになりました。それは通勤ラッシュを避けるためじゃなくて、3日に一度しかできない書類仕事をさばくため。紙で動かす仕事が圧倒的に多いんです。9:00-17:00は電話対応に追われるので、集中する時間も欲しくて。

電車は普段よりすいてるけど、それでも座れるか座れないかという程度には混んでいて、命がけの気分。一般のお客様の来店対応もすごくこわいし、これもまた命がけの気分です。自賠責保険も扱っているのでこんなご時世でも……こんなご時世だからかな、普通にお客様は来るんです。こんな気持ちを抱えてまで会社に来て仕事しなきゃならないのかと思うけど、でも仕事がなくなる不安がない職種なのはありがたいとも思って。

保険って人をハッピーにするものではないんですよ。だから人をハッピーにする職種はいいなぁと憧れてたけど、でも世界が危機的な状況になってそういう職種……観光業とか、ファッションのハイブランドとかが打撃を受けているところを見ると、自分の仕事も悪くないなとふと思ったりします。どっちがいいか天秤にかけるものじゃないかもしれないけど、幸い仕事がなくなる恐怖や収入が減る不安はないし、こういうときこそ頼られるモノでもあるので。」

2. 変わらぬ会社の昭和体質。こんな状況でも男尊女卑

「うちの会社はいまだに男性優位の風潮が色濃くて。事務は全員女性で、営業はほとんどが男性。同じフロアで机を並べて働いているのに、例えば事務の全員が窓口対応や電話対応に追われている最中に新しく電話が鳴ったとしても、営業の男性は絶対に電話を取ってくれないんです。そんな感じだから、リモートワーク に切り替えるとなった当初、男性社員はリモートワーク 、女性社員だけが出社すると決まって。なので3月の終わり〜4月頭くらいはまだ毎日出社してました。それだとなにかとマズいとなったのか、今は支店の全員が平等に出社するようになりましたけどね。

社内では『事務はいらない仕事』という扱いもされてたんです。どんどんAIに変わっていく時代だから、事務の人員を減らして営業にまわそうという流れができつつあって、営業に行かされるようなことも増えてきてたんですけど、こういう事態になった今、営業は何もすることがなくて事務のほうが忙しくて。さんざんないがしろにされていたのに、有事の際には頼る……というか仕事を押しつけられるのも、なんだかな、ですよね。」

3. コロナ渦中の失恋。気を紛らわせるモノも人もいなくて、どん底

「4月の頭にこっぴどいフラれ方をして気分はどん底だったんですよ(笑)。いい感じの期間が3カ月もあった上、猛烈アタック してくれたお相手だったんですけど、『コロナ騒動で社内の人と触れ合う機会が増えて、その中で新たに違う女性と出会ってしまった』と突然言われ、終わり。この状況だから、誰かに会って話を聞いてもらうこともできないし、気を紛らわせる予定もなくて。最悪の4月スタートでした。その相手とどうにかなるつもりでいたから、他に連絡を取っていた男性は全部切っちゃってて、今更他の人を復活させることもできない。この状況じゃ誰にも会えないからいいんですけどね……。どん底でも仕事をこなし、なんとか生活できて、日々が過ぎていく。人って強いんだなとしみじみ思います(笑)。」

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(取材日:2020/04/22)