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フウコと小オアシス21-サイレント・ネオ-boy meets girl-

しかし、モーラがのるパンツァーのモニターに村の入り口が映し出されると、途端に酔いがさめた。
そこはまるで急ごしらえの城壁のようにトラクターやら家財やらが高くつまれており、完全に封鎖されていたのだ。
「ど、どうなっているだ…!」
モーラたちがあ然としていると、急に警戒音が鳴り、レーダーに機影が映し出された。

21

距離は0.1㎞、しかし、姿は見えない。
妙なことが連続して、モーラ一家がざわめきだっている。
「お頭、どうします!?」
「どうやら村の人間どもに、何か妙なことを吹き込んだ奴がいるようだのう!」
酔いがさめたモーラが言い終わるか、終わらないかの時だった。

「村に誰も近づけさせはしない!」
突如、真横からテディ・Dののる実験機が出現し、左右に動くモノアイと、手にそなえつけられたビーム砲から閃光を撃ち放った。
閃光は正確に直進し、不意を突かれた盗賊たちが数機を射抜いて、一瞬で灰と化した。
テディ・Dと実験機を砂の中にひそみ、息を殺していたのだ。
「散開しろ!」
モーラの一声で、密集していた軍団は、わっと散らばり、マシンガンを引き抜いてテディ・Dの実験機に向かって一斉に撃ち始めた。

しかし、瞬発力に優れた実験機は、まるで瞬間移動でもしているように左右に位置を一瞬で変えて攻撃をかわすばかりか、反撃までしてさらに数機を灰にしてしまう。
「お、お頭、とんでもねえ助っ人を村の連中は雇ったみたいですぜ!?」
「言わんでもわかっておるわ! サムソン、お前は10機をつれて、村を襲え。モーラ一家に手向かったら、どうなるか、見せてやれ!」
と指示を出した。
サムソンは手勢を引き連れ、入り口に積まれた障害物に攻撃を始めた。
テディ・Dはあわててサムソンたちに攻撃をくわえるが、その前にモーラがたちはだかった。

サイレント・ネオ-boy meets girl-(フウコと小オアシス/先行配信中)

BGM

-登場人物-

テディ・D:ゴスロリの格好をし、腕には9.8と数字をほり自死がんぼうがある少女。
オジャム:お飾りの提督をしていたが、父親をころされたあげく、砂漠に追放された。命からがら助かり、ゴサクの家で豚小屋などを掃除して糧を得ている。心優しい少年。
サシャ:誘拐船でオジャムと出会った6歳の女の子。勘が鋭く、ゴサクに気に入られている。その正体は…!?

ムサシ:地球(テラ)・ネオ東京出身の19歳の青年。愛機サイレント・ネオをあやつり、第5次地球・コロニー戦争において100機墜としを達成、英雄認定及びスーパーエースの称号を得た。地球のCAリーグにも参加している人気パイロットでもある。しかし、戦う意味を見失い、月歌に放浪の旅に出る。

ソック:ムーンキングダム・斥候隊副隊長。ボーナスをなくしてしまい、恐妻トド子に家を追い出された悲しき中年男性。

シャギ:極悪非道の仮面騎士と呼ばれる男。若いころは、義侠を持ち黄金のシャギと呼ばれていた。青年時代に地元の若者たちと悪党を結成、砂漠地帯で暴れまわったが、ゲンバ提督の娘に手を出したことで怒りをかってしまう。顔を切り刻まれ、腕と足を切り落とされたあげく、投獄された。しかし、復活後は人が変わったように残酷になり、シャギ党を結成して、ついにはカイバの提督の座を強奪するに至った。

ムドー:月歌だけでなく、コロニー連合などで十数年の間、傭兵として戦場をわたりあるいてきた猛将。残酷な攻撃をすることもあるが、騎士道と義理を尊ぶ武人。シュトライツァー党では義兄弟のシュトライツァーの副将として活躍、北国随一の武将とまで呼ばれるにいたった。ダークブルーのパンツァーを愛機としており、精鋭の青備え50機を率いる。

ガスズ:ムサシのライバル。CAリーグでは常にムサシと同時に昇級しており、何度か土をつけている。黒いCAヤシャをあやつる。唯我独尊を地で行く男。

マギー教授(おねえ)とみなみちゃん(アイドル):一年前に地球(テラ)から月歌に向けて出発したが、未だに到着せず。
かつてスーパーエースだったマギーは戦闘での怪我のため、現役を引退して士官学校で教授をしている。裏の顔はおねえである。

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