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第十章:小人村は大騒ぎ!?3 樫の木庵のマボ-大賢者ニルバーニアと双頭の魔女-(連続小説/児童文学)

無理もありません。妖精の間では人間は評判は全く良くないのです。自然を好き勝手に壊してしまうし、動物を食べても感謝する人は減ってしまいました。ですので、小人族は人間のことを「邪悪な人」「やっかいすぎる隣人」「迷惑な生き物」などと呼んで嫌がりこそすれ、歓迎などすることはありませんでした。しかも、秘密の場所にあるこの小人の村に、やってこれないはずの人間がやってきたので、面食らったのです。これは、チャッピたちが道案内したからなのですが、他の小人はそんなこと全く知りませんでしたからね。

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 マボたちは小人たちの反応にすっかり驚きました。
「みんな、妖精の騎士をつれてきたんだよ。マボさんはとても優しい人だから、安心して出ておいでー!」
 チャッピたちが元気に呼びかけますが、小人たちは怖がって窓も鎧戸もドアもバタン、バタンと締めてしまい、小屋から出てくる気配はありませんでした。仕方なくマボたちは斜面を下りて、村の中に入っていきました。
 
小人の小屋は高床式になっていて、四隅に柱を打って地面から1mほど離れたところに建てられていました。その小屋の窓を少しだけ開けておそるおそる顔半分だけ出してのぞいていた小人たちは、マボが近づくとバタバタ、バタバタと窓を締めてしまいました。マボはがっかりしました。だって、チャッピたちがしてくれたように歓迎してくれるとばかり思っていたのですから!

このままいくと、マボは東から西に村をすっかり横断して、誰からも歓迎されないまま小人村を後にする羽目になってしまいそうです。実際はそちらの方が、まったくもって幸せなことだったのですが、マボは気付いていませんでした。

マボたちは戸惑い、心配になりながら、村の中へと進んでいくほかありませんでした。すると、ちょうど半分まで来たところ、同じように赤い屋根の小人の小屋があったのですが、ここからはバタリと戸や窓が閉まる音はしませんでした。かわりに、戸が少し開き、その間からかわいらしい女の子がのぞいていたのです。淡い紫色の癖っ毛をしている彼女こそ、ミィちゃんでした。ミィは危険をおかして森に入ったチャッピ達の大事な大事な友だちでした。

樫の木庵のマボ(第1巻 全話完結)|遥ナル (note.com)

マボ:5歳の男の子。少し臆病で控えめだが、優しい子供。家は貧しく、町はずれの傾いた掘立小屋で暮らしている。
モモ:5歳の女の子。おてんば、おしゃべりで元気な子供。施設育ちで、街一、二位を争う金持ちシュールレ奥さんにひきとられている。
ネネ:5歳の女の子。お金持ちの子供で、つんとおすまししたお嬢様。

ニルバーニア:めったに人界に姿を現さない大賢者。若い娘のような顔立ちだが、老婆のような話し方をする。動物(特に鳥族と仲が良い)と話すごとができ、様々な魔法を使うことができる。自宅のログハウスでは、猫のピッピをかわいがっている。

キッチュ:エルフの女の子。愛しのバブバブ坊やを探している。人間の子供を見つけると、虫に変えようとする。


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