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第十章:小人村は大騒ぎ!?1 樫の木庵のマボ-大賢者ニルバーニアと双頭の魔女-(連続小説/児童文学)

「少しだけなら…」 なので、マボは少し考えてから答えたのです。小人たちは口をそろえて「やったー!」と叫ぶと、早速マボの手をデカとチビがそれぞれ引いて、小人の村を目指したのでした。

それから1時間ばかり歩いたでしょうか。丘を超え、谷をのぼり、木々の間をくぐりぬけながら右に行ったり、左に行ったり、時にじぐざくに行ったり来たりしました。まるで、迷路の中を歩いているようでした。マボは不安になって時々後ろを振り向き、また戻ることができるのか心配になるほどでした。そんなマボの心配をよそにさらに歩いていくと、細い獣道が見つかりました。そこをさらにまっすぐ進むと、やがて小川のせせらぎの音が聞こえてきます。

「マボさん、もう少しだよ!」
 交代でマボの手を引いていた小人たちですが、チャッピの番の時に開けた小高い丘が目の前に見えてきました。その丘をはなだらかな斜面になっており、所々に白や黄色、ピンクの草花が咲いています。その花のみつを吸おうと、みつばちやら蝶々が飛び回っていました。丘を登りそこを下った先には小人の村があって、村の真ん中を横断するように小川が流れていました。緩やかな流れの小川は、あちこちで白波立ち、ぶくぶく、ぶくぶくと泡がたちこめては広がり消えて、それは涼しげに見えました。その小川の両岸から少し離れた所に、小さなキノコの形をした屋根の屋がいくつも並んで立ってました。マボはついているのか、ついていないのか、小人の村を初めてたずねた人間になったのでした。

樫の木庵のマボ(第1巻 全話完結)|遥ナル (note.com)

マボ:5歳の男の子。少し臆病で控えめだが、優しい子供。家は貧しく、町はずれの傾いた掘立小屋で暮らしている。モモ:5歳の女の子。おてんば、おしゃべりで元気な子供。施設育ちで、街一、二位を争う金持ちシュールレ奥さんにひきとられている。ネネ:5歳の女の子。お金持ちの子供で、つんとおすまししたお嬢様。

ニルバーニア:めったに人界に姿を現さない大賢者。若い娘のような顔立ちだが、老婆のような話し方をする。動物(特に鳥族と仲が良い)と話すごとができ、様々な魔法を使うことができる。自宅のログハウスでは、猫のピッピをかわいがっている。

キッチュ:エルフの女の子。愛しのバブバブ坊やを探している。人間の子供を見つけると、虫に変えようとする。
 

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