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物語とか、ドラマとか

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ちょっとした創作物をまとめました。短編とか、掌編、ショートショート(SS)とか、それぐらいの小さな物語たち。
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273.全力で自分の小説を紹介してみる

ここへきて初の試みです。 ふわっと、電子書籍出してますよ、小説昔から書いてますよ、みたいな自己紹介はしていましたが、改めてどんな小説出しているのか自作自演で紹介の場を作ろうと思います。 小説を書くことは一生続けられる趣味になるな、と思って中学二年生の頃から継続してきました。 いよいよ、野球を続けた14年間という期間より長くなってきました。 小説で大きなマネタイズは考えていませんが、あと五年以内に紙の本が本屋に平積みされることを目標に、その達成に必要な多方面の力をつける努力

【物語】雨音を、キミに

久々に、学生の頃に書いた物語を見つけてコピペ。 ちょっと長いので分けようと思いましたが、一つの記事にまとめました。 30分間ぐらいの絶妙な隙間時間ができた方に、ぜひ。 noteに、記事の途中まで読んだという栞のような機能があれば、長文も書きやすく読みやすくなるなぁ、なんて思ったり。 それではどうぞ。 この短編小説のタイトルは、『雨音を、キミに』です。 未熟なクリエイターたちのお話。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  雨が唄っているのかと思った。  梅の花を散

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【あらすじ】朝四時の世界はこんなにも、青

大学時代の研究室の後輩、由芽から悩み相談の連絡を受けた僕は、休日の昼間のカフェで延々と彼女の話を聴いていた。どうやら仕事を辞めたいらしい。 ただ入社したばかりの会社をすぐ辞めることに葛藤していて、先に社会人として人生を謳歌しているように見えた僕に相談を持ちかけたようだった。 「朝四時に、東京駅集合」と僕は最後に提案する。 そして翌日の朝四時、由芽に日の出直前の世界を見せる。 ブルーアワーと呼ばれる幻想的な景色を目に、僕は由芽にぽつりと語りだす。25歳という由芽の年齢は、一生を

266.【SS】朝四時の世界はこんなにも、青

「仕事辞めたい?」 明日にでも世界が終わりそうな顔をしている大学時代の後輩は、もうダメです、と消え入りそうな声で一言呟いた。 カフェの静かなざわめきにすら打ち消されそうな、珍しくか弱い声だった。 「なんつー声出してんだよ」 「だって……」 「女の子みたいじゃん」 「女の子です!」 その意気だよ、と笑いながら僕は目の前のコーヒーを啜る。 熱くてろくに飲めもしないのに、なんとなくカップに口をつける一口目。 「てか辞めるって由芽、入社して何ヶ月?」 「二ヶ月……」

262.【SS】この一粒がその証

 過去に開催されていた、森永製菓「日常を彩る一粒のキャラメルストーリー」コンテストに応募していたショートショート(SS)。 同じく応募していた作品を、先日のショートショートとしてアップしました。 ここでは「ショートショート書いてみた」の共同運営マガジン用に投稿する、ほんの短い物語。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー キャラメル味。 キャンディ、ポップコーン、駄菓子、アイス、ドリンク……。 世界にはキャラメル味が溢れている。俺は物心ついた頃から、それら全

258.【SS】前前前前前前世

デジャヴという感覚に陥ったことがある人は多いのではないだろうか。 自分では知らないはずなのに、まるで一度体験したことあるかのように、一度見たことあるかのように感じる既視感のことである。 「デジャヴって、前世の記憶なんだよ」 つい信じてしまいそうになっていた子どもの頃。 そんなの、嘘に決まってるだろ。 そう思っていたのは、果たして何十年前のことだろう。 今となっては、それが真実に近いことを実感している。 思いを言語化できるぐらい大人になったときに自分で気がついたのだ。

257.【SS】変わらないモノ

過去に開催されていた、森永製菓「日常を彩る一粒のキャラメルストーリー」コンテストに応募していたショートショート(SS)。 誰もが見たことのある懐かしのキャラメルを登場させた、原稿用紙二枚分のとても短い物語の公募に、当時送りつけた作品です。 ここでは「ショートショート書いてみた」の共同運営マガジン用に投稿する、ほんの短い物語。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 十年ぶりに帰ってきた町は、すっかり様変わりしていた。 田んぼや畑が減って新しい道ができ、なかっ

151.ときに物語は、恐ろしいほど現実とリンクする

8年ぶりに、幼馴染と再会する予定が立った。 想定外の出来事だった。 「野球の試合があるんだけど、観に来る?」 大学の硬式野球部に所属していた僕は、幼馴染の女の子にメールを送ってみた。 小学校卒業以来、一度も会っていなかった。 返事を待つ大学三年生の僕は、少しだけ浮足立った心持ちだったのかもしれない。 ※※※ 親同士も仲がよく、2歳の頃からの知り合いで、その子のお兄ちゃんのおさがりをもらったり、小学校の入学式や卒業式では一緒に写真を撮ったりもした。 そこにいることが