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第十章:小人村は大騒ぎ!?10 樫の木庵のマボ-大賢者ニルバーニアと双頭の魔女-(連続小説/児童文学)

「僕からもお願いします、ミィちゃんを助けてください」
「お願いします!」
「お願いします!」
とチャッピ、デカ、チビも言いました。ミィを見ると、目には涙がたまっています。

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もし、ここでマボが首を横に振れば、ミィは明日にはトロルのところにつれていかれ、食べられてしまうでしょう。マボは思わず、モモやネネが同じような目にあっていたら、どんなに辛いだろうと思いました。そして、何とか助けてあげたいとも思いましたが、いったいマボに何ができると言うのでしょうか。見るにいかめしい武器の達人である小人戦士でさえ、歯が立たない存在です。一方、マボは妖精の騎士ではありません。ただの5歳の子どもにすぎないのです!

マボには名案が何も思いつきませんでした。けれども、マボはここで思い出したのです。キッチュがピンチの時にはメダルに触れて、心の中で呼び出すように言ったではありませんか! こうなれば、もはやキッチュのこの言葉を信じるよりありませんでした。

マボはコクリとうなずきました。その瞬間、小人たちはどっとわきました。ミィのお母さんはうれしさと緊張のあまり、その場に倒れてしまいました。ミィはこらえきれずに泣き出しました。そのミィのまわりをチャッピ達3人が取り囲み、涙を流しながら祝福しています。そして、多くの大人たちはマボの周りにわっと集まり取り囲むと、早くも胴上げを始めたのです。それから、再び歌い踊り始めたものですから、もう収容もつきそうにありませんでした。しかし、長老が何とかなだめ、小人たちはついに家々に帰って行ったのでした。
マボはチャッピにつれられ、彼の家で一晩過ごすことになったのです。

樫の木庵のマボ(第1巻 全話完結)|遥ナル (note.com)

マボ:5歳の男の子。臆病で控えめだが、優しい子供。家は貧しく、町はずれの傾いた掘立小屋で暮らしている。
モモ:5歳の女の子。おてんば、おしゃべりで元気な子供。施設育ちで、街一、二位を争う金持ちシュールレ奥さんにひきとられている。
ネネ:5歳の女の子。お金持ちの子供で、つんとおすまししたお嬢様。

ニルバーニア:めったに人界に姿を現さない大賢者。若い娘のような顔立ちだが、老婆のような話し方をする。動物(特に鳥族と仲が良い)と話すごとができ、様々な魔法を使うことができる。自宅のログハウスでは、猫のピッピをかわいがっている。

キッチュ:エルフの女の子。愛しのバブバブ坊やを探している。人間の子供を見つけると、虫に変えようとする。

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